ウルトラトレイルランナーが案内する日本一過酷な鎌倉・湘南観光

第18回:もしもマラソンが体重制だったら(シリーズ減量〜その①〜)《ウルトラトレイルランナーが案内する日本一過酷な鎌倉・湘南観光》


2024/8/12/公開
記事:佐藤謙介(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
今この原稿を書いている時、まさにパリ・オリンピックの男子マランソンが行われている。
当たり前にどのランナーも細く引き締まり、無駄な贅肉などその体のどこにも見つけることはできない。
まさに走ることに特化した見事な体である。
 
スポーツにはその競技に合わせた体が必要であり、その体を極限まで鍛え上げたアスリートが一堂に揃うのがオリンピックであれば、アマチュア選手が目指すべき理想の体が今目の前で躍動している選手ということになる。
 
トレイルランニングを趣味としている私としては、やはり男子マラソンの選手の体というのは気になるところだ。
ではここで簡単に代表3選手のプロフィールを見てみよう。
 
大迫 傑:身長170cm 体重52kg BMI17.99
赤﨑 暁 :身長170cm 体重53kg BMI18.34
小山 直城:身長170cm 体重55kg BMI19.03
 
なんと3人とも同じ身長ではないか。
ちなみに身長170cmの男性の適性体重は63.6kg(BMI22)らしいので、小山選手でギリギリ標準、大迫選手と赤崎選手は低体重ということになるが42.195kmを2時間10分以内に走ることが期待されている彼らにとっては、体重はスタミナを維持できる限りはできるだけ軽い方がいいことになる。
つまりランナーにとっては、これそが理想的な体型なのである。
 
 
理想的な体型
では私はどうかというと、自慢ではないがこれでも10年以上トレイルランニングを続けてきて、100mileレースだって10本以上完走してきた体である。
それなりの自負はある。
そんな私の現在のスペックを紹介しよう。
 
身長186cm 体重90.5kg BMI25.9
 
 

「軽肥満」である……


 

 
おい、どうなっているんだ。
うちの体重計は壊れているのか!?
それともオ○ロンが体重を高めに見せることで自社サービスを使わせようという陰謀か!?
 
と叫んでみたところで、悲しいがこれが現実である。
私は「軽肥満」のぽっちゃりランナーなのだ。
よく言えば「ガチムチ系ランナー」と言えなくもないが、それもただの言葉遊びだ。
現実を見据えよう。
 
振り返れば私は子供の頃から太っていた。
中学2年生の時に体重が100kgを超え、学校一の肥満児だった。
トレイルランニングを始める直前には10年間のサラリーマン生活で飲酒、喫煙によって見事な中年体型となり、体重は110kg(BMI31.8)まで増えていた。
 
そこから20kg減った状態をキープしているだけでももしかしたら御の字なのかもしれない。
それにしてもアマチュアとはいえ、それなりに頑張っている身としては、大迫選手までとは言わないまでも、せめて標準体重ぐらいにはなっていたいと思うのは決して高望みではないはずだ。
ちなみに自分の周りのトレイルランナーで真剣に練習している選手でBMIが自分より多い人は多分いない。みんな最低でも標準体重以下だろう。
 
そしてこの体重は年齢を重ねるごとに年々落ちにくくなっている。
私も数年前には一度80kgを切って小学生依頼の70kg台という体重を目にしたことがあったが、ここ数年は80kgどころか85kg以下の体重になったところを見たことがない。
減量しようと思っても87kgぐらいでピタッと止まってしまい、それ以下にはテコでも動かんぞという体の強い意志を感じるのだ。
 
 

なぜマラソンには体重別がないのか?


しかし考えてみると不思議ではないか?
長距離走という競技の特性上、体重は軽い方がいいに決まっている。
一説には体重が1kg減るとフルマラソンのタイムが3分縮まるという話しもある。
もちろんそんな単純なものではないが、体重が軽い方が運動で消費するエネルギーが小さくて済むというのは疑いようがない事実である。
つまりマラソンなどのロングレースは体重によってタイムに明確に差が出る競技なのである。
 
同じオリンピック種目でも柔道、レスリング、ボクシングなどの格闘技は体重別に分かれていて、同じ体重同士で技術を競い合うからこそ、どちらがより優れているのか勝敗を決めることができる。
これは体重によって、勝敗に大きな影響が出ることが明らかだからこそ、厳格に体重を規定して公平さを保っているわけである。
 
では体重によって明らかに明暗が分かれるマラソンだって体重別で評価すべきではないのか?
え、どうなんですか?
 
