第5回:旬の魚で干物作りのススメ《マンションの1室で簡単にできる! 1時間で仕込む保存食作り》
2022/03/28/公開
記事:赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
1時間あったら、いつもは何をされますか?
この連載では、マンションの1室で簡単にできる『1時間で仕込む保存食作り』についてご紹介します。日本に昔から伝わってきた美味しい保存食の知恵を、狭いマンションでも手軽に楽しめる工夫も含めてお伝えしますね。
暖かくなり、春本番という感じですね。今回は、お酒が進む一品を! というリクエストをもらいましたので、旬の魚の干物を作ります!
(写真キャプション:春が旬の魚、アジ)
食材には旬があります。旬とは、ある食材が沢山取れる時期のこと。野菜だったら露地物が多く、お魚だと、養殖ではない天然ものが手に入りやすく、栄養価も高くて美味しくなります。何より、沢山取れるので他の季節に比べ、安価に手に入るのが嬉しいですね。
買った魚を塩焼きしたり、煮物にしたりするだけでも美味しいのですが、試してみてほしいのが干物。干物って家庭で簡単に作れちゃうんですよ!
我が家は、家族が釣りをするので、魚が沢山連れた時にどうしようか考えて干物を作るようになりましたが、お店で安くて新鮮な魚を発見したら、多めに買って干物を作ることもあります。
自家製の干物は、子供達の食いつきが違います。普段は骨がひっかかると文句を言うのに、家で作った干物は、骨まで食べそうな勢い。その姿を見るとひと手間かけても作ってあげたい気持ちになります。
魚は、加工をしてから劣化が早いので、普段切り身を買う時もお魚屋さんや鮮魚コーナーで、丸の魚をさばいてもらって購入する方が、より美味しく食べられます。その時にどんな調理方法が美味しいか聞いてみるのも楽しいです。
干物用の魚を購入する場合には、丸々1匹の魚を「干物用に腹開き(もしくは背開き)にしてください」と頼んでもらうと、すぐに干物作りに取りかかることができます。
それでは、仕込み開始です!!
<1時間で魚の干物を仕込む>
旬の魚の干物出来上がり2枚分
仕込みの季節:年中可能
材料:旬の魚を腹開きもしくは背開きしてもらったもの2枚(今回はアジを使用)、水1L(1kg)、塩120~150g
道具:大き目のボウルやバット、泡立て器、キッチンペーパー、干しかご、ダブルジッパー付き食品保存バッグ1枚(保存用・魚の大きさにあわせてサイズは調節)
0:00 ① 水と塩をボウルに入れ、塩をよく溶かす
0:05 ② ①の塩水に魚を浸し、30分置く
大きいボウルやバットがない場合には、ダブルジッパー付き食品保存バッグに塩水を入れてその中に魚を漬け込む。魚のヒレなどで袋を傷つけると水が漏れることがあるので注意。
0:35 ③ さっと水洗いし、表面の血やオリなどの汚れをキッチンペーパーでよく拭き取る
0:40 ④干しカゴに入れてベランダなど風通しの良い所で1昼夜干す
これで仕込み完了です! 一昼夜干して、身側の表面が乾いてツヤが出たら出来上がりです。半日くらいで一度裏返すと反り返りがない仕上がりになります。
ベランダの風通しが悪い場合には、日当たりがよい窓際の室内で干しても大丈夫です。水分が落ちると汚れますので、下に新聞紙を引いておくと片付けがしやすいです。室内の湿度が高い時には、1時間ほど扇風機をあてると表面が良く乾きます。
市販の干物は、天日干ししているものが少なく、製造してから消費者の手元につくまでに日にちが経ってしまいます。干物と言えど作り立てが美味しいですし、太陽の光があたると旨味が増します。
出来上がった干物は、ダブルジッパー付き食品保存バッグに入れて冷蔵庫で保存します。保存料などは使わないので、1週間をメドに食べて下さい。
魚をさばいてみる
