山暮らし、最大の敵は虫でも獣でもない。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:米田 笑(2026年8月開講・夏休み「超」集中講座)
あなたは山の上で暮らしたことがありますか?
私はあります。
奈良の山奥にある宿坊スタッフとして、約半年くらい住み込みで働いていました。
宿坊とは、お“坊”さんの“宿”。お寺や神社の宿泊施設のことです。
精進料理や朝の御祈祷などと、ホテルや旅館の宿泊とはまた違った魅力があります。
個人的には、時間と情報に追われる現代人にこそオススメの旅行先ですが、その話はまた別の機会に。
ネット環境さえあればPCひとつで仕事ができる人も増え、都会を離れて地方で暮らすことを考える人もいるのではないでしょうか。実際、私の周りにも都心から地方へ引っ越した友人夫婦が何組かいます。
大学上京後8年間、人や情報の溢れた東京ジャングルに揉まれていた私の中にもそんな憧れはあり、「宿坊」への単なる好奇心と、嫌ならすぐ辞めればいいという気軽さで働くことを決めました。
もちろん、都会の便利さ・快適さに慣れている私にとって、山で暮らすことに抵抗がなかったわけではありません。
まずよく言われているのが、アクセスの問題。
最寄り駅まで向かうバスは1時間に1本で、終バスも21時台。それなのに近くにコンビニなんてなく、買い物はふもとまで下山しないといけません。
だけど、配送トラックの行き来は毎日あるので、急ぎでなければネット注文でどうにかなります。日本の流通は偉大です。
次に忘れてはいけない、虫問題。
大浴場に入ってくるアブ、夏の脅威ゴキブリ、秋の網戸に発生するカメムシ。
特に悩まされたのは、やはりGです。
木々に囲まれた日当たりの悪い女子寮の2階にある一部屋が、私の借り住まいでした。
住み始めて2週間ほど経った頃、寝ようとして電気を消し、横になったあと少しだけスマホをいじっていたら、黒い影が動いたように見えました。おそる恐るそっちをスマホの電気で照らしたら、案の定、壁を這う10cmくらいのあいつが。
驚きと思考停止で、悲鳴すら出ないまま時が止まりました。
その後は寝ている時に虫が口に入って来るかも……と警戒して、マスクをして寝ていたほど。
だけど結局、あんなに苦手だった虫も慣れれば全く問題ありません。今ではGなんて余裕です。山暮らしのおかげで苦手を克服できたとも言えます。笑
次に問題視されがちなのは、山に住む獣たち。最近ではよく熊のニュースを聞きますよね。
私が奈良の山にいた頃、よく目撃したのはイノシシです。大浴場を使った後、外灯がまばらな暗ーい山道を歩いて寮に戻るのですが、その道中、半年で計3回は目の前をイノシシが横切りました。彼ら、大きな図体しておきながら、思ったよりも早い動きをするんですよ。
もちろん野生動物なので危険です。
でも虫も獣も、山での生活をイメージすれば思いつくと思います。私もここまでは想定内。
実はもっと、やばい天敵がいました。
「湿度」です。
湿気? 髪の調子が悪くなるとか?
部屋干しが乾かないとか?
確かにそれもあります。
でも、もっと困ったのが湿度によって発生する「カビ」です。
クローゼットに置いておいたリュック。
約2週間ほど使用していなかっただけで、カビが発生したんです!!!
忘れもしない。お気に入りのリュックの背面。綿埃のようなカビが広がり始めていました。使用した時に汗をかいていたのかもしれません。その後、天日干しできていれば違う結果だったかもしれません。濡れたまま放置していたわけでもないのに、たった2週間くらいでカビが出るなんて、思わないじゃないですか。
速攻でカビをティッシュで落とし、2回洗濯して、太陽が当たるように干しました。この方法が正しいかはわかりませんが、どうにか再発を防ぎました。
被害を受けたのは、リュックだけではありません。
インテリアの一つとして購入した木製のサイドテーブル。新品を使っていましたが、なんと2ヶ月経ったくらいで底面にびっちりとカビが生えていることに気づいたのです!
ショックでした。リュックとは比べられないくらいの量。天日干しをしたものの、ほぼ効果なし。流石に諦めて、捨てました。
この後、住み込みの同僚に相談をして急いで購入したのが「除湿機」です。部屋のサイズはまかなえそうな小さめのものを買いました。その後、ある程度は防げているかな~と感じつつ、毎日溜まる水の量に悲しくなっていたのを覚えています。
ところが、そこから約4か月後、退去が決まり荷物をまとめていた時。
プラスチック製のラックの底面にも、カビが生えていることに気づきました。ローラーが付いているので、床に直接触れているわけではありません。
プラスチックってカビるんだ。
除湿機だってつけていたのに。
今思えば、入居時から窓枠付近の壁にはこびり付いたカビがありました。何か家具を置いていたわけでもない壁面です。最初は掃除のたびに擦っていましたが、全く取れず、そのうち慣れてしまっていました。でも、何もない壁面にカビが発生する部屋って、そりゃ湿度やばいですよね。
虫は対策しようがある。
獣はいざというときはヤバいですけど、そのヤバさを知っているからこそ気をつけます。
もっとも厄介だったのは、見落としがちで対策してもしても防ぎきれない湿度問題。
山の上というだけで必ず湿度が高くなるわけではありません。だけど、私が暮らしていた場所のように木々に囲まれ、日が当たりにくい環境では、湿気に悩まされることがあります。
いくら便利グッズに頼っても、自然の力には抗えないですわ……。
もし今後、そんな環境で暮らす機会があればどうか、この記事を思い出してちょっと良い除湿機を買うなど、湿気対策はお忘れなく!
私のように、お気に入りのものをカビさせないためにも。
≪終わり≫
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