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「いい人」を「最高の夫」に変える魔法――婚活界の「マリアナ海溝」からの脱出法


 

 

 

 

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:マーガレット佐々木 ライティングゼミ2026年1月コース

 

銀座でも青山でもない、男性と食事をするには少々微妙な池袋というロケーション。そんな池袋の、決して高級とは言えないイタ飯屋の、低身長の私には少々高すぎるカウンターチェアで、私は冷えた白ワインを傾けながら、目の前の男性を観察していました。

今から約10年前、私がまだ婚活コーチどころか、婚活迷子だった頃の出来事です。なぜ婚活で忙しいはずの私が、デートしたくもない男性の「打ち明け話」を聞く羽目になったのか。それは、彼のような「いい人」ほど、婚活の闇に沈み込んでいるという現実を、目の当たりにしたからです。

 

「マリアナ海溝」に沈む好青年

目の前の男性、仮に「出木杉さん」と呼びましょう。彼との出会いは、とある婚活パーティーでした。背が高く、清潔感があり、一般的には十分「イケメン」の範疇に入る人。でも私の脳は、出会った瞬間に「いい人過ぎて無理!」と警鐘を鳴らしました。胸の前で腕をクロスさせる仕草や、小首の傾げ方。所作がどこか女性的で、見るからに「優しすぎる」タイプ。話題に詰まった私が思わず、「出木杉さんって、他人から『いい人』って言われません?」と投げかけると、彼は白目をむいて座り直し、驚くべきことを言ったのです。

「マーガレットさん、初対面なのになぜ分かったんですか。僕がいつもそう言われているって……」

聞けば、彼はこれまで「いい人なんだけど」という決まり文句で、女性に振られ続けてきたとのこと。今回、私に相談を持ちかけたのは、3年間付き合ったシングルマザーの彼女との別れが原因でした。「振られた理由が全く分からない。なぜ気づけなかったのか」そのトラウマで婚活にも身が入らないというのです。そして私の洞察力に「女性の目線で、ぜひ理由を教えてほしい」と懇願され、私は「いい人なりの苦労もあるのか」と別日に池袋まで出向く羽目になったのでした。

嘆く彼に、私はグラスを置き、直球で問いかけました。

「つかぬことを聞きますが……3年も付き合って、彼女の娘さんも懐いてて、なぜプロポーズしなかったの?」

「……うーん、しなかったんじゃなくて。そろそろかな、とは思ってましたよ」

 私は呆れて、思わず笑ってしまいました。 「ちょっと待って、出木杉さん。女性にとって、言葉にしないというのは『アナタと結婚するつもりはない』という意味ですよ!」

 

男女の感性が生む「不幸なすれ違い」

私の言葉に、彼は心底驚いた顔をしました。「プロポーズって、そんなに大事なもんですか? 言葉にしなくても、当然自分の気持ちは分かってたはずです!」

これこそが、「婚活界のマリアナ海溝」。 彼女は娘さんの高校進学という人生の節目にすら、彼が何のアクションも起こさないのを見て、「私は結婚の対象として見られていない」「これから先、何年待っても彼にその気はない」と感じたはずです。だからこそ、身を引いた。あるいは、「別れたい」と告げることで、彼が「君なしの人生なんて考えられない」と引き留めてくれることに最後の賭けをしていたのかもしれません。

しかし、彼の反応はこうでした。 「だって、別れたいって言われたんですよ? そんな状況で引き留めたって、ダメに決まっているじゃないですか」

男女の感性の違い、即ちマリアナ海溝は、時としてこれほどまでに深く互いの心を遠ざけます。男女のすれ違いの、なんと無情なことでしょう。彼のような「いい人」こそ幸せになってほしいと思った私は、彼に「女性の取扱説明書」をごく手短に、授けることにしました。

 

「取扱説明書」という名の愛

もしアナタの彼が「出木杉さんタイプ」なら、どうすればプロポーズを引き出せるでしょう。 私もかつて、このマリアナ海溝で溺れかけた一人です。海溝の底を蹴り上げて浮上できた今、婚活コーチとして断言します。

 

まず第一に、告白(もしくはプロポーズ)されたい彼がいるならアナタから「お膳立て」をしてください。 男性は「失敗したくない生き物」ですから、負け戦には挑みません。だからこそ「いつでもどうぞ」というサインを出し、彼がアタックしやすいようにトスを上げて誘導する。これが「取説を渡す」という行為です。

そして第二に、彼がアナタのために何かをしてくれたら、①言葉で感謝を伝えることはもちろん、②満面の笑みと、③オーバーリアクションで大いに喜んでください。これは男性を「ヒーロー」にする儀式です。「俺は女性を幸せにできる男だ」という自己肯定感を持たせた瞬間、彼はアナタを絶対に手放せなくなります。

 

「もう十分アピールしてますよ?」「私の気持ちは分かってるはず」とアナタは思うかも知れません。

でもね、それじゃ出木杉さんの元カノと同じ。「待って待って待ちくたびれて、もういいわ」って自分から戦線離脱する前に、アナタからトスを上げるのです。 例えば「私、プロポーズされる時にはバラの花束が欲しいな」「誕生日なら10本でいいけど、プロポーズなら100本必要!」など、具体的な夢を語ってください。もし彼が冗談めかして茶化すなら、ビシッと真剣な眼差しでこう返すのです。

「知らないの? ナポレオンだって、ジョゼフィーヌに求婚するときはダイヤモンドとサファイアの指輪まで揃えて贈ったのよ。世界一の男だって、女性に想いを伝えるときはちゃんと準備するの。それくらいのケジメもつけられない人は、プロポーズする資格もないと私は思うわ」

それくらいの「強さ」を示す。それでも責任逃れをするような彼なら、潔く手放して「次」へ行けばいい。決断の基準が明確になります。

 

「いい人」を「最高の夫」に変える魔法

最後に一つお伝えしたいのですが、講座で「アナタの取説を渡して」と話すと、決まって「女子たるもの、好きバレをしてはならないのでは?」という質問を受けるのです。確かに、小手先の駆け引きを重視するならそうかもしれません。ですが、それはもはや都市伝説です。よほどモテる相手ならともかく、アナタがパートナーを探したいのなら、女性からハッキリ好意を示すことは男性に勇気を与え、安心してプロポーズできる環境を整えることになります。彼が言葉にしてくれないなら、「こんな言葉でプロポーズされたら嬉しいな」と、アナタの取説を渡す。そうすれば、アナタからプロポーズした方がいいのかどうかをヤキモキせずとも、きっと彼からしてくれます。男性は「自分の決断で」彼女を幸せにしたと思いたい。その自負こそが、その後もアナタを大切にし続ける理由になるのです。

 

池袋の夜から1年余り経ったある春の日、出木杉さんからメールが届きました。 「マーガレットさん、おはよう。今から彼女のご両親を出迎えに、一緒に東京駅へ行ってきます!」

画面越しに、彼の自信に満ちた笑顔が見えるようでした。あの時の「いい人男子」は、自分の気持ちを言葉にできる男性に成長し、女性の期待に応え、私よりもずっと早く幸せを掴んでいったのです。

 

「幸せ」は、自分から求め、手にする勇気を持った人の元へやってきます。

自分の理想を彼に伝えることは、ワガママではありません。「私はこのようにして愛されたい」と、自分自身の幸せを心から望み、それを受け容れるための扉を開くことなのです。

さあアナタも、幸せを叶えるためにもう一歩踏み出してみましょう。「いい人」を「最高の夫」に変える魔法は、すぐそこに見つかるはずです。

 

 

 

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