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週刊READING LIFE vol.5

あなたは何時何分? 人生100年時代の「人生時計」をExcelで作ってみた《週刊READING LIFE vol.5「年を重ねるということ」》


記事:牧 美帆(READING LIFE公認ライター)
 
 
「あなた方は、時計に例えると、まだ朝が来るか来ないかの時間なんですよ」
 
私の通っていた短大には、和室で座禅を組みながら法話を聞くという授業があった。
そのときに住職の方からうかがって、20年近く経った今でも印象に残っているのが、人生を時計に例えた話だ。
 
0歳が0時。
80歳が24時。
80歳の半分である40歳が、昼の12時。
そして、80歳の四分の一である20歳が、朝の6時。
 
親に守られながら眠り、星空の下でたくさんの夢を見ていた子供の頃の自分。
やがて朝陽が昇り、会に出かけていく。それが20歳前後というわけだ。
そして60歳で夜を迎えた後は、また星空を見ながら、ゆっくりと自分の一日、人生を振り返る……。
 
「老いは怖くありません。なぜなら、歳を重ねることで、私たちは美しい星空を見ることができるからです。これは、ご褒美なんですよ。」
 
漠然と老いや死を怖れていた20歳の自分は、その言葉に救われたことを憶えている。
 
さて、あなたは今、いったい何時何分を生きているか、知りたくならないだろうか?
Excelで簡単に計算できる方法を考えてみた。
もしExcelがパソコンに入っていないという方は、「Google Spreadsheet」という無料のサービスがあるので、そちらで試してほしい。
 
セルA1(A列1行目)を「自分の年齢」を手入力する箱。
セルB1(B列1行目)を「時」の計算をする箱。
セルC1(C列1行目)を「分」の計算をする箱。
とする。
 
セルA1に自分の年齢を半角数字で入力する。私の場合は38歳なので、「38」となる。(カギカッコは入力しない)。
セルB1に「=INT(24/(80/A1))」をコピーして貼り付ける(カギカッコは入力しない)。
セルC1に「=ROUND(MOD(24/(80/A1),1),1)*60」をコピーして貼り付ける(カギカッコは入力しない)。
数式については、ここでは「おまじない」だと思ってほしい。
 
結果は、
セルA1は38。
セルB1は11。
セルC1は24。
となる。つまり、38歳は80年の人生時計だと、午前11時24分というわけだ。
これが39歳だと11時42分、そして40歳で12時ちょうどになる。
 
もし手元にパソコンがないという方は、「人生時計」で検索すると、いくつか計算できるサイトがいくつかヒットするので、そちらで試してほしい。
 
ここで、
「あれ? 他のサイトで計算した結果と、このExcelとで結果が異なるけど?」
と思われる方が出てくるかもしれない。
それは、基準となる年齢が異なるからである。
サイトによって、70歳を24時としているところ、72歳を24時としているところなど、まちまちだ。そのため、結果はそれぞれ異なる。
しかし、それは大した問題ではない。
大切なのは、正確さより「自分が今だいたい何時くらいなのか」という認識を持つことだ。
 
自分で調べてみた感想は
「あ、まだ私って「午前中」なんだ!」
だった。
 
ここのところずっと、焦りを感じていた。
自分よりずっと年下の人たちが、ずっとずっと面白い記事を書いている。
37で思い切って前職を辞めたものの、今から文章で何かをするには、もう遅いのではないかと思っていた。
 
しかし、38歳というのは、「昼休み」にすら入っていない。
これから、休息を取って、「午後からは何の仕事をしようかな?」と考えるお昼休みに入る。
そして、43歳でようやく、
「さて、午後の仕事を始めるか!」
となるのだ。
 
2016年に出版された「LIFE SHIFT ――100年時代の人生戦略」の大ヒット以降、「人生100年時代」という言葉をあちこちで聞くようになった。政府も「人生100年時代構想会議」を設置している。
 
となると、この「人生時計」の概念も、人生100年時代に合わせ、
50歳で12時。
100歳で24時。
となるように、アップデートをする必要があるのではないだろうか?
 
セルA1はそのまま。そして、
セルB1を「=INT(24/(100/A1))」
セルC1を「=ROUND(MOD(24/(100/A1),1),1)*60」
に、変更してみよう。
 
この「基準となる年齢の変更」が簡単にできるように、既存のWebサービスではなくExcelを使ったというわけだ。
 
あなたの人生時計は、何時何分になっただろうか?
38歳の私の時計は、9時6分をさしている。
なんと、仕事の時間が始まったばかりではないか!
 
そう、私のライティング人生も、きっと始まったばかり。
 
星空をゆっくり眺める時間が遠ざかってしまったのは少し残念だが、その分、昼間の楽しみ、昼間にしかできないことがたくさんある。
ときにはお昼寝も大切だが、それだけで貴重な時間をつぶしてしまわないように、フルスロットルで、かつ大切に歳を重ねて行きたい。

 

 

❏ライタープロフィール
牧 美帆(Miho MAKI)
兵庫県尼崎市生まれ、大阪府堺市在住のコテコテ関西人。
幼少の頃から記憶力に難ありで、見聞きしたことを片っ端から忘れていくが、文章を書きつづり、ITを使い倒すことでなんとか社会人として生き延びている。
ITインストラクター、企業のシステム管理者を経て、現在は在宅勤務&副業OKのベンチャー企業でメディア全般を担当。趣味は温泉。
メディアグランプリ週間1位3回/READING LIFE公認ライター。

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2018-11-05 | Posted in 週刊READING LIFE vol.5

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