1時間で仕込む保存食作り

第4回:米麹で作る一番簡単な保存調味料、塩こうじ《マンションの1室で簡単にできる! 1時間で仕込む保存食作り》


2022/02/28/公開
記事:赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
1時間あったら、いつもは何をされますか?
 
この連載では、マンションの1室で簡単にできる『1時間で仕込む保存食作り』についてご紹介します。日本に昔から伝わってきた美味しい保存食の知恵を、狭いマンションでも手軽に楽しめる工夫も含めてお伝えしますね。
 
今回は、昔の人達から伝わる麹文化に敬意を払いながら、米麹で一番簡単に仕込める塩こうじを一緒に作っていきます!
 
麹は、メーカーや作り手さんによって違います。ぜひ、お気に入りの米麹を見つけて、塩こうじを作り、調理にとり入れてみてください。
 
日々の食事、何を食べるかということも大切ですが、実は、どのように調理して食べるかということも大切です。麹には30種類以上の酵素が含まれていて、食物の栄養を分解して消化・吸収を助ける役割があるということがわかりました。
 
私達の身体に食べ物が入るとまず口で噛んで咀嚼しますよね。その時に重要な唾液にも沢山の酵素が含まれています。麹を料理に取り入れると、食べ物が口に入る前に酵素の力で事前に分解してくれるので消化を助けてくれるという仕組みです。だから、塩こうじや味噌、醤油に漬け込んでおいたお肉や魚などは、酵素の力で柔らかかったり、旨味が増したりするのです。
 
塩こうじを使って料理を手軽に、そしてさらに美味しくしちゃいましょう!
 
それでは、仕込み開始です!!
 
 

<1時間で塩こうじを仕込む>


塩こうじの出来上がり約1kg
仕込みの季節:年中可能
材料:米麹400g、塩140g、水500g~
道具:煮沸消毒した容器、ボウル、菜箸
 
0:00 ① 米麹と塩をボウルに入れ混ぜ合わせる


 
0:05 ② 保存容器に①を移す
保存容器の口が狭い場合には、スプーンなどを使ってこぼさないようにする
 
0:10 ③ ②に水をそそぎ、菜箸でよくかき混ぜる


 
これで仕込み完了です! 常温に1週間ほどおいておきますが、1日1回程度清潔なスプーンでかき混ぜます。その際に麹が水を吸って水面より麹が上に出て乾燥していたら大さじ1程度水を足してください。季節にもよりますが、7日間前後置いて米麹が柔らかくなったら使えます。冷蔵庫に入れて保存してください。
 
塩こうじは、時間と共に熟成していきます。塩カドがとれて味わいがまろやかになっていくのです。時には少しアルコールのような香りで日本酒のような風味になることもあります。ぷくぷくと泡立つこともありますが、発酵の過程ですので調理には使えます。ただし、明らかにアルコールの香りが強い場合には、アルコール発酵している可能性があるので、使う時に必ず火を入れてアルコール分を飛ばしてから使ってください。アルコール発酵すること自体は発酵の過程としてはごく自然のものなので失敗ではありません。
 
しばらくして好みの味になったところで食品保存バッグに入れ、小分けにして冷凍すると長期間保存も可能です。
 
一度にたくさん作ってすぐ使う用、長く熟成させる用に容器を分けておくと使いやすいかもしれませんね。
 
 

塩こうじの使い方


塩こうじは、塩と置き換えて使うようにすると、用途のイメージが付きやすいです。最初は、素材の重量の10%を目安の分量として使い、ご家庭のいい塩梅を見つけて下さい。
 
〇お漬物
野菜を適当な大きさに切っておき、塩こうじでもみ込みます。1時間ほど置いておくと浅漬けのできあがり。寝かせれば寝かせるほど味が深くなります。置いておく時間が2時間を超えるようなら冷蔵庫で保存してください。
 
〇肉や魚の漬け込み
食べやすい大きさに切った素材に塩こうじをもみ込んで食品保存バッグに入れて置いておきます。30分~1週間ほど保存できるので、お弁当のおかずの大きさに切っておけば、朝のお弁当作りの強い味方になります。
 
〇塩こうじ豆腐
木綿豆腐を軽く水切りして、表面に塩こうじを塗ります。保存容器に入れて1~2日たつとコクがでてきます。そのまま食べても、潰して白和えの和え衣としてもつかえます。水が上がってきたらこまめに水を捨てるようにすると1週間程度もちます。日を追うごとにチーズのように濃厚な味わいになります。
 
