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老舗料亭3代目が伝える 50までに覚えておきたい味

第9章 食べかたは在り方〜食事制限やダイエット法はどう選ぶ?《老舗料亭3代目が伝える50までに覚えておきたい味》


2021/05/31/公開
記事:ギール里映(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「私、お肉食べないんです」
 
最近そんなふうに言わはる人、増えてきました。お肉を食べない、に始まって、卵や乳製品を食べないとか、生魚は食べないとか、小麦を食べないとか、砂糖を食べないとか。ある主義主張があって食べるものを限定したり制限したりすることを公言する人が増えてきたなと思います。
 
子どものころから「好き嫌いを言わんと、なんでも食べなさい」と教えられてきたアラフィフ世代としては、「ごちゃごちゃ言わんと、なんでも食べなはれ」と言いたいところですが、果たしてそれはどうなんでしょう。何でも食べることが正しくて、良いことで、正義で、理にかなったことなんでしょうか。
 
 

食べたくても食べられない、アレルギー問題


この頃は飲食店などでもまず「苦手なもの、お嫌いなものはないですか」と訊いてくれることが増えました。また会食でも「アレルギーや食べられないものはないですか」と問うことがマナーとして一般的になってきました。特にアレルギーは重篤な副反応がでる場合があるので、誰かと食を共にする際に相手に確認することは、命を守ることにもつながります。
 
食物アレルギーは、表示が義務付けられている指定品目が現在7種類あります。卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばがそうで、これらはアレルギー反応を起こす人が多く、しかも起きた場合に重篤な症状になりやすいので、特定原材料として指定されています。
もちろんこれ以外にもアレルギーを引き起こす食材はたくさんあります。
 
特定原材料に準ずる食材として、以下の21品目があげられています。
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、サバ、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンに加えて、2019年にはアーモンドが加わりました。これらは表示義務はないけれども表記が推奨されている食材で、今後このリストは増え続けていくことはあっても、減ることはありません。
アレルギーにもすぐに反応がでる即時性アレルギーと、後から反応がでる遅延性アレルギーがあり、その診断や判断は難しいとされてます。というのも血液検査では反応がでないけれど、食べたり飲んだりした場合に体に反応が出るケースもあり、一概に検査だけでは特定ができないからです。
いかんせん、食べたものによって体がアレルギー反応を起こしてしまうという場合のことを食物アレルギーと呼び、そういう症状を持つ人たちが決して少なくなってきました。
 
食物アレルギーがあることで、集団で同じものを食べなければならない場合にはとても苦労します。子ども時代であれば給食が最たるもので、アレルゲンを除去した除去食を選べるようになってきました。しかしその場合は除去食を食べる子が一人、他のお友達から離れて食べなくてはならず、そうなると一緒に食べる、楽しんで食べるという経験が損なわれるため、集団生活に影響を及ぼします。
またいくら増えてきたとはいえ、まだまだ少数派である食物アレルギーですから、一般的な食材やレトルト、加工品を買う際に、食べられるものがないという事態に陥りやすい。なぜなら世間は多数派を中心に商品が作られ販売されているので、アレルギーのような少数派についてはどうしても対応が後手後手にならざるを得ない。また日本の場合加工品には添加物を使うことが多く、その添加物の多くはアレルゲン指定食材を原材料に使っている場合があるので、表示が追いつかずに対応しきれていないのが現状です。その結果一般的なスーパーや食品売り場ではどうすることもできず、結果アレルギー持ちの方たちは帰るものが制限されるので、食べるものがないという状態になります。
 
 

文化や信仰の礎


また宗教や文化背景のおかげで食べるものを制限する場合があります。
例えばユダヤ教では牛肉と牛乳を一緒に食べることは禁忌ですし、イスラム教であれば豚肉、ヒンズー教であれば牛肉を食べることをよしとしていません。本来なら仏教も、殺生してはいけないという立場に立っているので、動物性のものは食べてはいけないとされています。またときに厳格な仏教では五葷といって、ニラやネギなど香りのつよい野菜を食べてはいけないとしているものもあります。これらは宗教上の戒律によるものなので、食べることは教えに反することとなり、信心深い方達からみたら食べることはとんでもない戒律違反になります。
 
動物愛護の観点から食べ物を選ぶ人たちもいます。いわゆるベジタリアン、ビーガンと言われる人たちです。
ベジタリアンは一般的には、動物を食べません。しかし卵を食べてもいいとするオヴォ・ベジタリアン、乳製品を食べてもいいとするラクト・ベジタリアン、魚を食べてもいいとするペスコ・ベジタリアン、鶏肉を食べてもいいとするポロ・ベジタリアンという種類があります。彼らの多くは動物愛護の視点が大きく、そのために殺生していない動物性はよしとする場合もあります。
 
完全に動物性を摂らないとしている人たちのことをビーガンといいます。肉魚、卵、乳製品といった全ての動物性を食べないとしています。またビーガンにも、健康上の理由で食べるものだけ動物性を排除しようとするダイエタリービーガンと、そうではない純粋なビーガンという2種類があります。純粋なビーガンとはとにかく生活のなかから全ての動物性を排除しようとするので、皮製品を使わなかったり、毛皮をとても嫌います。彼らの多くは動物愛護からくる政治的なメッセージをもっており、ときに過激になりすぎて周りと軋轢を産むことも多くなります。いわゆる「こだわりが強くてめんどくさい人」というようなレッテルを貼られることもあります。
 
