週刊READING LIFE vol.186

本業と副業を両立させる上で大事なこと《週刊READING LIFE Vol.186 本業と副業》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2022/09/19/公開
記事:久田一彰 READING LIFE編集部ライターズ倶楽部
 
 
「副業なんてダメに決まってるだろ! バレたら一発アウトでクビになるぞ! うちの会社にはそんな制度ないんだからな」その先輩の一言で、私はめちゃめちゃ焦った。
 
「やっぱりか、うちの会社じゃ無理だよな」という想像できていた答えと、やっぱりダメだったかという絶望的な状況が混ざったような、なんとも言えない気持ちになってしまった。
 
現在のサラリーマンにとって、本業をしながら副業をするというのは、割と解禁されてきた流れもあるのだが、会社によってはまだまだそんなことは許されていない。会社の機密情報の流失や、優秀な人材の流失、労働時間の増加による健康問題など、確かに危惧するようなことはたくさんある。会社の考え方や制度が確立されていなかったり、副業解禁時代とはいえ、その波にまだまだ乗れていない会社や、サラリーマンはたくさんいる。
 
副業するということは、夢みたいなところはある。副業で手にすることができるのは、収入が増えることによる経済的な余裕が増えることでもある。簡単に言ってしまえば、お小遣いが増えるということだ。お小遣いが増えることで、好きな本は気にせず買えるし、ちょっといい文房具だってお気に入りのメーカで揃えることができる。ちょっと書き心地のいいペンやノート、手帳にファイルを持って商談相手の前に広げたり、会議の席で見せるように仕事をしてみたい。それに、スーツの生地のいいものを何着もクローゼットに置いて、パリッと糊の効いたシャツや、身だしなみは足元からと言わんばかりの革靴のランクも上げて、外見も良くしたい。ランチだってコンビニのおにぎりとカップラーメンだけでなく、ちょっとおしゃれなカフェで頼むランチセットでゆっくり休憩タイムを楽しみたくもなる。仕事が終わってからも、ジムや習い事に通って趣味を充実させた。帰りがけの駅前のパン屋で、明日の朝食用にと家族にお土産がてら買って帰りたくもある。そう考えると、経済的な余裕だけでなく、生きていく上での精神的な余裕も増えていきそうだ。
 
しかし、いくつか不安もある。本業がほとんどといっていいほど、うまくいってもないのに、副業をする余裕はあるのだろうか? 副業を始められたとしても、こちらも成果は出るのだろうか? という不安がある。
 
本業の仕事は終わりの見えないマラソンをしているようなもので、やってもやっても終わりはなく、次から次に湧き出てくる。それどころかミルフィーユのように幾つも幾つも問題や予定が重なり合い、もはや何層重なっているのか数えることもできない程だ。そうすると、仕事時間はどんどんと延びていく。9時に始業して17時半に帰るなんて夢のような話だ。それどころか現実は、8時からスタバやドトールで段取りや予定を考え、お昼が取れるのは気が付けば14時15時なんて当たり前。終業時間の17時半になれば、なぜかここから本領発揮だぜ! と言わんばかりにブラックコーヒーやエナジードリンク類を一気に飲み干して後半戦のスタート。おやつ代わりにコンビニでちょっとした甘いお菓子を買ってくる。先に同僚や先輩が帰って行っても、「もう少しやったら帰ります」と頑張っているアピール。会社の携帯に別の部署の先輩や同期から電話がかかってくると、喜んで出て、会社の愚痴やどうしたら成果が出ますかね? なんて話を延々と繰り返す。21時や22時なってようやく会社を出る。会議がある前の日は、パソコンで資料を何枚も何枚も作って、日付が変わる前まで家で仕事もしていた。だけど、そんなことをやっても、成績がめちゃくちゃ上がる訳でも、出世をするでもなく、普通のサラリーマンで過ごしている。
 
いや、普通のサラリーマンというのも自分の思い込みで、実際はクビ寸前までの酷い評価を受けていた。それは部長との面談で初めて気付かされたのだ。入社してから6年間いた部署から、転勤を告げられた赴任先で部長との面談があった。かつて入社したばかりの時にもお世話になったことのある部長で、優しさの中にも厳しさがあり、憧れる部長だった。
 
