自信を失ったアラフォー女に、マッチョなライオンがくれたことば《週刊READING LIFE Vol.170 まだまだ、いける!》
2022/05/23/公開
記事:河口真由美(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
来年40歳の私は、18年間務めたシステム会社を辞めて、フリーランスとして再出発しようとしています。
しかも、始めようとしている仕事は、今までと全く違う未経験の仕事です。
人生の先輩たちからは、たくさんのアドバイスをいただきました。
「副業で、ある程度稼げるようになってから、会社を辞めたほうがいいよ」
「クライアントがいる状態で辞めたほうがいいよ」
「退職後の生活資金は、ある程度貯めてたほうがいいよ」
副業として、売り上げを出した実績もありません。というか、副業すらしていません。
クライアントも見つけていません。
退職後の資金も、言うほどありません。
正直、めちゃめちゃビビッてます。ビビりまくってます。
雇われる身でなく、自分自身で1円を稼ぐという未知の領域を、どう攻略していけばいいのか。
40歳になって始めるなんて、今さら遅かったんでしょうか?
私は、無謀なことをしようとしているのでしょうか?
私が就職活動をしていたのは、まさに就職氷河期といわれる時代です。
何枚も履歴書を書いて、面接のたびに必死に自分をアピールして、時には面接官に嫌なことも言われ、それでも家に送られてくる通知は、不合格ばかり。20社以上もの会社を受けて、ようやく今の会社に入社できたときに思ったことは、「二度と就職活動はしたくない!」でした。
あんな思いをするくらいなら、システム障害で毎晩呼び出されても、お客さまに怒られても、仕事がつらくても耐えてみせる! そう思って、目の前の仕事に必死に取り組みました。
段々と仕事にも慣れ、働き盛りだった26歳、結婚をして、翌年、出産します。子育てママに手厚いサポートがある今の会社は、本当に働きやすい職場でした。
その一方で、仕事に対するやりがいを失いつつあったのも事実です。
新しい仕事の案件が来ても、結局はシステムを設計して、開発して、テストして、納品して……この繰り返し。私が仕事で接するのは、お客さまのシステム担当者であって、実際にシステムを使う人たちではありません。
自分が携わったシステムをお客さまがどんな顔をして使っているのか? 少しでも業務が楽になってもらえたんだろうか? 喜んでもらえたんだろうか?
お客さまの反応もわからないまま、次から次に新しい仕事が入ってきて、システムの納期に合わせて慌ただしく日々のタスクをこなしていると、あっという間に1年が過ぎているような状態です。週1で放送されるテレビ番組が、あれ!? この番組昨日もなかったっけ!? という会話を食事中にするくらい、毎日が怒涛のように過ぎていき、気づけばいつの間にか30歳を迎えていました。
いつの間にか、仕事にやりがいを感じなくなってしまっているけど、本当にそれでいいの?
こんなに毎日同じようなことばかりしていて、私の人生、この繰り返しで終わっていくの?
いやいや、でも30歳すぎて今さら再就職って、どこも雇ってくれないでしょ?
小さい子供もいて、フルタイムでバリバリ働けるわけでもないのに……。
こんなに働くママに優しい会社はないよ? これを捨てちゃうの?
そもそも、あの就活をもう一度するの!? ないないないない。絶対やだね。
新しく踏み出したい想いはあるけど、30歳を過ぎた子持ち女性が、再就職には不利なのではないか、という思い込みがあり、何年も踏み出せずにいました。環境を変える勇気がなかったのも事実です。
ある日、友人とランチに行ったときに、友人が「今日、ふるさと納税で買ったお肉が届くんよね~」と、ルンルンで話しているを聞いて、そういえば、ふるさと納税したことないなぁ。ふるさと納税ってなんだっけ? とふと気になりました。
そんなときに頼りになるのがYouTubeです。さっそく家に帰り、YouTubeで“ふるさと納税”について検索すると、検索結果と合わせて、そのチャンネルの動画が、画面の右側に一覧で表示されました。
「会社員の悩み すべて消せます」
「サラリーマンの年収 残酷な真実」
「会社がサラリーマンの資産形成を妨げる 最大の要因」
なに!? なに!? どういうこと!?