このほかにもフルーツだけを食べるフルータリアンという方たちもいます。文字通りフルーツのみ、しかも地上に落ちてきたフルーツしか食べないとしている人たちのことで、彼らの栄養的課題はよく疑問視され、その健康状態が危惧されることがあります。どちらにせよ健康上の理由というより、主義主張からきた理由とされるので、栄養バランスや健康は無視されがち。私も実際にフルータリアンとは出会ったことはありませんし、それだけマニアックな食べ方のチョイスであるということが言えるかもしれません。
 
 

目指せ健康、食事制限


セリアック病やリーキーガットなど、小麦が腸内環境を荒らしてしまうことがある、ということが知られ始めてきました。そのため小麦や小麦を使ったものを一切食べないようにするグルテンフリーという食事法があります。これは小麦の中に含まれているグルテンを一切食べないようにするもので、テニスプレイヤーのジョコヴィッチ選手が採用したことで注目を浴び、いまでは食事法の選択肢として定着してきました。小麦を食べないことで痩せたりお肌の質がよくなるという効果があったり、また疲れや倦怠感を感じにくくなるという体感があることから、アレルギー反応がでない方でも積極的に取り入れている場合があります。
 
砂糖や糖質を摂らないようにする糖質制限もあります。ダイエット目的や糖尿病の改善目的で取り入れられることが多い食べ方で、砂糖をはじめ、お米やパン、パスタなど、炭水化物を摂らないようにするダイエット法です。
炭水化物は脂質、タンパク質と並ぶ三大栄養素の一つです。本来「食べるべきもの」「必要なもの」と認識されているものですが、食べないことで短期間に減量や血糖値の改善が見られることから、昨今の筋トレブームと相まって、じわじわとひろまりはじめてきました。
 
これら以外にも、何か自分の持つ病気や症状を改善したいために食べるののを取捨選択することが増えてきました。テレビやインターネットなどで健康情報が溢れていることもあり、少し調べたらたくさんの情報に出会います。○○が体にいい、と聞けばそればっかりを食べ続けてみたり、またXXが体に悪いときけばそれを徹底的に避けてみたり、何か目的、それも多くはダイエットや健康という目的を持って食べかたを選択することが、日常的になってきたような気がします。
 
それにしても食べかたには、本当にいろいろとあります。
人生も50の声を聞くようになってきたら、何か一つぐらいは試したことがあるという方も多いでしょう。またもしかしたら自分の意思にかかわらず、体調のために食べられるものが制限されてしまう場合もあるでしょう。どんなケースであったとしても、自分で食べかたを調整する、という体験を、人生のなかで一度は経験しておくべきだと思います。そうすることで、何かにこだわるという体験を少しは味わってみて欲しいからです。
 
食べかたは生き方ですから、なんのポリシーもなく、食べたいものをただ食べ散らかすだけの生き方は、子どもっぽいし美しくありません。何かにこだわりを持ちそれを実践してみることは、必ず人生のなかで魂を磨くことにつながります。スポーツや読書、仕事をすることで魂を磨くことは多くの人が実践しているかもしれませんが、食べ物、食べかたでもそれを充分に実践することができます。
 
また反対に、食べ物にこだわりすぎてしまうのも格好悪い。こだわりがあることは個人の自由ですから好きにされたらいいですが、その価値観を人に押し付けることだったり、また自分の価値観と違う食べかたをする人を攻撃したりするような姿勢は、生き方としてちょっと格好悪いと思うのです。
 
人は自分と違うものに対しておそれや恐怖、嫌悪感といったネガティブな感情を生みやすくなります。それをそのまま認め受け入れるということが、本能的になかなかできない生き物です。頭でそれがよくないことはなんとなく気づいたいたとしても、感情がついていかず、ついつい周りの人を否定したり、また否定されたりという経験をしたことがある人も多いでしょう。
 
相手の食べ方を認めるということは、相手の存在や尊厳そのものを認めるということ。これは人が生きて社会生活を営む上で、絶対的に必要な力であるにもかかわらず、それができないために戦い、争い、軋轢を生みます。
 
人はどうしても自分が他人より優れているとマウンティングしたくなったり、また反対に自分なんて生きる価値がないと卑下したりしてしまう生き物です。そういう葛藤は若い頃はあって当然だと思うし、そういう感情をたくさん味わって成長していけばいいだけですから、その感情がだめだというわけではありません。
 
だけど、そろそろ人生の後半に差し掛かっているのであれば、そういうのもまるっと認められるようなところにいていただきたいなと思うのです。
何かに対してこだわりまくる時期をいくつか経験して、それらをやりきったと感じるレベルまで持っていった上で、反対にそれらを全て手放す。そうすることで自分の心が本当に解き放たれて自由になります。そういう魂の体験があることが、アフターアラフィフライフをより充実したものにしてくれる気がしてなりません。
 
ごちゃごちゃ言わんと、美味しいものを食べてください。
細かいこと言わんと、魂が喜ぶ食事をしてください。
人が何をどう食べようと、そんなことはその人の勝手。あなたがどうのこうのと口出しすべきことではありません。
 
食べかたは生き方。
 
軽やかに食べるものを選び味わうことで、軽やかな生き方をしていきたいものです。
 
 
《第10章につづく》
 
 

□ライターズプロフィール
ギール里映(READING LIFE編集部公認ライター)

READING LIFE編集部公認ライター、食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

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