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週刊READING LIFE vol.170

自分を変えるプロジェクト~ダイヤモンドからサファイアへ~《週刊READING LIFE Vol.170 まだまだ、いける!》


2022/05/23/公開
記事:山本三景(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
私は現在40代、いわゆる1970年~1984年頃に生まれ、バブル経済崩壊後の超就職難の時代に就職活動をした「ロスト・ジェネレーション」の世代に属している。
仕事ではまったく畑違いと思っていた部署に異動し、若い世代に交じって経験値を積んでいる最中だ。
 
経験値を積んでいる……なんてポジティブに書いたが、実際のところは何をやってもうまくいかない自分に幻滅し、落ち込んでは下を向く日々を過ごしている。
経験値を積んでいるというより、今までの積み上げた経験を自ら削っているような気がしてならない。
こんな自信のない状態で後進を育てていくことが果たして自分にできるのだろうか。
逆に若い人に教えられることばかりで、一緒に成長している感じだ。
与えられた役割を果たせていないと思う自分にジレンマを感じ、不安にいつも駆られている状態にいた。
そんなとき、ふとした会話のやりとりの中から自分に対してネガティブなレッテルが貼られていることに気づいてしまったことがあった。
気づくというより、直球で言われてしまった。
わかってはいたが、やっぱりそう思っていたのかとショックを受けた。
 
そんなこと言う?
デリカシーというものがないのか?
 
と言いたいところだが、おそらく相手に悪気はない。
怒りと悔しさをグッとこらえてひたすら苦笑い。
そんなときはお酒と美味しいツマミを買って帰ることを考えて受け流す。
 
欠点と自覚して悩んでいることを、いざ人から突き付けられると、結構ダメージが大きいものだ。
家族の悪口を自分が言っても許せるが、他人が言うと腹が立つのと似ているのかもしれない。
決して私のすべてが否定されたわけではないのに、一つの否定的な意見で自信がなくなり、自分はダメなのではないかと必要以上に落ち込んでしまうのだ。
レッテルが一度ついてしまうと、今後努力をしたって認めてもらえるのは難しいと思ってしまう。
しかし、本当に認めてもらいたかったのか?
いや、少し違う。
言われた言葉を言い訳にして、苦手な場面に立ち向かうことから逃げていただけではないのだろうか。
 
そうか、私はそういうふうに思われていたのか!
だったらそこを改善するように工夫していこう!
 
なんてポジティブな考え方をすることができれば楽なのに……
ちょっと嫌なことを言われたぐらいで、落ち込み、自信を喪失する。
そんな悪循環にはまっていた。
ただ、自分でもこのままではよくないということだけはわかる。
ここから抜け出さなくては!
しかし、焦りだけが膨らんでいった。
そんなとき、キャロル・S・ドゥエック著の『マインドセット』という本を読んだ。
副題に「やればできる!」の研究とあった。
そもそも、マインドセットとは何か。
 
マインドセット、それは心の在り方。
経験や知識による無意識の思考や行動パターン。
 
この本の中では、世の中には「しなやかマインドセット」の人と「硬直マインドセット」の人がいるとあった。
人間の能力は努力次第で伸ばせると信じる「しなやかマインドセット」タイプの人と、自分の能力は固定的で変わるものではないと信じる「硬直マインドセット」タイプの人にわかれる。
「硬直マインドセット」の人は、自分が他人からどう評価されるかを気にするのに対し、「しなやかマインドセット」の人は自分を向上することに関心を向けるとある。
つまずいたらそれで失敗と考える「硬直マインドセット」の人は、しくじってはならないという強迫観念にいつも駆られている。
一方「しなやかマインドセット」の人は結果重視ではなく、プロセスを重視するので失敗しても、挑戦したことの価値が薄れることはない。
失敗を恐れてチャンスを逃がすこと自体が考えられないというわけだ。
問題がたとえ解決できなかったとしても、何かを得られたと考え、一歩ずつ前進する。
 
思わず目を見開いた。目から鱗とはこのことだ。
「硬直マインドセット」の持ち主はまさしく私ではないか!
そして、ネガティブなレッテルほど強くはびこるとあった。
わかりすぎる……
マインドセットが硬直な人は、どんなレッテルを貼られても平静を保てないそうだ。
そして本の中に、今の自分にぴったりの一文があった。
 
