第6回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》
記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
これまで、第1章として
‘結婚とは何か? お2人の人生にとっての意味’
について、お伝えしてきました。
ここからは、第2章として
‘おふたりの土台作り、関係性を築く基本’
について、お伝えします。
これまでもお伝えしておりますように、個人の見解で異なる事もあるかと思います、個人差もございます。これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。
まず今回は‘上手に話すより、上手に聴くこと’についてです。
誰のための結婚式?
―ご夫婦が長く幸せに、暮らす為の3つのこと―
結婚式の打ち合わせでは、ご新郎様とご新婦様の間に、不思議な温度差が生まれることがあります。
この日も、私は最初から強い温度差を感じていました。
「披露宴では、絶対にプロジェクション・マッピングをやりたいんです!」
テーブルの上に広げられた資料を指差しながら、ご新婦様は身を乗り出すようにして話し始めた。
インスタグラムで見つけた、海外のウェディングパーティー。
友人たちが盛り上がりそうな、サプライズ演出。
入場曲、フォトラウンド、装花のイメージなど。
「あと、ドローンがリングデリバリーで空撮集合写真もいいですね? それから、再入場のときはスパークラーも最高! だし……」
楽しそうに、夢を語り続ける。
その横で、ご新郎様は静かに頷いていました。
「うん、いいんじゃないかな」
小さく微笑みながら、それだけをポツリと言います。
「聞いているよ」という態度
打ち合わせは2時間以上続き、そのほとんどの時間を、ご新婦様がお1人で話していた。
これは決して珍しい光景ではない。
上手に話そう! 自分の思いを、しっかり伝えよう。
そのお気持ちはとくに、ご新婦様に多い傾向がある。
美しいドレスを選び、会場を華やかに飾り、素敵な写真を残す。
その姿を多くの人に見てもらい、祝福される。
そこには、見栄えを大切にする気持ちや、感謝の思い。
「素敵だね」「すごいね」「キレイだね」などなど。
と言ってもらいたいという、承認の想いが混ざっている。
それもまた、人間らしい感情だと思う。
しかし私は、いつも考えてしまいます。
「この結婚式は、誰のための結婚式なのだろう」
結婚式は確かに花嫁が主役だ。それは間違いない。
けれど同時に、ゲスト側にとって結婚式とは
‘お2人の人生のスタート’をお祝いする日。
打ち合わせが少し落ち着いた頃。
私はそっと、ご新郎様に声をかけてみた。
「ご新郎様は、どんな結婚式にしたいですか?」
突然の質問に、ご新郎様は少し驚いたようだった。
そして、少し間を置いてから、ゆっくりと話し始めた。
「僕は……、両親が喜んでくれたらいいなと思っています」
ご新婦様の手が、ふっと止まった。
「うちの父は、あまり感情を出さない人なんですけど、結婚式では泣くと思うんですよ」
ご新郎様は、少し照れながら笑った。
その言葉を聞いたとき、部屋の空気がほんの少し変わった気がした。
今まで夢を語り続けていたご新婦様が、黙って彼の話を聴いている。
「派手な演出じゃなくてもいいので、両親が安心して見ていられる式が、いいかなって」
結婚式の準備とは、演出を決める作業ではない。
お2人が、本当はどうしたいのか?
何を大切にしているのか?