可愛い顔をしたマッチョなライオンが、とても気になるタイトルを掲げています。
私の興味は、ふるさと納税よりも、これらの動画に移ってしまい、手当たり次第にこのチャンネルの動画を見まくりました。
マッチョなライオンでお気づきの方もいるかもしれませんが、このチャンネルは、発売からわずか1年9カ月という記録的なスピードで発行部数100万部を突破した書籍『お金の大学』の著者である両学長が、人生を豊かにするための知識を配信しているチャンネルです。
ハッキリ言って、衝撃でした。
両学長の動画は、今まで持っていた私の価値観をガラリと変えてくれました。
いい学校に入って、いい会社に入って、定年まで働いて……それが世の中のサクセスストーリー。起業というのは、知識や教養がある人だったり、特別に仕事ができる人がするもので、私のような一般人がするものではない。私には誰かに雇われて働くことしかできない。と完全に思い込んでいました。
でも、両学長は動画の中で、「起業は誰でもチャレンジしていい」「会社という組織に所属しない働き方もある」ということを教えてくれています。
確かに、「会社に雇われる」ことを捨ててしまえば、年齢制限や、フルタイムで働けないという点を心配する必要はありません。やってみたいと思う仕事に自由にチャレンジできます。会社という組織の中にいると、ついつい自分が一人だと何もできない人間と思ってしまいがちだけど、会社の外に出てみることで、自分の可能性が広がるかもしれない。
何年も霧の中で行先もわからず悩み続けていた私に、急に突風が吹いて、霧が晴れ、歩くべき道が見えたような気がしました。
思い立ったが吉日、ずっとやってみたかったデザインや動画の仕事にチャレンジしてみたい!
そう思って、本格的に勉強をはじめてみましたが、私が飛び込もうとしている世界には、すでに若いころから活躍を続けている人たちがたくさんいます。
私には、とても思いつかないクリエイティブな作品を見せつけられると、
40歳を前に勉強を始めたばかりの私が、仕事を取っていけるんだろうか?
なんでもっと早くにこの勉強を始めなかったんだろう。
18年間、同じことの繰り返しばかり続けて、なんて無駄な時間を過ごしてしまったんだろう。
一緒に学ぶ人の中に、大学生くらいの若者を見つけると、嫉妬さえ覚えます。
うらやましい。自分もあのくらいの年齢から、真剣に勉強していたら、自信を持ててたかもしれないのに……。
もう、後悔と嫉妬と自信喪失の嵐です。アラフォーという年齢は、私の自信をいとも簡単に奪っていきます。
でも、やっぱりここでも両学長の動画に救われました。
両学長が、動画の最後に毎回言うセリフがあります。
「今日が一番若い日です」
そっか。言われてみれば、今からの人生で見ると、今日が一番若い。
もう40歳じゃないんだ。まだ40歳なんだ。
いつからはじめても遅くない。まだまだ今からチャレンジできるだ!
実際に、フリーランスに向けて活動を始めてみると、私と同じように40歳前後で独立しているママさん起業家はたくさんいました。私の周りにたまたまいなかっただけで、世の中にはこんなにもたくさんの人が会社に属さずにチャレンジをしていることを知りました。
確かに、私が飛び込む世界には、すでにその道のプロがいます。
今さら飛び込んでしまう怖さがあるのは事実ですが、こう考えることもできます。
アイディアというのは、今あるものに「別の何か」を掛け合わせたときに生まれるといいます。
18年間、今の会社でシステムエンジニアとして働いてきた経験は、私のオリジナリティであり、その世界に新しいアイディアを生み出すための「別の何か」ではないかと……。
そうやって、フリーランスの人たちは、自分だからできることを売って、戦っているのではないでしょうか。
この新しい人生のスタートをきっかけに、自分が生まれてから死ぬ(予定)まで、自分の人生の年表を書いてみました。
2004年 会社に入社。2022年 会社を退職。
18年も今の会社で働いた。なんでもっと早く行動できなかったのか。無駄な時間を過ごしてしまったんじゃないか。そう思っていましたが、表にして感じたことは、
なんだ、たったこれだけ?
今からの始まる人生に比べたら、18年なんて、ほんの一部分です。
きっと18年は、今からの人生に向けた充電期間だったのでしょう。そして、充電は完了しました。
エンジン全開で、私はいまフリーランスという道に向かって走りはじめます。
先は長い。まだまだいける!
□ライターズプロフィール
河口真由美(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
福岡県在住。システムエンジニアとしてIT企業に18年間勤務。
夢は「おばあちゃんになってもバリバリ働いて、誰かの役に立ち続けること」 40歳で人生をリニューアルスタート(予定)。ライティングをはじめ、新しいことにチャレンジしながら夢に向かって猪突猛進中。
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