何も影響は無い。今の処は
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:山田THX将治(天狼院・ライターズ倶楽部 READING LIFE公認ライター)
「マッタク! 何でこの道を指すかねぇ」
普段から車移動が多い私が、最も接する機会が多い生成AIは、スマホに搭載されたナビゲーションシステムだ。
勿論、私の愛車にも車載ナビが有る。では何故、スマホのナビを使って居るのかと謂うと、情報の更新が早いからだ。
更新が早い理由は、生成AIを使って瞬時の道路事情を解析する為だ。なので、緊急工事や渋滞情報が、早く反映されると考えてのことだ。
勿論、車載ナビにも低レベルの生成が施されて居る。然しそれは所詮、車のマイクロコンピュータで処理出来る程度のものだ。
巨大なデータセンターを持つ、スマホの情報処理力(生成力)に敵う訳も無い。
然し乍ら、高度に生成している筈のスマホナビに対し、私は始終、冒頭の様な文句を付けている。
何故ならば、示してくる道順が気に入らないからだ。
当然私は、半世紀に近い自動車運転の経験から、ナビ以上に詳しい道を知っている。同時に、曜日・時間・天気に依る交通渋滞の変化も或る程度頭に入れている。
所謂、長年の経験則と謂うものだ。
その経験則に依ると、スマホナビの指し示す道順は、距離をロスしたり、余分な時間が掛かったりすると考えられるのだ。
その点では、車載ナビの方が生成レベルが低いせいか、私の嗜好を理解してくれている様だ。
私みたいなデジタル‘非’ネイティブ世代には、愛称が良いのかも知れない。
だからと謂って、生成AIに毒吐いてばかりも居られない。
私は一先ず、スマホナビとの決着をつける為にも、
「ま、しょーがないか(仕方ない)。AIは、車の運転はしたことないからな」
と、自身に突っ込みを入れる形で納得してみたりするのだ。
更に、
「でも、待てよ。自動運転が増えた場合に備えて、ナビの特性を知っておかねば」
と、考えを先回りさせた。
スマホナビの道順を知っておけば、自動運転に依って発生する渋滞を避けられると考えたからだ。
事程左様に、私は生成AIとの相性が佳い方とは言えないのが事実なのだ。
少し前のニュースで、レポートや試験、果ては小論文から卒論迄、AIを使って作成する者が居るそうだ。
実際、某国立大学(理系)の教授職に在る友人に聞いてみた。
彼に依ると、
「そんなの当然だよ。相手(学生)は、理系だよ。(AIを)使わない方が遅れている」
と、私が呆気に取られる様な回答をしてきた。
その上、
「こっち(教授)はその点も踏まえて、AI使用を見抜くプロンプトを(自身の)AIに仕込むのさ」
と、かなり上手なことを言い始めた。
AIに疎い私は一先ず、自分の文章に似せた文章をAIに作成して貰おうと考えた。
そこで、私の書いた記事を数多く読み込ませてみた。
更に、私の文章の特徴である、
『です・ます調で』
『可能な限り、漢字を多く使用』
『江戸弁で! 関西弁は不可!』
と、追加のプロンプトを打ち込んだ。
試しに、或るテーマで5,000字程度の文章を、AIに書かせてみた。
文章は、アッと謂う間に上がって来たものの、文字数は2,000字とちょっとだった。
私は空かさず、
『文章の方向性はその儘で』
『もっと長く、5,000字程度で』
『更に、漢字の使用を増やすこと』
と、AIに指示した。
直ぐに上がって来た再稿は、前回より長く為ったものの、3,700字程度だった。
私は再び、
『もっと長い文章に』
と、更なる指示を打ち込んだ。
次に上がって来た文章は、4,500字程度のものだった。
私は一旦、AIへの指示を止め、文章の仕上げを試みた。
これ以上、無理難題を押し付けると、AIの機嫌を損ねるかも知れないと思ったからだ。
AIが書いた文章を校正してみると、幾つかの不満が出て来た。
先ず、私の文章に比べて漢字の使用が少なかったこと。更には、誤字、正確には変換ミスが多いことが見付かった。
機嫌を損ねそうなAIに文句を言っても仕方が無いので、私は校正を続けることにした。
そして、或る事に気が付いた。
『そうか。生成AIは優秀であっても、中身は西洋人なのだ』
『従って、ネイティブな日本語には不慣れなのだ』
『もう少し、教育(生成)させないと、気に入った日本語の文章は、上がって来ないのかも』
と、謂ったことだ。
時間を掛けて校正したAIの文章は、一応納得出来る仕上がりと為った。
私は、この文章を課題として投稿してみた。
然し結果は、課題としては不可だった。
訝しく感じた私は、AIが書き私は手直しをした文章を、読み直してみた。感想は提出前と変わらず、自分なりには及第点だと思った。
然し、課題講評では、
『話題が豊富でした』
