メディアグランプリ

第5回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》 


記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 

 

恋愛と結婚の違いを正しく理解する。

前回までは、結婚で得られるものと、失うもの。というテーマで、年代別や時代背景についてお伝えしました。

今回は、‘恋愛と結婚の違いを正しく理解する’についてです。

 

前回もお伝えしたように、

・「恋愛と結婚。もちろん、違うに決まってる」とそれぞれの見解は異なるかと思います。

・正しく理解する。とはいえ、個人の見解で異なる事もあるかと思いますし、個人差はございます。

これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。

 

しかし、具体的に何が違うのか?

私は全く深く考えた事がなかったので、22歳で結婚しましたが、2年半で離婚を経験しました。そんな私が、今、伝えたい事は……。

 

 

‘恋愛と結婚の違い’について、5つの観点からまとめてみました。

 

1.「点」と「線」

  • 恋愛: 最高の瞬間、点と点を繋ぎ合わせる作業です。デートのために着飾り、良いところを見せ合い、楽しい時間を共有します。いわば‘非日常を楽しむ関係’
  • 結婚: 冴えない朝も、疲れた夜も、病める時も続く日常です。パジャマ姿で歯を磨き、ゴミ出しをし、家計をやりくりする。かっこ悪い部分も含めた‘日常を共有する関係’

 

2.「感情」と「社会的」な責任の所在

  • 恋愛: 「自分の気持ち・感情」にあります。

好きだから一緒にいる、気持ちが冷めたら離れる。それは個人の自由であり選択の連続です。

  • 結婚: 自分の気持ちだけでなく「契約・信頼」が伴います。

親族との付き合いや住居の維持、将来設計など、お互いの人生を背負い合う覚悟の連続です。

 

3.「見つめ合う」と「同じ方向を見る」

  • 恋愛: 相手が自分をどう思っているか? 自分を幸せにしてくれるか? という対面の見つめ合う視点です。相手の顔色や反応が最大の関心事になります。
  • 結婚: 二人でこれからどう生きていくか? という同じ未来の景色を見る並走の視点です。子供の教育や親の介護、老後の住まいなど、共通のゴールに向かうパートナー(戦友)になります。

 

4.「奪い合う」から「与え合う」へ

  • 恋愛: 「もっと連絡してほしい」「もっと愛してほしい」と、相手に完璧や理想を求める(奪う)側面が強くなりがちです。
  • 結婚: 相手の欠点や不完全さを「お互い様」と受け入れ、どうすれば相手が心地よくいられるかを考える、許容と創造の場です。幸せを「もらう」のではなく、夫婦二人で「育てる・分かち合う・与え合う」感覚に変わります。

 

5.「共演者」と「演出家」

  • 恋愛:最高のシーンを演じる「共演者」でありカメラが回っている間だけ、お互いに最高の自分を演出し合う関係。
  • 結婚:一本の映画を共に作る「共同演出家」であり裏方の苦労も、予算の計算も、トラブルの解決も一緒に担う。完成した「家族」という作品を推敲し続けるパートナー。

 

 

【ときめきを安心に変え、自由を絆に変えて】

「明日からは名前も変わって、生活も変わるね」

と母がキッチンで言った。

いよいよ明日は、ご新郎・ご新婦様の付き合い始めた2年目記念日。朝から区役所に2人で‘婚姻届’を提出し結婚式へと向かう。

 

挙式前日の夜。

ご新婦様はふと、お母様の横顔を見つめた。

「ねえ、お母さん。恋愛と結婚って、何が違うと思う?」

突然の問いに、母は少し笑った。

「あなた、やっとそこに来たのね」

と静かに続ける。

「恋人はね、不安と戦うの。嫌われないかな、冷められないかな。って」

彼女は思い当たる節がありすぎて、苦笑した。

 

「でも夫婦はね、不満と戦うのよ」

「え、不満?」

「そうそう、理想通りにはいかないから」

父がリビングから、会話に加わる。

「父さんは若い頃、いつも母さんに完璧を求めてた」

母が即座に大きく頷き、3人で声をあげて笑った。

 

父が続けて

「でもな。完璧なんて幻想だ。不完全を受け入れた瞬間、楽になった。

そこからがやっと、夫婦の始まりだったんだ」

父の話を聞きながら、彼女は恋人時代彼にときめき、手を繋ぐだけで世界が輝いた事を思い出していた。

でも、結婚を決めた理由はそこじゃない。

残業続きで心が折れそうな夜、彼はただ隣に座ってくれた。

何も解決しない。

でも、彼がそばにいてくれただけで安心した。

ときめきではなく、安心。そして、信頼。

恋人は夢を見る、夫婦は現実を見る。

 