「いい、お前なんで転勤させられたのか分かっているか? 今までの部署で先輩や同僚から頼まれた仕事を真面目にやっていたと思うか? もう後がないんだぞ。そこんところ知っておけよ」部長から聞かされた言葉は、励ましでも慰めでもなく、これはもう最終宣告だった。
 
思い返すと、先輩や同僚から頼まれた仕事は放りっぱなし。毎日出せと言われた業務日報は、催促されてからようやく書き出す始末。会議の席で実績の悪さを指摘されても、原因がなんなのか、挽回するための改善策を答えられず、黙ってノートや手帳をペラペラと見返しているだけ。「お前はいつまで会社のお荷物でぶら下がっているんだ?」とみんながいる前でも怒られている。そんな状態が7年も8年も続いていたのだから、当然の最終宣告だった。いや、もっと早くに言われていてもおかしくはないダメダメ社員だった。
 
それからは、仕事を真面目に考えてするようになったし、上司や周りの先輩や同僚ともよく相談するようにして、評価も少しずつ上がっていったと思う。別の部門長からも「お前、最近調子いいな。もっと早く変わっておけよ」とも言ってもらえた。入社して10年経ち、またしても転勤があった。転勤してからも真面目に取り組んでいた時に、社内で新しいプロジェクトが始まり、プロジェクトチームメンバーが赴任先にやってきた。チームにはかつていた場所の先輩と再会を果たした。その時にも「お前、今や期待の星だって? 俺たちがいた頃にそうなっててくれたら良かったのに」と背中をバン! と叩かれた。こうして少しづつ、社内でも認めてもらえるようになり、ついには支店長からも「こないだのお前の会議での発言やまとめ良かったよ。次のプロジェクトのリーダー頼むな。お前しかやれないからな」と指名してもらえるようにまでなった。
 
仕事がうまくいくとじつは残業時間や休日出勤は減っていたのだ。かつては、数えるのも記録していないくらい残業していたし、23日間連続で出勤したぞ! と謎の武勇伝をSN Sで周りに言いふらしていた。なんとも痛々しいデジタルタトゥーである。だけど、現在は、残業時間なしの月もあるし、有給取得日数も年間に15日取れてもいた。成果と残業時間をグラフにするとおそらく反比例しているグラフになるイメージだ。
 
そんな仕事の成果も順調で、いい状況でもあったので、会社で副業が本当にできないのか調べてみた。会社の人事規定集は共有サーバーに保管されているし、冊子も会社内に置いてあった。まずはそこから副業についてのことがないか調べてみた。だけど、そこには一言も触れられておらず、副業という単語もなかったのだ。今度は人事課にこっそり聞いてみた。すると大きくは公表していないが、制度としてはあるという。そこで私は、上司と支店長に許可を得るべく、申請書を提出することにした。
 
だけど、ここでも壁が現れた。提出したとしても、副業をするのを認めてもらえるかということだ。大っぴらに公表していないということは、やはりいろいろな不安材料が会社にとってはあるので、大きく踏み出せないのだ。確かに副業ばかりに力を入れすぎて、本業が疎かになっては困る。副業先でうまくいきすぎて、人材を引き抜かれても困る。
 
では、どうしたら副業開始のOKをもらえるのか、かなり考えた。上司と支店長にアポをもらいプレゼンすることになった朝、始業前のスタバでノートを広げて頭の中の考えを書き出していった。本業の仕事が絶好調になり、会社に利益をもたらせて、上司も支店長にも納得してもらえる理由を伝えないと、OKはもらえない。2、3行ペンを走らせるが、なかなか考えがまとまらない。ようやく1枚書いてみたのだが、このままで本当に納得してもらえるのかどうも心許ない。もう1枚新しくノートに書いて考えていった。今度は納得の行く答えが出たので、このまま上司と支店長の待つ部屋へ行った。
 