「優秀というレッテルを貼られたら貼られたで、それがはがれたらどうしようかとおびえ、ネガティブなレッテルを貼られたら貼られたで、その通りだったらどうしようかと恐れる」
 
そう、どっちに転んでもビクビクしているのだ。
これが「しなやかマインドセット」の人だと、一度否定されたぐらいで一生の終わりのような顔はせず、努力すればなんとかなると信じて自分の信念を貫き通すことができる。
だって、人の評価なんて気にしてないから。
うまくいかないときにこそ、粘り強い頑張りをみせるのが「しなやかマインドセット」の持ち主だ。
私は完全に人生の終わりの顔をしていた。
 
私のマインドセットはダイヤモンドより硬いな……
 
ダイヤモンド、それは世界で一番硬い石なんて言われている最強硬度の宝石だ。
果たしてこのダイヤモンドより硬い、私のカッチカチのマインドセットを変えることができるのだろうか。
確かに本を読んで感心した。
しかし、読むだけでは意味がない。
とりあえず、自分が「硬直マインドセット」ということがわかっただけでもよしとしよう。
次は、どうやって「しなやかマインドセット」に変えていくか。
本を読んで、自分に言いきかせたいことをいくつか書きだしてみた。
 
・失敗を何かのせいにしない限り失敗者ではない
・やればできたのに……と言い訳しない
・どんなに落ち込んでいても行動に移すことが大事
・うまくできる自信がなくてやらずにいたことはないか。それを実行に移してみるのが大事
 
実は今度、自分にとっては理解するのが難しそうな講義がある。
自分には理解できないと、話をきく前から思い込んでいるのだ。
直接仕事に関係がなくても、今後は関係してくるかもしれない。
きっと有意義なものだと思う。
最後には実践もある。
出席するかしないかは個人の自由だ。
会社の業務時間中に結構な時間をとられるので躊躇する……というのは言い訳で、あまりに意味がわからなくて理解できなかったらどうしようと思っている自分がいる。
正直、出席したくない。
興味はないし、時間もとられる。
立派な言い訳がある。
だったら出席しなくても許されるじゃないか。
それでいいのか?
学ぶチャンスではないのか?
 
うまくできる自信がなくてやらずにいたこと……まさしくこれに当てはまるではないか。
これは実行してみますか。
楽しそう! なんてまだ思えないけど。
恥をかくかもしれない、しかし、挑戦することに意味はある。
小さな一歩から始めよう。
 
長年、ダイヤモンド級の硬直マインドセットでやってきたので変えるのが難しいのもわかっている。
40代になり、自分の限界もみえて、「自分なんてたかがしれている」と思うようになっていた。
大人になるにつれて自分から「未来」という言葉が遠ざかる。
年も年だしもう伸びない……なんて思っている自分がいる。
いろんな壁にぶち当たって、その壁を越えられないのは年齢のせいではないはずだ。
障害へ立ち向かう自分の姿勢を見直してみよう。
やる前から腰が引けてなかったか?
ネガティブなことを言われたってその評価どおりに自分が動く必要はない。
自分は自分なのだ。
壁にぶち当たるたびに、自分が変われるチャンスをもらったと思おうではないか。
 
とは言いつつ、
できるかな……
 
心の声が小さな声で情けなく自分に問いかける。
では、まずはダイヤモンドの硬度よりワンランク下のサファイアぐらいの硬度に落としてみよう。
それでもまだ十分硬いマインドセットだが、ゆるやかにしなやかに変えていこうと思う。
理解できるか自信がなくて躊躇していた講義に出席してみよう。
このカッチカチのダイヤモンドのマインドセットを「しなやかマインドセット」に変えるプロジェクトが今、始まった。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
山本三景(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

2021年12月ライティング・ゼミに参加。2022年4月にREADING LIFE編集部ライターズ倶楽部に参加。
1000冊の漫画を持つ漫画好きな会社員。

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2022-05-18 | Posted in 週刊READING LIFE vol.170

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