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週刊READING LIFE vol.248

45歳の私を間違いなく一番元気にしてくれた彼《週刊READING LIFE Vol.248 私史上〇〇な恋愛》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2024/2/6/公開
記事:丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「えっ、何? この甘い歌声は……」
 
あれは忘れもしない、2008年のゴールデンウイーク頃のこと。
確か、パチンコメーカーのテレビのコマーシャルで流れた、その曲、歌声に釘付けになった。
きっと、韓国語の歌を聴いたのは、初めてに等しいくらいだったと思う。
どんな歌詞かも全くわからないけれど、その甘い歌声と、ドラマでの姿が映し出されると、何かが私の中で動いたのだ。
ほんのわずかな時間、流れたそのメロディーと歌声は私の心と身体に強烈な印象を与えたのだ。
 
それは、一番初めの韓流ブームで爆発的なヒット作となった「冬のワルツ」に続く、ユン・ソクホ監督が手がけた、いわゆる「四季シリーズ」の一つ、「春のワルツ」という作品のテーマ曲だった。
主役のソ・ドヨンさんが歌う、甘い声に魅了されてしまった。
それが、日本のパチンコメーカーのコマーシャルに起用されていたのだ。
私は、当時大流行した「冬のソナタ」は知っていたが、シリーズがあったことを知らなかった。
思わず、レンタルビデオ屋さんに走り、「春のワルツ」のDVDを借りてきて、食い入るように観た。
 
ソ・ドヨンさんは、背が高く、目鼻立ちがくっきりしていて、性格のおだやかそうな好青年。
まだ、俳優経験が浅いであろう彼の初々しい演技がまた魅力的だった。
もうすっかり忘れてしまっていたのだが、一目惚れって確かこんなカンジだったよね、そんなことまでも思うくらいの衝撃的な出会いだった。
ほぼ、徹夜状態で観終わった「春のワルツ」
もう私の心は、ソ・ドヨンさんにぞっこんだった。
 
それから、当時、ようやく使い始めていたパソコンで、ネットサーフィンをして、ソ・ドヨンさんの情報を探しまくってみた。
そうすると、ファンの方のブログに出会い、そこから様々な情報を入手出来ることとなった。
ある方のブログで、土曜日の夜にチャットで会話をする所があって、初めてのネットの世界でドキドキしながらも参加して、ファンの人たちと繋がることが出来た。
ある時には、オフ会といって、チャットでしか知らない人どうしがご飯を食べる会があって、そこにも勇気を振り絞って参加したこともあった。
同じ思いの者どうし、ソ・ドヨンさんのことを語り始めると時間も忘れるくらい、それは、それは楽しい経験だった。
映像を通してでしか知らない、ソ・ドヨンさん。
でも、仲間と話をすることで、気持ちはさらに大きく膨らみ、完全に疑似恋愛のような、そんな気持ちに至っていた。
 
そんな交流を楽しんでいた時、なんと、韓国でのファンミーティングが発表されたのだ。
「春のワルツ」のロケ地を巡り、ソ・ドヨンさん本人が登場するファンミーティング。
私にとっては韓国も初めて、それに、ドラマの中でしか知らないソ・ドヨンさんに会えるなんて、夢のような企画にさらに舞い上がった。
もちろん、二つ返事で、チャット仲間と一緒に参加することにした。
 
参加申し込みをしてからは、何を着て行こうか、どんなアクセサリーを着けようか、そんなことでソワソワする日々が始まった。
ツアーの日程に合わせ、新しいお洋服とアクセサリーを手に入れ、嬉しい気持ちはマックスになっていった。
当時の私は、45歳で、夫と中学生の娘がいるような主婦だったが、気持ちは完全に恋する女性そのものだったと思う。
あの年齢で、あんな気持ちになれるなんて、自分でも不思議で仕方なかった。
それまでの人生で、いわゆるアイドルに夢中になることも、ましてや追っかけをするようなことなんかも一度もなかった。
それなのに、遅ればせながら、そんな気持ちを味わうことになるなんて、本当に人生って面白いなと思う。
 
