国際結婚ギャップ解消サバイバル

【国際結婚ギャップ解消サバイバル 第9章】5歳から11歳の新型コロナワクチン摂取体験〜アメリカ在住の我が家の場合《天狼院書店 海外ローカル企画》


2022/02/21/公開
記事:武田かおる(ライターズ倶楽部編集部 公認ライター)

注:本記事に書かれた内容は、一体験談としてご覧ください。新型コロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイト、厚生労働省ウェブサイト等をご確認ください。

 
 
日本でも3月を待たずに5歳から11歳の子供向けの新型コロナワクチン摂取が始まるとニュースで聞いた。
 
該当年齢のお子さんがいらっしゃる場合、自分の子供に接種させるかどうか悩んでいる親御さんも多いのではないだろうか。
 
我が家には11歳の子供がおり、昨年末にファイザー社の新型コロナワクチンを摂取した。この記事では、どういう経緯で子供のワクチン接種を決めたのかや、接種後の副反応について、さらに子供の友達の様子などの体験談を読者の皆様に共有できたらと思う。
 
また、筆者は子供に新型コロナワクチンを接種させるべきというような主張はない。あくまでも日本の皆さんよりも先に接種した子供を持つ、アメリカ在住の一人の親の体験談として参考にしていただけたら幸いだ。

 

 

 

接種を決めるまで


昨年10月末、アメリカでは5歳から11歳向けの新型コロナワクチンの緊急使用が承認された。アメリカでは11月末の感謝祭を皮切にホリデーシーズンが始まる。室内で家族や友人が集うパーティーの機会が増えるため、それにちょうど間に合うようなタイミングで承認されたようにも受け取れた。
 
5歳から11歳の子ども用に緊急使用で認可されたのはファイザー・バイオテック社のワクチンのみだ。大人と同じく2回接種となり、初回の接種から3週間の間隔を開けて2回目の接種となる。子供の有効成分の量は12歳以上の大人の量の3分の1となっている。副反応については大人と同様に、接種部の痛みや頭痛、発熱などが一定数起こるということだ。(1)CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のデータによると、5歳から11歳における2回目接種後の1週間以内に見られた様々な副反応の症状は、12歳から15歳における2回目接種後と比較して低かったとの報告もある。(2)
 
私が住むマサチューセッツ州の昨年夏の感染者数は、昨年春より大人のワクチン接種が進むにつれて落ち着いてきていた。昨年夏ごろまでは、子供は感染しにくいというような情報を聞いていたため、子供にとって本当にワクチン接種が必要なのか、インターネットで関連情報を調べる日々が続いた。
 
我が州は、2月17日現在、必要回数を摂取した人の割合が77.4%で、全米の平均のその数字、64.9%と比較すると高い水準となっている。(3)我が家も11歳の子ども以外、夫と私、15歳の息子はワクチン接種済みで、昨年末に3回目のブースター接種も終えている。本連載の5章『モデルナ社の新型コロナウイルスワクチン接種と米国ワクチン体験』で述べたように、いろいろ考えた上での接種だ。
 
昨年9月、子どもたちは新学期を迎えた。うちの娘は現在11歳で6年生なのだが、同じ学年で11歳と12歳が混在している。昨年9月の時点で既に12歳以上は接種可能だったため、新学期が始まって以来、「クラスメートの〇〇さんは12歳の誕生日にワクチンを摂取した」と娘が私に教えてくれた。
 
昨年夏頃から、感染力が高く重症化しやすいデルタ株がアルファ株に取って代わり、感染者が増加し始め、秋口から「アメリカ新規感染者の3割が子供」、また「子供の入院患者が増加し、医療が逼迫」(4)というニュースを耳にするようになり、改めてワクチン接種の必要性について考えさせられた。
 
我が家の子供はスポーツが好きで、冬の間を通してバスケットボールと室内のサッカーのチームに参加しているため、多くの人と交わる機会がある。また、11月以降、ホリデーシーズンの到来で、友達や家族と室内で集い、飲食をともにする機会も増えて行く中で、少しでも安心して年始年末を過ごせるようにと子供にワクチンを接種させることにした。子供も、私達や自分の兄弟、身近な友達が接種する様子を見て、自ら摂取したいという思いに至ったようだ。
 
また、去年の秋頃以降、日本入国の際の水際対策において、ワクチン接種者に対して緩和される動きがあった。現在も、3回目のワクチン接種者の隔離期間の短縮についての案が報道されている。(2月19日現在詳細は未定)ワクチン接種することで、将来的に里帰りの際、隔離期間が短縮されると有利である。
 
これらのことを踏まえ、接種に当たり、改めて子供と向き合い、様々な副反応の話や、新しいワクチンのため長期的な後遺症についてはまだわからないということも話した上で、本人の同意を得て最終的に接種を決めた。
 
摂取することを決めたまではよかったが、そこで疑問が生じてきた。2月に12歳になる娘は、私よりも体が大きいため、子ども用の摂取量では十分な効果が得られないのではないかという疑問だった。そのため、3ヶ月後の12歳になるまで待って大人と同じワクチンの量を打った方がいいのかもしれないと思えてきたのだ。
 
しかし、それについてはCDCのサイトに答えが記載されていた。ワクチンの摂取量は、体重ではなく年齢で決まるため、11歳の場合は体重や身長に関係なく、5歳から11歳用のワクチンを摂取するということだった。(5)
 
そうこうしているうちに、11月末頃からオミクロン株の市中感染が始まった。感染者の急増と同時に、人と集まって飲食する機会もでてきたため、できるだけ早く摂取し感染を防ぐことが必要だと感じた。筆者が12月のクリスマス前に3回目のブースター接種を受けたのも、同じ理由からである。

 

 

 