と、まあ熱くなってしまったけど私だって分かっています。
柔道なんかと違ってマラソンのレースは一回に多ければ1万人以上の人が参加するわけだし、全員の体重を厳密に測るなんてできるわけがない。
またそんなこと言い出したら、体重が影響あるスポーツなんて他にもたくさん存在していて、それら全て体重別にしないといけないのかということになってしまう。
今回オリンピックを見ていても、体重が軽い方が向いているクライミングや、筋力が大きいほうが有利なハンマー投げなどの投擲種目は体重別に分かれていないのだから、人は自分の体型に合った競技を選択すればいいのである。
 
その意味では自分は本来このでかい体が生きるスポーツを選択すればよかったという話しなのだ。
 
 

もし体重制だったとしたら


しかし、もしマラソンに体重制があったらどうだったのだろうか?
実はここに面白いアプリがある。
 
マラソンをしている方にはお馴染みの「Strava」というアプリには有料会員だけ体重別でランキングが表示される機能がついている。
Stravaの機能では10kg刻みでカテゴリーが分かれていて、私は現在90kgなので「85〜94kg」というカテゴリーになる。
 
ではこの中で私はどのくらいの位置にいるのだろうか?
 
ここで関東に住むトレイルランナーならその名を耳にしたことが多いと思われる「ヤビツ峠」を見てみたい。
この場所は神奈川県秦野市という場所にあり、全長11.45km、標高差が671mのコースである。
多くのランナーが毎年ここを走り、自分の走力を高めている人気スポットである。
 

 
現在Strava上では1,755人のランナーが走ったことになっている。
ちなみに私は現在515位で全体の上位30%だ。
 

 
しかし、体重別のセグメントを見てみると
 

 
なんと1位ではないか!!
実は私は体重別だとトップレベルなのであるww
 
もしこの世に体重別のマラソンやトレイルレースが存在したとすると、私は現時点で国内トップクラスの選手の可能性があるのだ。
これは正直嬉しい。
 
もし私をレースで見かけたら、ぜひそういう選手であると思っていただきたい。
「え、あの90kg級でトップクラスの佐藤さんですか?」と。
私は「はい、そうです」と答えるだろう。
 
 

本気で痩せる


ここまで私のくだらない思考実験に付き合っていただき感謝を申し上げたい。
この体重別ランキングは面白い取り組みであるが、しかし現実のレースでは体重制は今のところない。
 
やはりレースで今以上に結果を出すには、今の体重では難しいのである。
加えて年齢とともに怪我をすることも増え、最近では毎年1年のうち2〜3ヶ月は満足に走れていないのだ。
このまま年齢を重ねるごとに自分のパフォーマンスが落ちていくのをただ黙って見ているのは正直我慢できない。そこで今回私は本気で肉体改造をすることを決意した。
 
私は今年のメインレースとして日本山岳耐久レース「Hasetsune(ハセツネ)」に参加する予定である。
日本で最も歴史があり、トレイルランナーとしての登竜門的な存在であるハセツネに9年ぶりに参加をする。前回参加した時は35歳であった。それから歳を重ねて今年47歳になり、あらためてハセツネに参加することで、自分がこの9年間でどのくらい変わったのかを確かめたいと考えている。
 
そのためにもあと2ヶ月しっかり準備をしたい。
そしてその過程をここで綴っていきたいと思う。
 
40代のおっさんがどこまでできるのか。
ぜひ皆さんにも温かく見守っていただきたい。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
佐藤謙介(READING LIFE編集部公認ライター)

静岡県生まれ。鎌倉市在住。
幼少期は学校一の肥満児で、校内マラソン大会では3年連続最下位。ところが35歳の時にトレイルランニングに出会い、その魅力に憑りつかれ、今ではウルトラトレイルランニングを中心に年に数本のレースに参加している。2019年には世界最高峰のウルトラトレイルランニングの大会「UTMB」に参戦し完走。2023年イタリアで開催された330kmの超ロングトレイルレース「トルデジアン」に完走。普段は鎌倉・湘南エリアを中心にトレイルランニングを日常として楽しんでいる。
天狼院メディアグランプリ 56st season 総合優勝

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