週刊READING LIFE vol.70

SNSではじめる、新しい時代の情報収集 《週刊READING LIFE Vol.70 「新世代」》


記事:一色夏菜子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

あなたは、新しい時代の情報をどうやって手に入れていますか?
 
「READING LIFE」読者のみなさんは、日常的に書籍や活字での情報収集に事欠かさない、勉強熱心な方が多いでしょう。ラジオやテレビを視聴するという方法もあります。
 
マスコミや出版社が出す書籍、いわゆるマスメディアに取り上げられた情報というのは、便利だし、確実です。プロの手で編集加工されているので、分かりやすく無駄なく整っています。
 
しかし、情報収集するときは、誰かのフィルターを通して発表された情報=二次情報よりも、オリジナルの情報=一次情報を集めるのが大切です。これは新聞記者などの取材においても言われていることで、具体的には、当事者に話を聞くのが一番です。
 
一次情報は入手するのに手間も時間もかかりますが、生の情報ですから、誰かの先入観や偏見が入り込むことなく、ありのままの姿を捉えることができます。
 
では、新しい時代のことは、誰に聞くのが適切でしょうか?
 
新時代の「当事者」は誰?
 
思い浮かべる人物像は、人によって様々でしょう。売れっ子タレント、アーティスト、デザイナー、研究者、……。
 
私が思い浮かべる新時代の当事者は、ズバリ「若者」。より具体的には、私よりも1ヶ月でも新しい時代に生まれた人、つまり自分より年下の人を思い浮かべます。つまり、自分より年下の人と話す機会を作ることが、新時代の情報を仕入れるのに一番の方法だでしょう。
 
自分が大学生のとき、社会人の先輩達が、忙しいなか時間を作って、
 
「若いって素晴らしいことだよ。羨ましいなぁ!」
 
なんて言いながら、ごはんを奢ってくれたのは、私みたいに考える人が沢山いるから……ではないでしょうか。そういうことにさせてください。
 
しかし、日本は人口減少社会。若者の数は減る一方、若者は貴重な存在です。総務省統計局による国税調査データを見ても、現在、45歳以下の日本人は、若くなればなるほど、数が少なくなる……という状況です。若者の声を聞くのも、簡単じゃありません。
 
会社員の世界では、昔は新卒社員が各部署に1人は配属された……という噂を聞きますが、アラフォーの私は働き始めて以来、何度か部署や会社を変わりましたが、ずーっと「若手」の部類に属しています。
 
年下の人と話す機会は、がんばって作らないと、ありません。
 
でも、どうやって?
 
私が大学生のときに接した先輩達のように、同じ学校の後輩と積極的に交流するのも一つの手段でしょう。でも、そういう縁がなければ、どうやって若者と会話する機会を作ればよいのでしょうか? 女子高生をナンパするとかキャバクラに行くとか、目的違いの手段は却下です。
 
現代では、日常的には接点のない人々の生活を垣間見る手段がありますね。
 
SNSです。
 
TwitterやInstagram、tiktokなどのSNSでは、公開設定されているアカウントなら、赤の他人の日常を垣間見ることができます。自分と違う世代のなにげない日常の一コマ、はやり言葉や音楽、空気感。そういったものを一次情報として得ることができるのは、個人が発信できるSNSならでは、です。
 
実は、ここ半年ほど、私は今まで使っていたのとは別のTwitterアカウントを作成して、そのアカウントでは「自分より年下の人をフォローする」を決まりにしています。マーケティングに関するトレンド情報を追いかけるために思いつきではじめましたが、年下の優秀なマーケターをフォローしていると、彼ら・彼女らから見る世界は、私が見ている世界とは少し違う……ということが見えてきました。
 
「タピオカブーム」「instagram映え」「tiktokダンス」のような社会現象も、マスメディアによって解説された記事を読むよりも、実際にそれを楽しんでいる人の日常生活の一コマとして見聞きしたほうが、圧倒的に情報量が多く、納得感が段違いです。また、新しい技術をどんどん活用しながら生活を豊かにしていく様子も、とても刺激的です。
 
さらにSNSなら一方的に見るだけではなく、コメントを残してコミュニケーションを取ることもできます。コメントに対して積極的に返事をもらえるとは限りませんが、それは会社や学校の後輩でも同じこと。人間関係は、双方の努力がなければ会話は成り立ちません。
 
コミュニケーションツールとしては日々の暮らしと同じ気遣いをする必要がありますが、SNSというオンライン広場は、オフィスや学校のように物理的制約がないという、実生活とは大きく異なる特徴があります。500km離れた場所で働く20代マーケターや、世界の裏側に住む大学生が日々何を思っているか、どんなことを話題にして、どんな遊びをするか……そういった情報をダイレクトに入手できるのは、SNSとスマートフォンがある現代ならでは。
 
そんな超強力な一次情報収集ツールのSNS、新しい時代の声を入手するために、活用しないてはありません。
 
もちろん時間は有限なので、世界中の「若者」のSNSをフォローすることはできませんが、自分と共通点や接点がある人を探すことも、検索機能やオススメ機能を活用すれば、難しくはありません。
 
まずは試しに、自分が興味があるイベントに参加していた人を探してみませんか?
 
最近はTwitter実況用のハッシュタグが準備されているイベントも多いので、そのハッシュタグで検索すれば簡単に、そのイベントについて投稿しているアカウントが見つかります。そのなかで、自分より年下(と思われる)人が、どんな感想をポストしているかを読んでみる。そんな小さなことの実践から、新しい時代の情報収集は、スタートできます。
 
いつの時代も、未来を作るのは若者です。
 
あなたもSNSで、新世代の声に耳を傾けてみませんか?

 
 
 
 

◽︎一色夏菜子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
日本で5年働いた後、シンガポール移住。あちらで5年働いた後、日本帰国。たまに東南アジアに帰りたくなりつつ、日本の空を飛んでます。お仕事はマーケティング関係。

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2020-02-24 | Posted in 週刊READING LIFE vol.70

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