〇炒め物の調味料として
醤油と同じ使い方で大丈夫です。
 
〇蒸し煮にする場合
玉ねぎやカボチャ、キャベツなどに塩こうじを絡めて5分ほど置きます。素材から水気が出てきたところで蓋をして、ごく弱火で水気が飛ぶまで蒸し煮にします。水気が足りない場合には、50g~水をいれて「呼び水」をするとこげつきません(薄手のお鍋の場合はもう少し水の量を増やしてください)。素材本来の甘味が引き出されて優しい甘さが楽しめます。
 
〇炊き込みご飯の調味料として
炊飯器にといだ米と炊飯ラインよりも少なめに水をいれ、塩こうじを入れ、混ぜておきます。お米2合に対して塩こうじ大さじ1~2程度、あとは醤油などで味をととのえます。あとは具材を上に乗せてスイッチを押すだけ。昆布やキノコ類を入れると風味がよくなります。
 
〇スープの味付けに
素材を炒めて、塩こうじで少し濃い目に味をつけたところに、水を足していきます。味を見ながら最後に、追い塩こうじか醤油などで仕上げると、出汁いらずのスープになります。
 
〇ドレッシングに
塩こうじ、好きな油、酢、好みで砂糖を入れてかき混ぜます。
 
その他、ハンバーグや肉団子などに混ぜたり、お鍋の味付けに使ったりと年中大活躍してくれます。
 
 

水分を色々な野菜に替えて○○麹を仕込む!


水の分量の代わりに、色々な野菜を使って色んな塩こうじをつくってみましょう。素材の味が相まって旨味が増します。


(左から、玉ねぎ麹、トマト麹、ニンニク麹、醤油麹)
 
 
〇玉ねぎ麹
水の代わりに玉ねぎのすりおろしを入れます。出来上がるとコンソメの風味に! ハンバーグのタネやスープなどに大活躍です。
 
〇トマト麹
水の代わりにミキサーにかけたトマト(食塩無添加のトマトジュースでも可能)を入れます。トマトソースやスープ、カレー、タレなど、隠し味的に使ったり、玉ねぎ麹とあわせて使っても美味しいです。
 
〇ニンニク麹・生姜麹
ほんの少しつくっておけば、味付けに大活躍します。一度に作っておくと、使う都度切ったりすりおろしたりする手間が省けるのも時短になりますね。安い時に買って、仕込んでおくと料理の際に時短になりますし、食材のロスも防げます。
 
〇醤油麹
醤油麹だけは、少し作り方が異なります。醤油は最初から塩気があるので、塩を足しません。醤油に米麹を入れて熟成させるだけです。私のおススメは昆布を切手大入れること。旨味が増します。
 
今回は、塩気を加えた麹の使い方をまとめました。麹を使った仕事はまだまだ色々あるので、また別の機会にご紹介できたらいいなと思います。
 
ご覧いただいた通り、そして素材というシンプルな材料でできているので、それぞれの質にこだわると出来上がりもとても美味しいものになります。こだわる人は、米麹を色々な生産者から取り寄せてブレンドする、と言う方もいらっしゃいます。生産者によって、お米や麹菌の種類、配合も違うので全く違う味わいが楽しめますよ。
 
ぜひ、お気に入りの麹や塩を見つけて下さいね。
 
Let‘s try 塩こうじ!
 
 

塩こうじの使い道


漬物、肉や魚の漬け込み、炒め物、蒸し煮、炊き込みご飯、スープの味付けとして、塩や醤油の代わりに使ってみてください。
 

(鮭の塩こうじホイル焼きと青菜の塩こうじ炒め)
 
 

*おまけ*マンションで保存食作りを楽しむ一工夫:容器の話

保存食が増えてくると悩むのが保存する容器。行きあたりばったりで揃えると、のちのち収納に困ることになりますので、買い足すときには慎重に検討されることをおススメします。手軽に購入出来て使い勝手がいいのは、100均やホームセンターに売っているスクリュータイプの瓶。丈夫で長持ちですし、ホームセンターには蓋のスペアも売っているので再利用もしやすいです。450ml、900ml、1.8Lタイプが同じ蓋のサイズで売っているのも使いやすいので、愛用しています。スペースを取りたくないという方は、食品保存バッグを使うと省スペースです。液体がもれやすいものは、二重にして使いましょう。

 
 
 
 
(文:赤羽かなえ、写真:たけださなえ)

□ライターズプロフィール
赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)

広島県在住。横浜から広島に移住した当初はほぼ外食暮らしをしていたが、産直などで手に入る自然の恵みに魅せられて保存食作りを始める。今では味噌や沢庵などの発酵食品から梅干し、栗の渋皮煮などを手作りしながら、発酵仕掛人として発酵の魅力を伝えている。また、子供達が自分達の力で一汁二菜を作るキッズキッチンのインストラクターをしていた経験から、単に料理を作るということにとどまらない食文化を伝える食育の必要性を感じている。

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2022-02-23 | Posted in 1時間で仕込む保存食作り

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