仕事が苦痛でしょうがなかった僕が仕事が楽しく感じれるようになるために意識した5つのこと《週刊READING LIFE Vol.207 仕事って、楽しい!》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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2023/3/6/公開
記事:大塚久(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
日曜日の夕方、あの国民的アニメが始まると憂鬱になる人がいる。一般的に「サザエさん症候群」と呼ばれ、サザエさんが始まると週末の休みが終わり、翌日からまた仕事が始まるから憂鬱になるのだ。
仕事は生きていくために必要なお金を得るためのもので、楽しいからやるものではないという感覚の人が多いんじゃないだろうか?
僕も同じで理学療法士として整形外科のクリニックに勤めていたときは週末の休みが楽しみでしかたなかった。
一方で仕事が楽しいと感じている人達もいる。僕の両親などがいい例で、70歳代半ばになった今でも父は会社を経営して毎日どこかへ仕事に出ているし、母はもう60年も勤めているお煎餅屋さんともう一つパートを掛け持ちしている。
家も持ち家だし、生活に困るほどお金がないわけでもないだろう、両親とも正社員で働いていたので、年金もそこそこもらえるはずだ。
正直もう仕事をしないでも暮らしていけるだろうにいまだに続けているのはきっと仕事が楽しいからだ。
実際、あれこれ仕事の愚痴を言いながらも家にいてテレビを見ているより働いている時の母の方が生き生きしているし、たまの休日でも先方から急に仕事のお願いの電話がかかってき対応している時の父は「休みの日に仕事か」という落胆よりも、「仕事が来たぞ!」というような楽しそうな顔をしている。
この違いはなんなんだろうか?
実は僕自身、整形外科のクリニックに勤めていたときは仕事は苦痛だったが、その後起業して、自分で店舗を持って仕事をするようになって仕事が楽しくなってきた。
1日の3分の1の8時間は仕事をしている。その8時間が苦痛なものより楽しい時間な方が間違いなく人生楽しめる。そこで仕事が苦痛から楽しいに変わった僕の経験を踏まえて仕事を楽しむには何が必要かをお伝えしする。
まず、仕事が楽しいとどんなことが起こるかお話しよう。
仕事が楽しいと健康になる。
うちの両親は大きな病気をしたことがほとんどない。
父は一度脳梗塞を患っているが、発症した時も入院せずに日帰りで帰ってきて麻痺も残らず生活している。母も年相応の腰や膝の痛みはあるが、仕事を休んだのはほぼ記憶にない。ちなみに牛乳やヨーグルトなどの乳製品は一切食べれないが、74歳の母の骨密度は同年代のそれを遥かに超え、40歳代の人と同程度である。
僕自身もクリニックに勤めていたときは仕事のストレスから毎日のようにお酒を飲み、お腹一杯になるまで食べていた。若かったかからなんとかなっていたのかもしれないが、そのまま続けていたらおそらく病気になっていたであろう。
今ではお酒は週一回でも十分満足できるようになったし、毎日10,000歩歩くのが日課だ。
健康になると今度は仕事に対するモチベーションが上がってくる。
健康的だと体も動くし、頭も働くようになる。そうすると自然と仕事のクォリティが上がるので成果が上がるようになってくる。そうなると仕事に対するモチベーションも上がりさらに楽しくなってくる。
モチベーションが上がると更に成果を出したいと仕事に意欲的になってくるので自己成長やキャリアアップを目指すようになる。例えばゲームでもつまらないゲームは途中でやめてしまうが、楽しいゲームは何回でも最後までやるので習熟度も上がり、より上手くできるようにより技術を磨く、より効率的にクリアできるように攻略法を探す。その過程がさらに楽しくなり、どんどんスキルアップしてモチベーションも上がっていく。仕事も同じだ。
そしてそうやって楽しそうに仕事をしていると自然と周りには同じように楽しく仕事をしている人が集まってくる。もちろん楽しそうに仕事をしている人をよく思わない人たちもいるのでその人たちの妬みや嫉みの対象にもなるが、そもそも仕事自体が楽しければそんなものは気にならなくなってくる。そしてそれ以上に周りに同じように楽しく仕事する人が増えてくるのだ。
楽しく仕事をしている人たちは仕事の話になっても、愚痴やネガティブに話にならずに、問題があったとしても「こうやったら改善できるんじゃないか?」「この視点はどうだろうと」前向きな話が増えてくる。ちょうどゲームのクリアできないステージを友達とどうやったらクリアできるか話しているみたいだ。そしてこういった望ましい人間関係に囲まれていると不必要な人間関係で悩む必要がなくなり、ストレスが減る。人間関係は仕事を辞める原因の中でも常にトップ3に入るほど重要な要素だ。
ストレスが減ればもちろん健康状態も維持できるので、健康→モチベーション→自己成長→望ましい人間関係→健康のいい循環が生まれてくる。
ここまで聞くと仕事は楽しいに越したことはないし、むしろ仕事が楽しくないならすぐに楽しく思える仕事に変えた方がいいと思う。何の仕事が楽しく感じるかは個人の好みもあるので一概には言えないが、僕の経験から考える仕事が楽しくなる要素を5つあげてみようと思う。
給与・待遇