ソ・ドヨンさんを知ってから、ドラマを見たり、仲間と交流したりしていたあの時期、私の身体の中からは、絶対に何か若返るようなホルモンが大いに出ていたように感じる。
気持ちは前向きで、常に元気だし、何よりも意欲的に物事をサクサクとこなしてゆけて、肌や髪の調子もすこぶる良かったように思うのだ。
ああ、恋をするって、女性を元気にするんだな、と思ったものだ。
 
ちょうど、女性が45歳を迎えるころというのは、更年期の時期でもあった、身体的にも、精神的にもバランスを崩しやすい時だ。
それが、最初の韓流ブーム、特に「冬のソナタ」のヨン様のおかげで、世のおばさまたちは元気になれた、とも言われたくらいだ。
そんな体験を、私もすることとなったのだ。
更年期の症状はなかったのだが、ちょうど夫が会社員を辞めて独立し、会社を創って間もない頃だった。
家事や育児だけでなく、その会社のことも手伝って、とてもストレスが溜まっていた時でもあった。
自分のことにゆっくり時間をかけたり、丁寧な暮らしをしたりするような余裕もなく、身も心も荒んでいるような、そんな時だった。
それが、ソ・ドヨンさんとの出会いで、私の人生にパッと明るく、温かいモノをもたらせてくれたのだ。
自分の中にある、ときめいたり、ワクワクしたり、ドキドキするといった、忘れかけていた感情をもう一度呼び起してくれたような、そんな経験だった。
 
いよいよ、韓国でのファンミーティングへ行くこととなった。
オフ会でも会ったことのある、仲間とともに参加したファンミーティングは、まるで修学旅行のような楽しさがあった。
大好きなことについて、永遠に話し続けることで、さらに元気になってゆく自分が感じられた。
 
そして、いよいよ韓国に到着して、「春のワルツ」のロケ地の一つに到着した時、なんと、ソ・ドヨンさんが私たちを出迎えてくれたのだ。
 
「えッ、ウソ!」
 
あの時の衝撃たるや、表現できないほどのものだった。
心臓って、本当に脈打っているのね、と確認出来るほどドキドキして興奮した瞬間だった。
彫刻のようなきれいな顔立ち、王子様のような存在感。
私たち、オフ会のメンバーが夢見心地になったのは言うまでもなくて。
そして、ツアーの中では、ファンミーティングでソ・ドヨンさんと一緒に写真をとったり、質問をしたり、たくさん触れ合うことが出来たのだ。
ああ、あの時のあの経験は、間違いなく私を元気にしてくれたね。
45歳の女性が、家事と、育児と、さらに仕事に負われ、自分自身をかまうことなんて忘れてしまい、ただ、日々をやり過ごすことで精一杯だった。
 
「私の人生って、こんなものなのかな……」
 
そんなふうに、一人嘆くこともあった。
そんな時、突然現れた王子様、ソ・ドヨンさん。
あなたのおかげで、私のそこからの人生はV字回復のごとく、明るい方へとまた向かうことが出来たのだ。
 
異国の地、韓国の、しかもテレビの向こうにいる俳優。
そんな、手の届かない存在なのだけれども、身近に感じ、ひと時の夢を見させてくれて、本当に楽しかった。
あれは、間違いなく、一つの忘れがたい大切な恋愛だったように思う。
間違いなく、45歳だったあの時の私を一番元気にしてくれたのは、ソ・ドヨンさん、あなたでした。
カムサハムニダ。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

関西初のやましたひでこ<公認>断捨離トレーナー。
カルチャーセンター10か所以上、延べ100回以上断捨離講座で講師を務める。
地元の公共団体での断捨離講座、国内外の企業の研修でセミナーを行う。
1963年兵庫県西宮市生まれ。短大卒業後、商社に勤務した後、結婚。ごく普通の主婦として家事に専念している時に、断捨離に出会う。自分とモノとの今の関係性を問う発想に感銘を受けて、断捨離を通して、身近な人から笑顔にしていくことを開始。片づけの苦手な人を片づけ好きにさせるレッスンに定評あり。部屋を片づけるだけでなく、心地よく暮らせて、機能的な収納術を提案している。モットーは、断捨離で「エレガントな女性に」。
2013年1月断捨離提唱者やましたひでこより第1期公認トレーナーと認定される。
整理・収納アドバイザー1級。

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2024-01-31 | Posted in 週刊READING LIFE vol.248

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