この場をもらえたことに感謝を伝え、副業を開始させて欲しいと、2人の前でプレゼンした。どう伝えるかは、さっきノートの上でリハーサルをしたので、きちんと伝えられた。そして、2人からの返事は、「いいぞ。本業もしっかりやってくれよな」と、OKをもらえたのだ。そして、申請書にも捺印をもらえ、人事部に書類を提出して、副社長からもOKをもらえ、こうして、会社公認で副業を始めることになった。
 
副業は講師業とライター業を選択した。講師業はかつての私のように、サラリーマンで仕事の壁を乗り越えられずに困っている方に手を差し伸べたい。ライターは同じパパに向けて地域内で子育てできる・遊べる・学べる場所を発信していきたいという思いから始めた。
 
副業を公認してもらい、始めてから1年5ヶ月経ってわかった事がある。本業も副業もどちらもなくてはならない、空気と水のような存在であり、私というものを支えてくれる大黒柱のようなものでもあった。副業は特に今までの経験がほとんどない、初心者ではあるのだが、本業で培ったスキルが役に立つものばかりだったのだ。
 
例えば、講師業では私の数々の失敗から学んだものは、相手にとっても考えや思いを共有してもらえるケースが多々あり、私はそれを乗り越えられた経験があるので、相手の欲しい結果を手渡してあげられる。ライター業では取材相手にアポや取材を申し込むときには、ビジネスマナーやメールスキルや商談をまとめる力が大いに役に立っている。
 
また、副業で得た知識を本業でも活かすことができる。地域の成功者から聞ける言葉は、自分の仕事の進め方にもいい影響を及ぼしてくれた。ZoomやSlackなどのデジタルツールも副業で使っていると、本業でもうまく使える事例がたくさん出てきた。まさに、本業と副業は表裏一体、リバーシブルパーカーのようなどちらも役に立つものだったのだ。
 
そして、何よりどちらとも師匠と呼ぶべき人物、仲間といえる存在と出会えたから、私が買われたことが大きい。1人だけではできなかった。本業では会社の多くの同僚や先輩上司がそうであるし、講師仲間やライター仲間にも同じように切磋琢磨して、励ましてくれる仲間がこちらは世界中にいてくれる。
 
アフリカのことわざで、「早く行きたければ1人で行け、遠くまで行きたければ仲間と行け」とあるように、仲間こそ本業と副業の成功へと導いてくれる存在なのだ。
 
ライターとして活動していると、ライター仲間という存在に出会える。そこから悩みを聞いてもらえたり、仕事の紹介を頂けたりもする。こうして仲間と会えるからこそ、実績も積み重なって行くのだ。
 
今読んでいただいているこの記事も、天狼院書店のライターズ倶楽部の仲間がいてくれるからこそ続けてこられた。毎週5,000文字の記事を書いていてへこたれそうな時に、あの人も提出しているしスゲー、自分もやらなきゃと思いつつこうして今日も書いている。書いた記事が掲載されると嬉しいし、また次も書こうと思える。あの人の記事はスゲーと上を見ると励みにもなるし、力およばず掲載されなくても、素敵な講師陣のおかげで的確なフィードバックを頂けて、ライティング力をつけることが出来ている。まるで一つのプロジェクトをみんなで成功に向けて動いているようだ。
 
こうして得た大事なことを、今度は自分が書く力を通じて、誰かの(特に世の中のパパさんたちの)力になりたいし、ライティング力を持って会社で成果を出していきたい。私が変われば会社が変わり、会社が変われば世界も変わる。そんな気持ちを持ちつつ、本業と副業をバランスよく両立させ、どこまでも続く線路のように続けていこう。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
久田一彰(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

福岡県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科日本史専攻卒。
現在、福岡県で会社員と男児の父。2021年4月より会社公認で副業開始。講師業としてサラリーマンが仕事の壁を乗り越えられるためのコンサルのほか、地域のことを発信するパパレポーターとしての活動や、ウイスキーライターとして、オススメのウイスキーを紹介する記事も執筆している。2022年7月よりライターズ倶楽部へ在籍。

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2022-09-14 | Posted in 週刊READING LIFE vol.186

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