接種当日と副反応について


11月半ばに子ども用ワクチンが接種可能になるやいなや、学校や町、医療機関等、様々な施設で集団接種が行われた。CVSなどの大手ドラッグストアでも接種可能だったが、すぐには予約が取れなかった。我が家の娘はかかりつけの医療機関が主催する集団接種で2週間後に予約が取れたため、11月の半ばに初回、12月の初めに2回目を摂取することになった。
 
一回目の接種当日、予約の時間は3時45分だったが、30分ほど早めに会場に到着した。会場にチェックインすると、待つことなくすぐ名前を呼ばれた。接種用の小部屋に案内されると、医療機関所属の小児科の先生が、子どもたちに気軽に話しかけて緊張をほぐしながら接種してくれた。その間、あっという間だった。その後、娘はお菓子とジュースをもらい、間隔を開けて仕切られた場所で、15分間経過を観察した。特に体調の変化はなく帰宅した。
 
接種当日、夜中に副反応が出ることを想定して、娘と同じ部屋で寝た。翌朝、体調について聞いてみたが、特に副反応と思われる症状はなく、いつもと同じように学校に登校した。心配した副反応は起こらずひとまず安心した。
 
2回目の接種後も腕の痛みなどもなく、翌日も特に副反応はなかった。接種から2ヶ月が経とうとするが、娘に関しては接種後の副反応や後遺症のようなものは起こっていない。

 

 

 

オミクロン株の蔓延を受けて


2月19日現在、マサチューセッツ州の感染者のピークは既に終わっているが、新学期が始まった年明けは、毎日のように、仲良くしている友達が感染したことを娘から聞かされた。感染者数がピークに達していた時期だ。
 
娘の周りの感染した友人達は、ワクチンを摂取したと聞いていたので、オミクロン株の感染力の強さを肌で感じた。また、一人の親御さんから聞いた話では、どこで感染したのかわからないということだった。ワクチンを摂取していたからか、どのお子さんも軽症の様子だったので安心した。
 
うちの娘は、お友達がコロナの症状を発症する前日に学校やプライベートで一緒に過ごしていたため、濃厚接触者になったと思われた。アメリカでは今年から、濃厚接触者の隔離期間は5日となっている。学校やスポーツなどの活動も数日間は欠席になるのではと思ったが、州の教育委員会のガイドラインを確認すると、ワクチン接種者は濃厚接触に該当しないということだった。娘は症状もなく、自宅での検査キットで繰り返し検査を行ったが、いずれも陰性だったため基本的な感染対策を続けながら、学校に行き、通常どおりの生活を送った。この時、ワクチンを打っておいて良かったと思えた。
 
オミクロン株は比較的軽症と言われているが、感染者が爆発的に増え、重症化する人や死者の数も増加し、年末から医療機関も逼迫した。同時に医療機関の人手不足も非常に深刻になっていた。しかし、感染してもワクチンを摂取していれば重症化する確率は低いと言われていたため、やや安心できた。
 
今になって思うのは、新たな変異株が発生し、ワクチンを摂取しようと思ったときにすぐにワクチンを摂取できればよいが、予約が殺到していて接種が先になってしまったり、体調不良だったりと、接種したくても接種の都合が合わないことがあるかもしれない。そのため、娘の場合、年始年末とオミクロン株の感染拡大がちょうど重なり、これらの起こるちょうど前のタイミングで無事ワクチン摂取が完了していたことは、結果的にも良かったと思う。
 
新型コロナウイルスに関しての研究は日々進んでいるが、感染後の後遺症のこと等わからないこともまだ多い。ワクチンの長期的な体への影響もそうだ。そんな中で、どの親御さんも、自分の子供にとっての最善の選択を日々繰り返しているだろう。ただ、子どもたちが少しでも安心して学校に行ったり課外活動に参加したりするために、ワクチンは大きな役割を担っているように思う。
 
日本の場合はアメリカとは接種のタイミングや感染者の状況が異なるため、筆者の体験談がそのまま役に立つかどうかはわからない。様々な信頼できるデータを参考にされ、お子様のためによりよい選択ができることを願うとともに、パンデミックが収束し、大人も子供も早く安心して過ごせる日常が戻ることを願うばかりである。
 
 
 
 

参考資料
(1) FDA NEWS RELEASE, October 29, 2021, DA Authorizes Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine for Emergency Use in Children 5 through 11 Years of Age, Retrieved Feb 19, 2022 from
i. https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-authorizes-pfizer-biontech-covid-19-vaccine-emergency-use-children-5-through-11-years-age

(2) Anne M. Hause, PhD, MSPH COVID-19 Vaccine Task Force, January 5, 2021,CDC, Safety monitoring of COVID-19 vaccine among children and young adults in v-safe, Retrieved Feb 19, 2022 from
https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2022-01-05/03-covid-hause-508.pdf

(3)Mathieu, E., Ritchie, H., Ortiz-Ospina, E. et al. A global database of COVID-19 vaccinations. Nat Hum Behav (2021), Retrieved Feb 19.2022

(4)9月17日Weekly catch!, FUJISANKEI COMMUNICATIONS INTERNATIONAL, INC, 2021年9月17日, Retrieved Feb 19, 2022, From https://fujisankei.com/video_library/news/0917-WeeklyCatch.html

(5)CDC, 10 Things to Know About the COVID-19 Vaccine for Children, Retrieved Feb 19, 2022 from
https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/planning/children/10-things-to-know.html

□ライターズプロフィール
武田かおる(READING LIFE編集部公認ライター)

アメリカ在住。
日本を離れてから、母国語である日本語の表現の美しさや面白さを再認識する。
『ただ生きるという愛情表現』、『夢を語り続ける時、その先にあるもの』、2作品で天狼院メディアグランプリ1位を獲得。

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