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週刊READING LIFE vol.25

わたしの記事はう○こなの。《週刊READING LIFE Vol.25「私が書く理由」》


記事:江島 ぴりか(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 

もしも今、食事中であれば、
いったん箸を休めるか、食後1時間くらいたってから、またのちほどこのページに戻ってきてほしい。
あえて私の希望をいうなら、いやらしいかもしれないけどアクセス数をあげられるので、できれば後者をおすすめする。
 
さて、あなたは便通がいい方だろうか?
それとも便秘ぎみ?
私はだいたい毎日ある方だが、それでもときたま環境の変化とか、バリウム飲んだ影響とか、生理前の体調のせいとかで、なかなか出ないことがある。
毎日出しているものが、2日も3日も出ないと、本当に鬱々してくる。
明らかにおなかが張ってくるし、排泄口そばまで便が下りてきている感じがするのに、出てきてくれない。
力んでみたり、水をたくさん飲んでみたりするけども、コロコロっとちょっと落ちてくるくらいで、スッキリしない。バナナ状の健康的な便が恋しくてしかたがなくなる。
こうやって文字化するとなんだかおかしく聞こえるかもしれないけど、排泄欲というのは、食欲と同じくらい私たちの命を支えているものだ。もし出なかったら、体の中にいろんな毒素や不要なカスが蓄積されて、確実に病気になってしまう。
そして、スムーズにたっぷり出てきてくれたときの爽快さは格別である。大げさでもなんでもなく、至福の瞬間だ。ヘンタイだと思われるだろうけど、ついしっかり色や形もチェックしてしまう。それは、私の体の大切なバロメーターなのだ。
朝スッキリすると、その日一番の大仕事が終わった感じで、その後はどんな面倒なタスクも軽やかにこなせる気がする。食べ過ぎたチョコレートや餃子と一緒に、昨日起こった嫌な出来事も、恋人の気になるひとことも、すべてが便器に吸い込まれて流れていった気がする。そうして、またまっさらな気持ちで何か新しいことをしてみたくなるし、できるような気がするのだ。

 
 
 

なんでう○この話なんかしてるんだ?
 
そう思われたかもしれないが、こうやって記事を書いていて、いいフレーズが出てこないとき、おもしろいアイデアが浮かばないとき、ボンヤリと何かが思いつきそうで具体的に言語化できないときの苦しい感覚が、まさに便秘のそれと同じなのだ。
言葉が出そうで出ない。
書いていると、しょっちゅうそんな状況に陥る。
そして、自分で納得のいく素晴らしい文章が書けたときは、気分が晴れやかでスッキリする。
ものすごい達成感が得られるし、さあ次は何を書こう? もっともっと書きたい! となる。
逆に、とりあえず書けてもなんだかスッキリしないこともある。文字通り、クソみたいな記事しか書けなくて。それはすごく硬い便とか消化不良で起こる下痢みたいなものだ。出してもまだ何か残っている気がしたり、痛みを感じたりする。
 
私にとって、書くことは排便のような生理現象だ。
書きたくて書くというより、書かないと病んでしまう。
ちゃんと食べた物を出さないと、食欲がわかなくなるのと一緒だ。
古くなってしまった記憶や思考、感情を出さないと、前に向かって生きていこうという意欲がわかないのだ。
日々浮上しては溜まっていく、気持ちや考え、情報などを外に排泄することで、頭と心に常に新しいスペースを確保し、そこにまた新たなものを取り入れたり、アイデアを生み出したりすることが可能になる。
別に、怒りや悲しみなどのネガティブな感情や否定的な考えばかりを排泄するわけではない。
うれしいことも楽しいことも、しっかりと書いて出すことで、また次のステージに向かえる気がするのだ。

 
 
 

いやぁ……。言いたいことはなんとなくわかるけど、じゃあ結局、お前は自分のう○こみたいな記事を、他人に読ませているってことなのか? それはちょっと、あんまりなたとえじゃないか?
 
確かに。
でも、それはそもそもう○こを誤解している。
私にとっては不要になったものでも、それを必要としている人がいるのだ。
私にとっては古くなったものでも、誰かにとっては新しい何かかもしれないのだ。
この記事をここまで読み続けた人は、まさにその誰かなのかもしれない。
昆虫のフンが微生物の食料になったり、家畜のフンが田畑の肥料になったりするのと同じだ。
めぐりめぐって、田畑で取れた作物は、私たち人間の栄養になっている。
私が映画を観たり本を読んだりするのだって、結局、他人のう○こをもらっているようなものだ。
もちろん、それは私にとってはう○こではなく、すばらしい栄養だ。
 
書くことで、自分の中に溜まってきたものを出し、一方で他人が出した知識や経験、考えや思いを取り入れていく。そうしていくことで、日々心と思考は新しく生まれ変わり、さらに成長していくことができるのだ。
体の成長と違い、心と思考の成長には年齢制限がない。ライティングによって起こる新陳代謝の大きな特徴はそこだ。書き続ける限り、心は、思考は、この体が朽ちるまで生まれ変われるのだ。

 
 
 

いつだったか、天狼院書店の三浦店主が、いいものを書くためにもライターには十分な睡眠が必要だと言っていた。ライティングに集中できる環境と、書く体力を持続させるための食べ物や飲み物も大事だと。
規則正しい生活と、水分と、適切な環境……まさに、現実の便秘解消のために必要なこともそれだ。
それでもなかなか出ないときは便秘薬の出番だが、私のライティングにおける便秘薬は、この週刊READING LIFEの課題だ。課題のテーマによって効き目はいろいろだ。スムーズに出るときもあれば、〆切ギリギリまで踏ん張って、なんとかある程度の分量を出せることもある。最近は、出す習慣がようやく定着してきて、ほぼ毎週記事を提出できている。排泄物の状態が良くなくて、掲載されないことも多いが。
 
もうしばらくは、この便秘薬にお世話になるつもりだ。
でも、いつか便秘薬がなくても毎日書けるようになりたい。それが、私の目標である。

 
 

❏ライタープロフィール
江島 ぴりか  Etou Pirika (READING LIFE公認ライター)
北海道生まれ、北海道育ち、ロシア帰り。
大学は理系だったが、某局で放送されていた『海の向こうで暮らしてみれば』に憧れ、日本語教師を目指して上京。その後、主にロシアと東京を行ったり来たりの10年間を過ごす。現在は、国際交流・日本語教育に関する仕事に従事している。
2018年9月から天狼院書店READING LIFE編集部ライターズ倶楽部に参加。
趣味はミニシアターと美術館めぐり。特技はタロット占い。ゾンビと妖怪とオカルト好き。中途半端なベジタリアン。夢は海外を移住し続けながら生きることと、バチカンにあるエクソシスト(悪魔祓い)養成講座への潜入取材。

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2019-03-25 | Posted in 週刊READING LIFE vol.25

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