週刊READING LIFE vol.15

カドっこが欲しい!《週刊READING LIFE vol.15「文具FANATIC!」》


記事:北村涼子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 
 

「カドっこを求める文具」といえば。
みなさん、まずは何を思いますか?
「消しゴム」? 大有りですね、ほんと私もそう思います。
ピンポイントの部分を消そうとして、いらぬところまで消してしまう。
そして、「ちっ」と舌打ちしたくなる。そんなこと、しょっちゅうですね。そして、カドっこばかりの消しゴム使っている人を見て、「いーなー」と思いつつも自分はその消しゴムを買ったことがない。そう、実は私はそこまで消しゴムのカドっこを必要としていなかった、てこと。
消しゴムのカドっこよりも、私が所望する「カドっこ」は、「シャー芯」。
そう、シャーペンの芯!
メーカー名や硬さや濃淡なんてものは何でも良い。
私の重点はそこじゃない。
細さ! である。
以前仕事で複雑な漢字が山ほど含まれた文章をノートに手書きするという作業を行っていた。1㎝幅の行に2行を押し込み書き綴っていく。その時、私はなんの疑いも無く以前から使っていたお気に入りのシャーペンでひたすらその仕事に取り掛かっていた。そしてある時、気付きたくないことに気付いてしまった。
「このシャーペンめっちゃ書きにくい」と。
長年使ってきたシャーペン。愛着もあるし、指もフィットするし何があかんのか。ちょっとしたぼろぼろ感も愛おしく思うシャーペン。
それがだ、小さな小さな文字を書くことによって不具合が出てきた。
太さ。
太いねん、これ!! と、気付けば毎度そのシャーペンで書く字に突っ込んでいた私。
太いと言ってもシャーペンの芯なんで細いと言えば細い。しかし私が必要としている代物ではない。書いていくと芯の先端の面積がより広くなっていく。広くなれば自ずと芯と紙との接触部分も広くなる。そんな状態で小さな小さな文字を書いているとのっぺりした字の集まりとなり見た目が汚い。私としては許せない。画数の多い字なんて何書いているんだか、という字になってしまう。接触面積が大きいからこっちの面を使おう、とシャーペンの向きを変えてみたら……。
「くるん」 とシャー芯が回って元どおりになった!! なんでやねん!?
シャーペンを持つ向きを変えても何しても「くるん」て元どおり。
そこで意を決してこの愛着あるシャーペンを手放し新しいシャーペンを購入することにした。
文具売り場で見つけた「トガり続けるシャーペン」というもの。これは書くたびに芯が回転して円錐形に摩耗していく、というもの。よってずっと先端はトンがってるてこと。
これ! これを求めていた! と、飛びついた。
さようなら、愛着あったぼろぼろシャーペンよ。私はこちらへ乗り換えます。あの憂鬱な気持ちからさよならできるんやー、と喜び勇んで会社で使用してみた。
あれ? なんやろ、この残念感。
残念でならない感覚。思っていたものではない。
回転して欲しくない芯が回転する。なぜ回転する? しかしこれは回転して当たり前である。回転しながら先端をトガらせる、て売り文句だから。こいつは正々堂々と回転するべき代物である。でも、私としては許せなかったのだ。
きっともっとちゃんとした使い方があって、それの使い方がまっとうされた時に初めてこの「トガり続けるシャーペン」は活きてくるのであろう。
ネットで調べてみても「適度な筆圧が必要」とか「適度な角度が必要」とか、いろいろ書かれている。私はそれのどれもがうまくできていなかったのか!? まぁ、どうでもよい。とにかく私はこれには合わなかったってことで片付けよう。
そして、すぐに次! 次を探す。
そこで目をつけたものはシャーペンではなく、シャー芯の方。
シャー芯に0.5ミリ以外があるってことさえ頭の中からすっ飛んでいた。
そういえばZEBRAのサラサだって、私は一番細いボール径である0.3ミリを使っている。
細かい字を書くときにはやはり細い方が重宝する。
と言うことで、「シャープペンシルの芯0.3ミリ」に初挑戦!
さっそく購入して、再び登場のお気に入りシャーペンに投入。
そして、笑う。入れたはなからスーッとシャーペンの先からそのまんま出てくる。
チキチキ、と最上部をノックするまでもなく、スーッと。
そらそうだ、だってこのお気に入りシャーペンは0.5ミリのシャー芯対応。
径が違う!
ということでまたもやお気に入りシャーペンは蔵に入ることになる。やっぱりあなたとはご縁が薄いってことで……仕方がない。
「0.3ミリシャー芯対応シャーペン」を購入。
シャー芯投入。チキチキ、と最上部をノックする。出てくる出てくる0.3ミリ。
そして書く。
おぉ! やばい。最高である。私が求めていたカドっこがもろに現れる。いつ何時手に持ってもいつもカドっこが紙に当たる
「これ!!」
私が求めていた書き心地、これ!
これで細かい小さな字をなんのストレスも無く書いていくことができる。
現にそのシャー芯とシャーペンに変えた箇所が一目瞭然にわかるほどそのノートはきれいに整備された。

 

ここまで細かい字を書いていると、やはり冒頭で出てきたカドっこがいっぱいの消しゴムまで欲しくなってしまうが、「私、ミスしませんから」というノリで消しゴムよりもシャー芯押しで抜けようと思います。
今年、小さな手帳を手にされた方、是非この0.3ミリシャー芯の世界へお越しください。
一度書いてしまうと手離せませんよ。

 
 

ライタープロフィール
北村涼子
1976年京都生まれ。京都育ち、京都市在住。
大阪の老舗三流女子大を卒業後、普通にOL、普通に結婚、普通に子育て、普通に兼業主婦、普通に生活してきたつもりでいた。
ある時、生きにくさを感じて自分が普通じゃないことに気付く。
そんな自分を表現する術を知るために天狼院ライティングゼミを受講。
京都人全員が腹黒いってわけやないで! と言いつつ誰よりも腹黒さを感じる自分。
趣味は楽しいお酒を飲むことと無になれる描きモノ。

http://tenro-in.com/zemi/66768


2019-01-15 | Posted in 週刊READING LIFE vol.15

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