『客観的な視点が欲しかった』
『読者がこの文章からメリットを感じるだろうか』
と、冷静な回答が並んでいた。
私は、
『何か、いつもと同じだなぁ』
と、少し脱力した。
同じとは、私がキーボードを叩いて書いた文章と、似た講評を受けたと謂うことだ。
ここから考えられることは、これは飽く迄仮定だが、自分の文章をAIに読み込ませて文章を作らせると、似た文章を仕上げて来る。これは当然の結果である以上に、生成AIの正確性を示していると思われる。
何故なら、読み込ませた元の文章と、同じ様な講評を受けるからだ。
私は試しに、講評をプロンプトとして打ち込んでみた。
AIが上げて来た文章は、大きな変化が無かった。
ここから考えられることは、AIの弱点として“小さな変化”に対する対応力が弱いのかも知れないと謂うことだ。
丁度、真っ直ぐなフォーシームには滅法強いホームランバッターが、手元で微妙に変化する投球、例えばカットボールやスプリット、には結構弱い傾向が有るのと同じだ。
だから、ナビが渋滞の傾向を掴めないのかも知れないし……
私は次の週も、同じ要領で生成AIに文章を作らせ、同じ様に課題として提出してみた。
結果は同じく不可だった。
私は、
『プロンプトを追加したのに』
『誤字は減っていたのに』
『前回もそうだったけど、読後感は佳かったのに』
と、‘のに’三連発の感想を持った。
そしてここで、二つの仮説が、私の頭に浮かんだ。
一つ目は、
『もしかして生成AIは、読み込ませた文章の書き手に向けて文章を仕上げているのではないか』
『同じく、プロンプトを打ち込んだ者に向けて文章を作成して居るのではないか』
と、謂うことだ。
即ち、もしかしたら生成AIは、自分が読み易くメリットが多い文章を仕上げて来るのかも知れない。
二つ目は、
『小さい変更が出来ないのは、感情が無いからではないか』
『同じく、経験則を反故にするのは、時間軸の考え方が無いからではないか』
と、謂うことだ。
即ち、感情と時間軸でものを考えることが出来ない内は、生成AIに全てを任せることは出来なのではないか。
以上の仮設から私は、この処危惧されて居る、
『AIに代わられて、無く為る仕事』なんて、実際には起こるのだろうかと疑問を感じたのだ。
正確には、
『AIに仕事を取って代わられる』等と謂うのは、未だ未だ先の話だと思って居るのだ。
但し、“今の処”と注釈が必要だ。
何故なら、
例えば生成AIが、ネイティブで日本語を使って居なくとも、
例えば生成AIが、感情を持ったり、時間軸の観点を持つのも、
今後直ぐと謂うことは無くとも、‘絶対に’有り得ないとは言い切れないからだ。
それに、巨大なデータセンターの下では、それ等に対する対応だってしてこないとは言い切れないのが事実だ。
従って私は、何等かの影響が出る迄、今迄通り生成AIを使うことなく、自前でライティングを続けることにする。
それにやっぱ、
自分で一から文章を書かないと、面白くないしね。
丁度、ワインディングロードを、思い描いたライン通り走り抜けられた快感は、
自動運転では決して味わえないのと同じだ。
否。
“決して”ではない。
“絶対に”だ。
運転同様、ライティングも、
達成感だけは、自分の手中に収めて置きたいものだ。
《終わり》
〈著者プロフィール〉
山田THX将治(天狼院・新ライターズ倶楽部所属 READING LIFE公認ライター)
1959年、東京生まれ東京育ち 食品会社代表取締役
幼少の頃からの映画狂 現在までの映画観賞本数17,000余
映画解説者・淀川長治師が創設した「東京映画友の会」の事務局を45年に亘り務め続けている 自称、淀川最後の直弟子 『映画感想芸人』を名乗る
これまで、雑誌やTVに映画紹介記事を寄稿
ミドルネーム「THX」は、ジョージ・ルーカス(『スター・ウォーズ』)監督の処女作『THX-1138』からきている
本格的ライティングは、天狼院に通いだしてから学ぶ いわば、「50の手習い」
映画の他に、海外スポーツ・車・ファッションに一家言あり
Web READING LIFEで、前回の東京オリンピックの想い出を伝えて好評を頂いた『2020に伝えたい1964』を連載
続けて、1970年の大阪万国博覧会の想い出を綴る『2025〈関西万博〉に伝えたい1970〈大阪万博〉』を連載
加えて同Webに、本業である麺と小麦に関する薀蓄(うんちく)を落語仕立てにした『こな落語』を連載する
更に、“天狼院・解放区”制度の下、『天狼院・落語部』の発展形である『書店落語』席亭を務めている
天狼院メディアグランプリ38th~41stSeason四連覇達成 46stSeason Champion
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