ゼミ

私は同窓会に行かない

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:草野 香(26年9月ライティングゼミwithAI)

 

 

 

「夏に同窓会あるらしいよ、行く?」

「え?行かなーい」

「誰か行ってきてみてよ!」

「別に会いたい人いないし」

「私たちの学年に有名人でもいたら行くけど!」

「自分たちだって誰も有名になってないけどね!」

 

「私は同窓会に行かない」

そう決めている。

 

「え?全然知らなかった!」

 

「本当に?」私はみんなを疑った。

 

私は自分の希望通り、行きたかった高校に入った。

憧れの先輩、自由な校風、楽しい高校生活を期待して入学した。

 

中学時代の怖い先輩はいなくなり、B子、C子という新しい友人もでき1年生を過ごした。

進級し、クラス替え。

新しく入ってきた1人の女子、A子に何か違和感を感じたのはそのときだった。

 

私は以前からの友人たちと毎日変わらない学生生活を送っていた。

勉強のこと、憧れの先輩のこと、好きな人のこと、テレビ番組の話……毎日たわいもない話で笑い転げて楽しんでいた。

 

私にもそのうち彼氏とかできて、一緒に勉強したり、帰ったりするのかな。コンビニもないようなこの町から出て都会に遊びに行くこともあるのかな。と楽しいことばかり想像していた。

 

もっとキラキラした楽しい高校生活が待っていると思っていた。

A子がこのクラスに来ることがなければ。

 

あるとき、遠くから聞こえてきた言葉に耳を疑った。

 

「嫌なら無視すればいいじゃん」

 

何言ってるの?

その時はそう思ったが、その矛先は数ヶ月して私に向かってきた。

 

私はいつもB子とC子の3人で休み時間を過ごしていた。そこにいつからかA子が入ってきた。

 

ある日「好きな人は?」と聞かれ、「いない」と小さな声で答えた。気になる人はいた。でもB子が好きな人と一緒だったから言えなかった。みんなが訝しげに私の顔を見ていた。

そしてしばらくしてA子、B子、C子から聞こえるように影口を言われるようになった。

 

朝、なんとも言えない心臓の高鳴りを覚えながら挨拶をすると、3人で集まって「おはようって言ってきた」と聞こえるように言われていた。しばらくはクラスメイトに気づかれないよう一緒にお昼を食べていたが、味のわからないお弁当を食べる日々をだった。

今思えば、逃げてしまえばよかったが、小さなコミュニティしか知らない私はその場にいることしかできなかった。

学校に行きたくなかった。でも、ここで休んだら彼女の思うつぼだ。せっかく入った高校を中退なんてしたくない。親にも言えなかった。「いってらっしゃい」と言われ、作り笑顔で出かけた。自転車で通学しながらこのままどこかに行ってしまってもよかったが、できなかった。学校で一人でいる勇気もなく、その子たちと一緒にいる風を装って、毎日を過ごしていた。

 

でもある日、この状況に耐えられなくなり、別のグループの子に声をかけた。

「一緒にお弁当食べてもいい?」

「いいよ!」

 

予想もしない答えだった。

「私を受け入れてくれる場所があった……」

「ありがとう」声が震えた。

目の奥が熱くなるのを隠し、どきどきする気持ちを抑えながらみんなのいる場所に自分の机を近づけた。

私の机がくっつくまでみんなは食べるのを待っていてくれた。

 

それからはその子たちとお昼を食べるようになり、休み時間も過ごすようになった。

それでもA子たちの陰口は続いていた。

しばらくすると、A子は次のターゲットを見つけ、同じように意地悪をしていた。

でも、私は居場所ができて一人じゃないと思える日々になった。

 

そして1年が過ぎ、次のクラス替えが待っていた。

「もう彼女たちと同じクラスにはなりたくない」

具体的には話さなかったが、担任の先生に相談に言った。

 

3年になり、彼女たちとクラスは別々になった。

安泰な日々が過ごせると思った。

最後の1年こそ、楽しい思い出を作りたいと。

そう思いながらも、廊下で彼女らの視線を感じるとその時の恐怖を思い出し、最後の高校生活1年間の記憶もあまり残っていない。というのか、残さないように消し去ったのか自分でもわからない。

 

だから私は同窓会に行かない。

会いたくないのもあるが、今の私は結婚していない、子どももいない。この状況を彼女たちが知ったらまた笑いものにされるのかと思うと嫌なのだ。

他の子にならネタにして話せる自信はあるのだが。

 

そして今、あの時一緒にお弁当を食べてくれた仲間たちと年に一度は集まっている。

そしてたまの同窓会の案内があるたびに、同じことを言って笑っている。

笑い声の中で、あの日の机の冷たさを、私はもう思い出さなくなっていた。

「同窓会行く?」

「行かなーい!」

「会いたい子たちとはこうやって会ってるもんね!」と。

 

≪終わり≫

 

 

 

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