人生を変える魔法のリスト《週刊READING LIFE Vol.246 どうしても達成したいこと》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
2024/1/8/公開
記事:Kana(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
「なんて野心家なんだ……」と、毎年思う。
人生で叶えたいリストの中で、消されずに残っている言葉たちを見て。
大学生の頃の、私はなんでもできる! と思っていた自分に恐れをなすけれど、だからといってその言葉たちを消そうとは思わない自分もいる。
なぜなら、それは「私の渇望」だから。
「人生で叶えたいリスト」は、大学生の頃からずっと書いている。
毎年、叶えたことを消して、10個ほど書き足すということを繰り返す。
落ち込んだ時、辛い時、もう何もかも投げ出したい時。
そんな時、私はこのリストを見る。
すると「まだ人生諦められない」という気持ちが、蝋燭の炎のようにゆらりと胸の奥で動くのだ。
その中身は、小さいことから大きいことまで、本当に様々だ。
小さいことの代表例は、「羊毛フェルトがやりたい」。
100円ショップに羊毛フェルトのキットが売っていたため、書いた翌日に遂行できた。
他にも、「ピアスを開けたい」は美容外科で簡単に予約が取れたし、「ライティング・ゼミを受けたい」は、天狼院書店でサクッと申し込んだ。
新しいことに飛び込むフットワークは軽いのだ。
これらの小さいやりたいことに注目すると、気づくことがある。
それは「自分の好きなことの傾向」だ。
例えば、私のやりたいことの上から4行を見てみよう。
1. 絵本作家になりたい。本を出版したい。
2. いいnote記事をバンバン書いてたくさんの人に読まれたい。
3. noteで自分の人生について書いてみたい。
4. 詩を書きたい。
察しの良いみなさんはお気づきかもしれないが、圧倒的に「物を書くこと」に言及している。
このように、少し重複して何度も書かれている項目を抽出することで、「自分の好きなことの傾向」が浮き彫りになるのだ。
最初の4行だけでなく全体を見ていくと、「書くこと」と同じように、「絵やアートをやりたい」や「何かを作りたい」、「悩む人を救いたい」や「ライフハックやメンタルケアを伝えたい」が何度も出てくることに気付いた。
さらに、これらを抽象化して大きく捉えると、私は「創造性を発揮すること」「アイデアで人の悩みを解決したい」という欲求が高いことがわかる。
やりたいことリストを見つめているだけで、自分の本当にやりたいことが浮かび上がってきた。
その時間は3分もかかっていない。
自分探しにインドに行くより、よっぽどお手軽かつお値打ちだ。
もしあなたが自分探しに行こうとしているなら、何より先に紙とペンを持ってやりたいことリストを書いてほしい。
飛行機の予約は、書き終わってからでも遅くないから。
では、「大きいやりたいこと」はどうだろうか。
それは、とても難易度が高く、努力する日々を重ねないと達成できないものが多い。
だから毎年書き換えていく中で、なかなか消せずに残り続けている。
「いやいや、そんなの無理でしょ」と思うけれど、どうしても消せない。
例えば、「インタビューされるくらい面白い人間になりたい。日経WOMANに載りたい」というものがある。
私は、日経WOMANを読むのが、とても好きだ。
もともと働く女性に憧れていたのもあるが、何より、人生をより良くしようというやる気とアイデアに満ちている人の人生をチラッと覗き見できるのが楽しいのだ。
手書き手帳のアイデアも、英会話の勉強方法も、メンタルの整え方も、ぜんぶ日経ウーマンの憧れの女性の真似をしている。
しかし、いざ日経WOMANに載ろうと思うとすごく難しい。
私が思うに、掲載される人は以下の3つの特徴を持っていると思う。
1つ目、仕事術や勉強術、節約術や旅のパッキング術など、なんでもいいけれど、何か得意なことを持っていること。
2つ目、それを方法論や習慣として、しっかり確立していること。
3つ目、そのメソッドを他人にわかりやすく伝える発信力を持っていること。
自分は、まだ1つ目の、得意なことを見つけている段階だと思う。
芽吹いてきた双葉を大事に育てている段階だから、花が咲くのはとうぶん先だ。
今は「まだ」日経WOMANの読者として、いつかは花咲くのを夢見てコツコツ日々を紡いでいる、そんな毎日だ。
大きいやりたいことリストの中でも、もっとも難しいと思ったもの。
それは、「仕事で嬉し泣きをする」だ。
マイナビ 学生の窓口の記事によれば、仕事で嬉し泣きをしたことはありますか? の問いに対して、はいと答えた人の割合は、4.6 %だ。(引用:「初仕事で『ありがとう』」「競合プレゼンで勝利」社会人に聞いた、仕事で思わず嬉し泣きした経験)
ちなみに、三菱UFJニコスの記事によれば、年収1000万を超える人の割合は、4.9 %とのこと。(引用:webページ「年収1000万稼ぐ人の割合は? 職業や手取り、生活レベルを解説)