魚の鮮度をより上げるために魚を家でさばいてみませんか。キッチンバサミと包丁さえあれば10分もかからずに簡単にさばくことができますから、ぜひチャレンジしてみてください。お子さんと一緒に魚を観察しながらさばくと、理科の食育にもなりますよ。
<魚を干物用にさばく>
材料:魚一匹
道具:ペットボトルの蓋やティースプーン(ウロコを取りたい場合)、キッチンバサミ、包丁(なければナイフで代用可)、まな板、あればペットシーツ
① ウロコを取りたい場合は、ペットボトルの蓋やスプーンで、魚の尻尾から頭の方向に向かってウロコをしごくように動かす
干物にする場合には、ウロコを取る必要はありませんが、気になる場合には取ります。
② 魚の口から肛門を通りしっぽの部分までキッチンバサミで切れ込みを入れる
③ 内臓、エラを取る
エラが取りにくい場合には、キッチンバサミで切って外す。
④ 内臓の奥の骨の前に血が溜まっている部分があるので、キッチンバサミの先で掻きだすようにこそぐ
こそいでおくと、水で流した時に、血がとれやすい。
⑤ 流水で内臓の汚れを洗い流す
魚を洗う回数は少ないほどよいので、ウロコを取った場合もこの時に一緒に洗い流す。塩水につけている間によごれは落ちるので、干物用にさばく場合には、神経質に洗い流さず短時間の作業で切り上げる。
⑥ 骨に沿って魚の背側まで包丁もしくはナイフで、切れ込みを入れて開く
背側まで刃で切ってしまわないように気を付けて、最後は手で開く。
これで完成です!
もしも、釣った魚を干物にする時には参考にしてみてください!
魚の旬を知ろう
〇がついている魚は家庭で干物にしやすい魚です。地域によっても多少異なり、旬がまたいでいる場合もありますので、ネットなどで調べてみてください。色々な魚で干物を作ってみてくださいね。
春(3~5月)の魚
〇サヨリ、〇タイ、〇アジ、サワラ、〇イサキ、シラウオ、ワカサギ、カツオ、〇メバル
夏(6~8月)
〇アジ、スズキ、〇メバル、アナゴ、イワシ、タチウオ、〇イサキ、〇キス
秋(9~11月)
サンマ、イワシ、シラス、サケ、タチウオ、ヒラメ、カツオ(戻りカツオ)、ノドグロ
冬(12~2月)
〇キンメダイ、アンコウ、ブリ、タラ、〇タイ
通年魚
マグロ、〇カレイ
Let‘s try 魚の干物!
*おまけ*干しカゴの選び方
干しカゴがあると、野菜が沢山手に入った時に干し野菜を作ったり、ドライフルーツを作ったり、魚の干物を作る時に干すことができるので便利です。上のカゴは100均のお店で安価に手に入りますが、ジッパーの部分が小さいため、出し入れしづらいのが難点です。下のようなタイプのものはホームセンターで、1000円程度で購入できます。入り口が広くて、一度にたくさんの物を干すことができます。どちらも折りたたむことができるので、場所を取らずに収納できます。干物にハマったらぜひ購入してみてください。
干しカゴがない場合には、靴下など小物の洗濯物を干すピンチハンガーに挟んで干すこともできますが、特に春から秋にかけては、虫が寄ってきますので、干しカゴを使うことをおススメします。
(文:赤羽かなえ、写真:たけださなえ)
□ライターズプロフィール
赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
広島県在住。横浜から広島に移住した当初はほぼ外食暮らしをしていたが、産直などで手に入る自然の恵みに魅せられて保存食作りを始める。今では味噌や沢庵などの発酵食品から梅干し、栗の渋皮煮などを手作りしながら、発酵仕掛人として発酵の魅力を伝えている。また、子供達が自分達の力で一汁二菜を作るキッズキッチンのインストラクターをしていた経験から、単に料理を作るということにとどまらない食文化を伝える食育の必要性を感じている。
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