書くこと、それは翼
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:井上あやの(2026年4月開講・京都/通信・2週間集中コース)
去年、25年間勤めた会社を辞めて起業した。それ以来、自分のサービスや思いを分かりやすく表現することの大切さや難しさを感じてきた。SNSで発信しているけれど、何千文字の文章は普段書いていない。ただ、自分が提供するサービスや自分自身を表現することを学ぶためにも、自己流ではなくライティングを一度ちゃんと専門家から学びたいと、ぼんやりと思っていた。だから、2月にインスタグラムで流れてきたライティング・ゼミの広告を見て「あ、これだ」とピンと来た。案内ページの中にリンクで貼られていた関連記事を読んで、これは今の私に必要だと確信して申し込んだ。
私は何かを初めて学ぶ時は、教える人が薦めたことは素直にすべてやるようにしている。今回のライティング・ゼミでも、そうした。何があっても課題は毎回提出する、と決めた。講師が薦めた本を読んだ。原稿用紙に文豪の作品を書き写した。一度はフィクションを書いた。教わったことをできるだけ記事に盛り込むよう心がけた。書くのに行き詰まったら、講義の録画を見返した。
今まで8本の記事を課題で書いてきて、強く実感していることがある。それは、「書くことは翼」ということだ。その翼には、2つの意味がある。一つ目は、物体としての翼で、時間や空間を超えて飛んでいく翼。二つ目は、抽象的なイメージで、気持ちを軽く自由にする翼だ。
一つ目の意味の翼について、記事を書くということは、まるで背中に翼が生えていろいろな時や場所に飛んで行くみたいだった。例えば過去の旅について記事を書いているとき、書いている時点にいたまま、過去を振り返って書いている感じではなかった。むしろ翼を羽ばたかせて、実際に旅の舞台のスリランカやパリという場所に飛んで行っていた。同時に、時をさかのぼって過去に飛んで行った。そして飛んで行った先で、当時の自分の中に舞い降りた。言葉を交わした人の表情。見た風景や空気。感じたこと。それらを一つずつ、丁寧に見たり感じたりした。そしてまた書いている時点に舞い戻って、文章を書く。そんなふうに書くということは、いろいろな時と場所を自由に飛び回っているような感じだった。
また、翼は私の気持ちを軽く自由にしてくれた。もう何年も自分の中で気になっていたこと。家族や親しい人に話したことはあったけれど、文章にしたことはなかった人生のターニングポイント。今でも思い出す旅でのできごと。いつも自分の価値観の土台になっていること。今までの私だったら、それらは個人的なことだからあえて人に向けて表現するまでもない、と思っていた。でもライティング・ゼミをきっかけに、文字に書き表して記事にした。表現したことで、気持ちがとても軽くなったのが分かる。特に胸の辺りの空間が広がったような気がしている。そして、ため込まずにもっと自分の思っていることを表現していいんだ、そう思えるようになった。
私は家族に、ライティング・ゼミを受けていて、毎週課題を全部で9本出すことを話していた。そして、自分の頭の中を整理するためにも「次はさ、ずっと思っていたこういうテーマで記事を書こうと思ってるんだ」と、毎週家族に話した。すると「へー、おもしろいね。そんなこと考えてたんだ」と言われて、そこから会話が広がったりした。自分の中でとどめていることを伝えて会話が広がって、私も家族もお互い今まで知らなかった考えを知るきっかけにもなった。それも、私の気持ちを軽くしてくれた。
また書くことは、書き手の私だけではなく読んだ人にとっての翼にもなる、と気づかせてくれたできことがあった。記事の一つを読んでくれた知人から「ネガティブな気持ちを引きずりがちなところを、あやのさんの記事が気持ちを持ち上げてくれた」とメッセージをもらったのだ。まさに、ゼミで教わった「書くことはサービス」だなと思った。
書くことで私の気持ちが自由に軽くなる。その自由な軽さが記事に込められる。それを読んだ人に伝わっていく。そして、私も記事を読んだ人も自由な気持ちになって、翼を羽ばたかせて空を飛んでいる。そんな光景をふと想像した。
この1か月半を振り返ると、本当に濃い期間だった。どういうテーマで書くか、教わったことを記事にどう反映させるか、などを考えながら過ごしてきた。思いがあふれてきて割とすらすら書けることもあったし、締め切り当日になっても書けなくて行き詰まったこともあった。充実していて楽しかったなあ、と思う。そして、思いを込めて書いた記事すべてが大事な宝物だ。
さて、ゼミの受講をきっかけに新しく生えた「書く」という翼で、私はこれからどこに飛んで行こうか。課題の提出が終わっても、毎日は続いていく。そこで新しく経験することや感じることがたくさんある。それらを自分の中に閉じ込めず、翼を広げてこれからも自分のペースでどんどん書いて発信していこう。読んだ人が、気持ちが軽くなって翼を感じるような文章を書いていこう。そう心に決めて、次は何について書くか今からワクワクしながら考え始めている。
<終わり>
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