単純に比較はできないが、仕事で嬉し泣きをするのは、時として年収1000万を超えるよりも難しい可能性がある。
仕事で嬉しいと感じるのはどんな時か、大学の頃、先輩に聞いてみたことがある。
サンプルその1、大学で生き物の仕組みの研究を続けている先輩。
「研究室の進捗報告会で先生たちにボロクソに言われた時は、もう辞めてやるって思うけどね。でも、やっぱり面白い実験結果が出た時でしょ。アドレナリンが出まくって、いくらでも働けるようになるからね」
「ちょっとは、寝てくださいね……?」
先輩の机の上には、空のMonsterの缶が3つ並んでいた。
サンプルその2、製薬会社でMRとして医薬品の営業をしている先輩。
「お医者さんは気難しい人が多くてね〜。新人の頃は門前払いばっかりだったけど、薬の勉強会に参加したりして知識をつけるうちに、なんとか話してもらえるようになって。ようやく契約が取れた時は嬉しかったよね」
「社会人になっても、勉強は終わらないんですね……」
先輩の抱えるビジネスバックからは、分厚い研修テキストがチラッと顔を出していた。
仕事で嬉しいと思う時は、きっと人それぞれだ。
サンプル1の研究者の先輩は、自分のやりたいことを達成した時に嬉しいと感じるし、サンプル2の営業の先輩は、人に認められた時に嬉しいと感じる。
これは、モチベーションが「物事」に向くか、「人」に向くかの違いだ。
でも、共通しているのは、なかなか結果が出ない日々を過ごし、歯を食いしばったというところだ。
研究者の先輩の机の上にMonsterの缶が置いてあるのは、アドレナリンで働きまくれるような良い結果が出る時ばかりじゃないことを物語っている。
営業の先輩のカバンにテキストが入っているのは、1日の業務を終えてから家でも少しずつ勉強していることを物語っている。
こういう地味な努力のその先に、嬉しい瞬間がチラッと現れたのだろう。
まるで、冷たい川底をさらい続けてようやく見つけた砂金のように。
嬉しいことすら、チラッとしか現れないんだから、ましてや嬉し泣きをすることなんて本当に、人生で一回あるかないかだろう。
それでも。
私は、どうしても、仕事で嬉し泣きをしたい。
じゃあ、そのためにできることはただ一つ。
目の前のことに全力で取り組むことだけだ。
近年は、SNSも流行して、成功した人ばかりが目に着くようになってきていると思う。
まだ成功していなくて歯を食いしばる人の存在は、キラキラしたSNSのリールにはなかなか上がってこない。
だから私たちのような若い世代は、冷たい川底をさらわなくても、いつかぽろっと砂金が降ってくるんじゃないか、と甘い夢をつい見てしまう。
何もSNS世代に限った話ではない。
日本人はもともと「ハレ」と「ケ」の概念を持っていた。
みんなで畑を耕して稲を一生懸命育てて、ようやくお米が食べられる。
普段は質素に暮らして、お祭りの時だけお酒を飲んで楽しくする。
ずっとこうして暮らしてきたはずだった。
でも、豊かになった現代は、だんだん「ハレ」と「ケ」の概念がなくなって、いつでも「ハレ」で生きていきたいと願う人が多いのではないだろうか。
「ケ」の努力があるからこそ「ハレ」を楽しめるという考えは、豊かな現代においては意識しないと難しい。
私も普段、仕事で失敗しても「友達とお酒を飲んで忘れちゃえばいいや!」と思い、失敗の原因を探る努力や挽回する努力を怠ることがある。
まさに、「ケ」の努力から逃げて、お酒を飲むという「ハレ」に逃げてしまっている。
これじゃあ、嬉し泣きからは程遠い。
仕事で嬉し泣きをできる4.6 %の人間になるためにも、冷たい川底をさらえる人でありたい。
仕事で嬉し泣きをするという大きなやりたいことを深掘りしたことで、「自分がどうありたいのか」を明らかにすることができた。
やっぱり、やりたいことリストは自己理解の材料として非常に有力だ。
いろんな情報に溢れている現代で、自分のやりたいことを見つけるのは非常に骨が折れる。
それでも、自分のやりたいことを把握するのは、人生の充実のためにとても大切だ。
今、自分のやりたいことがわからないという人がいたら、ぜひ人生で叶えたいリストを書いてほしい。
まずは2~3個でもいいから、書いてみると、見えてくることは必ずあるはず。
「こんなこと書いちゃって大丈夫かな? 調子に乗っているかな?」
そんな心配はご無用です。
さぁ、今こそあなたの野心を解放してみませんか?
□ライターズプロフィール
Kana(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
愛知県生まれ。滋賀県在住。 2023年6月開講のライティングゼミ、同年10月開講のライターズ倶楽部に参加。 食べることと、読書が大好き。 料理をするときは、レシピの配合を条件検討してアレンジするのが好きな理系女子。 好きな作家は、江國香織、よしもとばなな、川上弘美、川上未映子。
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