父がさらに、続けた。

「だがな、現実を一緒に見るってのは、なかなかロマンチックだぞ」

現実は住宅ローンや親の介護、子育て、仕事の浮き沈み。と、キラキラは少ない。

でも、戦略は必要だ。

夫婦は、幸せを創り出す共同経営者のようなものだ。

 

彼女はふと、明日のご新郎様の顔を思い浮かべた。

彼とは、何度もぶつかった。

価値観も育ちも違う、他人だった。

でも今は、同じ方向を見ている。

 

「自由な関係が恋人、運命を共にするのが夫婦」

母の言葉が静かに響く。

そのときふと、彼女は気づいた。

‘恋愛は感情のプロジェクトで、結婚は人生のプロジェクトマネジメント’

「夫婦は同じ未来を見る関係で、愛情は育てるもの。かな?」

 

翌日、チャペルの扉が開く直前。

父は娘の手を取りながら、

「結婚式は恋を卒業する日じゃない、愛を経営する始まりの日だ」

と言い聞かせた。その言葉にご新婦様は、胸が熱くなった。

バージンロードの先には、恋人が立っている。

これから、夫になる人だ。

 

ご新郎・ご新婦様は、まっすぐに見つめ合った。

そして、未来という同じ方向へ! と向きを変えた。

 

大きな拍手の中で「結婚は覚悟だな」と一瞬、彼女は思った。

恋愛を理解せずに結婚すると、理想に苦しむ。

結婚を理解せずに恋愛すると、未来に迷う。

 

これからお互いの違いを知ることは、深めること。

愛とは、感情ではなく選択の連続。

選び続ける人だけが「安心と信頼」という、最強のときめきを手に入れる。

 

ご両親様はお2人を見守り、涙ぐんでいた。

「かつて恋人だったご両親様の情熱が、愛情に変わり、夢が現実に……。

そして、ご夫婦となり他人同士が運命共同体になり、ご家族となりご新婦様が生まれた」

 

世代を越えて続くバトンは、恋愛を知り、結婚を理解し、家族を築く。

それは奇跡じゃなく、ご本人の意志だ。

その意志こそが、未来をつくる。

ご新郎様・ご新婦様は、

‘ときめきを忘れず、安心を創る夫婦になる’

と静かに誓った。

お2人の未来への物語は、ここからが本番だ。

 

 

‘恋愛と結婚の違いを正しく理解する’というテーマでお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

観点を変えてみると、

短期の値動きに一喜一憂するのが‘恋’で、恋人とは「感情の株式投資」のようなもの。

安定配当を積み重ねるのが‘結婚’で、夫婦とは「長期保有のインフラ事業」のようなもの。

 

そして人は、自分が“未完成”だと知っているので、不完全を共有できる関係がよい。

「自分の弱さも相手の弱さも知って、お互いの隣にいる人」

恋人時代や若い頃の恋は、気持ちや感情がすべて。

大人の結婚は、選択と意志がすべて。

でもね。

ときめきがゼロの結婚も、安心ゼロの恋愛も、どちらも長続きしない。

恋愛を否定せず、結婚を美化しすぎず。

現実を見たうえで、それでも一緒に歩く。

それが、大人の選択。

 

そして、ご夫婦は‘二人で未来を創る’

「どちらがいいか」じゃなく、

「自分はどんな人生設計を選ぶか」へと、

変わっていく……。

 

結婚生活は、航海のようなものです。

嵐の日も凪の日も、同じ船に乗って目的地を目指すこと。羅針盤を確認し、帆を張り、時には浸水を二人で必死に食い止める。その積み重ねが‘絆’という強固な船体を作る。

‘結婚’とは、ときめきを安心に変え、自由を絆に変える。その方がずっと、価値がある。

「ドキドキしなくなった」と嘆くのではなく、

「沈黙すら心地いい関係になれた」

という事を誇れるようになるのが、結婚の醍醐味ではないでしょうか。

 

 

 

❒ライタープロフィール

藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』

愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わりました。さらに、大好きな旅行を業務として20年。思い立ったら、世界中どこまでも行く。知らない事は、どんどん知ってみたい。 と、好奇心旺盛で即行動をする。とにかく何があっても、切り替えが早い。

ブライダル業務の経験を活かして、次の世代に何を繋げていけるのか? をいつも模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。

 

 

 

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