その想いを少しずつ、お互いに言葉にしながら、お互いの心を知っていく
結婚式の準備とは、お互いをさらに理解するための大切な時間だと思います。
その想いを丁寧に聴き出し、時には調整しながら、思いをかたちにしていく。
それが、私たちブライダルのプロの仕事でもある。
上手に話す事は、もちろん大切だ。
しかし、上手に聴く事は、もっと大切だ。
恋愛 → 結婚 → 家族
この3つの境界線が、たった数ヶ月の準備期間に凝縮されるので、聞き逃しは許されない。
ブライダルの仕事は、ドレスや演出を扱っているように見えるが、実際は人間関係の設計図を覗きながら、結婚式を創り込む仕事。
打ち合わせのテーブルの上には、未来の夫婦のコミュニケーションの癖が、すでに小さく現れている。
話す人、黙る人、譲る人、主張する人。
そこに少し耳を澄ませると、10年後のご夫婦の姿がうっすら見えることがある。
人間観察としては、かなり奥が深い世界だ。
だからこそ、なるべくお2人の温度差をなくし、同じ方向に整えていきたい。
もしご新婦様が、ご新郎様の話に少し耳を傾け、素直に聴くことができたなら……。
きっとお2人は、これから先もお互いを大切にしながら、手を取り合い、人生をずっと幸せに歩いていけるだろう。
そんなご夫妻を、私はこれまで何組も見てきた。
そんなことを思い出していると、ふと昔の記憶がよみがえった。
「聞き上手になれ」
と教えてくれたのは、父でした。
当時、高校生だった私は「はぁーっ?」と思いきり反抗した。
何を言っているのか、さっぱり分からないし、理解しようとも思わなかった。
人の心を動かすのは、上手に話す人だけではありません。それ以上に、上手に聴くことができる人なのだと、今なら思います。
結婚とはお互いに聴く練習を、一生続けていく事なのかもしれません。
‘上手に話す’だけでなく‘上手に聴く力’こそが、おふたりの土台つくりだと思います。
それでは最後に、
上手に聴く‘3つの聞き方’について、お伝えします。
- 「最後まで聞く」聴き方。
人は会話をしていると、途中で答えを作り始めます。
「それは違う」とか「こうすればいいのに」
脳はつい、結論へジャンプしたがるようです。
ところが長く続くカップルは、これをあまりやらない。
相手の言葉を途中で切らず、一回まるごと受け取る。
シンプルに見えて、実はこれが一番難しい。
なぜでしょうか。
人間の脳は、反論したがる生き物だからです。
相手の話しを、いったん全て受け止める事。結婚生活では、この小さな習慣がジワジワと効いてきます。
そうすれば「聞いてもらえた!」という感覚になり、さらに安心を生む。
安心とは、関係を長持ちさせる秘訣です。
- 「意味を聞く」聴き方。
人の言葉には‘表面の言葉とその奥にある気持ち’の二層があります。
例えば、「最近、忙しいの」という言葉。
忙しい、という事実の報告ではなくて、寂しいとか少し時間がほしいというサインかも。
長く続くカップルは、言葉をそのまま処理せずに、心の声(その奥の意味)を聞こうとする。
まるで考古学者が地層を掘るように、言葉の奥にある感情を探す。
「疲れてる?」とか「何かあった?」など。
この一言があるだけで、会話は全く違うものになる。
- 「否定しないで聞く」聴き方。
これは夫婦関係で特に重要、人は好きな相手ほど、つい言ってしまう。
「それは違うよ」とか「考えすぎじゃない?」とか「普通はこうだよ」など。
論理的には、正しいかもしれない……。
しかし、人間は否定されると反論し喧嘩になるか、心にブレーキをかけて黙る。
長く続くカップルはまず、
「そっか、そう思ったんだね」
とまず、受け止めてみる。
この一言、魔法みたいに効きます。
なぜなら人は正しさよりも、理解された感覚を求めているから。
理解されたあとでなら、意見の違いもゆっくり話せる。
この3つの聴き方は、
‘聴く耳を持つ事と、受け取る姿勢’
とてもシンプル。
人間の脳には、なかなか高度な技術かも? ですが……。
ぜひ、お試しください。
‘上手に話すより、上手に聴くこと’それが、ふたり土台をつくる。
最初の一歩なのかもしれません。
次回は‘ふたりの土台作り’次回は、性格・価値観・育った環境について、お伝えしていきます。
❒ライタープロフィール
藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』
愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わりました。さらに、大好きな旅行を業務として20年。思い立ったら、世界中どこまでも行く。知らない事は、どんどん知ってみたい。 と、好奇心旺盛で即行動をする。とにかく何があっても、切り替えが早い。
ブライダル業務の経験を活かして、次の世代に何を繋げていけるのか? をいつも模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
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