まずはなんといっても給与面だ。仕事をするための大きな理由の一つが生活費を稼ぐことだ。自分が望む生活をするために必要な分の給与や待遇が得られないのであれば、いくらやりがいのある仕事でも続かない。生活が保障されて初めて楽しさに意識が向けられるようになる。僕の持っている資格は理学療法士という国家資格だが、理学療法士の平均給与は約400万円だ。日本人の平均給与が461万円よりも低い。これは理学療法士の業務形態に原因があるのだが、リハビリの質を担保するために、1日に担当できる患者数の上限が決まっている。さらに日本は皆保険制度なので、一回のリハビリの金額が国によって定められている。これは20年目のベテランだろうが、一年目の新卒だろうが金額が変わらないということだ。しかも日本の医療費は切迫しているので、リハビリの金額が上がるとも考えにくい。そうなると理学療法士として病院などに勤めた場合、給与の上限が自ずと決まってきてしまうのである。僕が独り身であれば400万円もあれば十分暮らしていけるが、家族がいるとこの金額では心許ない。そこで僕の場合は給与の上限がない、独立開業をして自身で店舗を持つことを選択した。
休み
給与面の次に大切なのが休みだ。いくら給与がいいからといって残業が多いとか(そもそも残業が前提の仕事は楽しくないと思う)、希望する休みが取れないとなると楽しい仕事も楽しく無くなってしまう。僕は以前、給与面の少なさを本業+バイトで賄っていた。そのかいもあって平均給与を大きく上回る年収で600万円を稼いでいたが、休日もバイトで、きちんとした休みは土曜日の午後しかなかった。正直これでは家族との時間など取れるわけはないし、休みがないので体がもたない。僕の場合は家で家族と過ごすことを最優先で考えたいので、自分で休みを選べる自営業を選択した。
理念
意外と見落としがちだか、仕事をする以上ここは外せないポイントだと思う。自分自身で起業するにしろ、会社に勤めるにしろ、企業理念が自分の求めている生き方と大きく異なっていると苦しくなる。その会社はなんのために世の中にあって、自分はその中で何に貢献できるか。ここが一致していると、仕事上で選択を迫られた時に会社の価値観と自身の価値観を共有して選択できる。ここだが一致していないと自分の価値観では否だが、会社的には是と自分を曲げる選択肢も選ばなければいけなくなるので、理念を必ず確認してみよう。
仕事内容
前出の理念とも通じるのだが、主な仕事内容が自分のやりたいことと違っていたらやはり苦痛だ。もちろん仕事なので、やりたくないこともこなさなければいけないが、主な仕事は自分のやりたいことがいい。ただ、少しやっただけでは本当にやりたくないことなのか、まだ仕事内容に慣れていないのか判断がつかない。まずは目の前に仕事を本気で取り組み、少なくとも半年から一年は様子を見てほしい。僕は今は講師の仕事をしているが、正直最初はやりたくないことだった。人前で話すのなんか恥ずかしくてできなかったし、何より自分の技術が人に伝えられるレベルにあるのかさえわからなかった。しかし講師の仕事を続けていると、だんだんとどうやったら伝わるか? より新しい知識や技術がないか? と調べるようになり、そのうち受講生から「この研修会に来てよかったです」といってもらえることが増えるとどんどん楽しくなってきた。今では自分の天職なんじゃないかと思えるほど、楽しい。やりたいことが見つかっていない人でもまずは目の前の仕事に本気で取り組んでみると今は気づいていない楽しさに気づけるかもしれない。
自己成長
おそらく、仕事の一番楽しいポイントはここだと思う。自分が成長できる環境かどうかはすごく大事だ。いくつになっても知らないことを知ることは楽しいし、できなかったことができるようになるのは楽しい。今の技術では対応ができなかったお客様でも、次回までに知識を蓄え、技術を磨いて次の時に満足してもらえるとやはり嬉しい。以前病院に勤務していた時は忙しさのあまり勉強の時間が取れていなかったが、今は時間とお金に余裕がある、自営業を選んだため、勉強の時間をしっかり取ることができる。そしてその勉強したことを実践するとやはり結果が出る。結果が出るとさらに学びを深めとするのでより良い循環が生まれてくる。幸いなことに僕が対象としているのは人の体なので、まだまだわからないことも多いし、日々新しい発見や技術が生まれてくる。表現が適切かどうかはわからないが、いつも新しい発見がある、終わりのないゲームをやっているような感覚でいつまでも楽しむことができる。
以上の5つが僕が仕事が楽しいと思えるために必要な要素だ。
正直言うと、個人事業主になってからは一応、お店の休日も決めてはいるが、病院勤務の時とは違い、明確な勤務時間も決まっていないし、休日でも仕事のことを考えている。家に帰っても外の出かけても、家族と過ごしていても常に何かしらが仕事に繋がってしまう。周りから見ると仕事人間でたまには休んだら? と言われてしまうかもしれないが、実は仕事のことを考えるのが楽しくて仕方ないのだ。仕事が楽しいと日常生活のちょっとしたことが仕事に活かせるんじゃないかと言う視点で見えてくる。いい意味で仕事とプライベートの境界が無くなっていくのだ。もちろん仕事とプライベートをきちっと線引きしたい人もいると思うが、僕にとっては仕事もプライベートも同じ日常だ。仕事が楽しくなると日常も楽しくなってくる。楽しいのは仕事だけじゃない。生きるって楽しい。
□ライターズプロフィール
大塚久(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
神奈川県藤沢市出身。理学療法士。2002年に理学療法士免許を取得後、一般病院に3年、整形外科クリニックに7年勤務する。その傍ら、介護保険施設、デイサービス、訪問看護ステーションなどのリハビリに従事。下は3歳から上は107歳まで、のべ40,000人のリハビリを担当する。その後2015年に起業し、整体、パーソナルトレーニング、ワークショップ、ウォーキングレッスンを提供。1日平均10,000歩以上歩くことを継続し、リハビリで得た知識と、実際に自分が歩いて得た実践を融合して、「100歳まで歩けるカラダ習慣」をコンセプトに「歩くことで人生が変わるクリエイティブウォーキング」を提供している。
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