週刊READING LIFE vol.200

やっぱりとにかく書いてみよう!《週刊READING LIFE Vol.200 書きたくても書けないこと》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/1/9/公開
記事:飯田裕子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
天狼院書店の文章講座で文章修行を始めてから、いつの間にか1年が経った。
 
昨年の11月からの4か月間は、名古屋で開催された「ライティング・ライブ」に参加して、毎週、フリーテーマで2千字の課題を提出した。そこでは、正月に倒れながらも、とにもかくにも16編書いた。
 
その後、今年の4月からは、「ライターズ倶楽部」という、毎週3カ月間、決められたお題に沿って5千字の文章を書いていく講座に3期参加してきたので、そこで、この文章を含め35編を書いたことになる。
 
これだけで、合計51編になる。
 
また、他にも作文講座を取って、いわば自分のためだけの文章を書いたりもしたし、ライターズ倶楽部の別枠で、雑誌『リーディング・ライフ』に挑戦したりもしたから、天狼院書店関連では、全部で、きっと60編ぐらいは書いたのであろう。
 
「書かない(書けない)」のが悩みの一つで参加し始めたわりには、われながら、よく頑張ったものだと思う。途中からは、「私は休まないで提出する!」と公言してしまったので、かじりついてやってきたところもあった。
 
今書いているこの文章を含まない50編のうち、天狼院書店のウェブのどこかへの掲載を認められたのは、24編(ライティング講座に参加して書いた文章は、掲載に耐えうると判断された場合、天狼院書店関連のウェブ上に掲載してもらえる)だから、だいたい半分を切るぐらいである。多いのか少ないのかよく分からないが、書いたものがほぼ全て掲載される方も、たくさんいらっしゃるので、「半分は掲載された!」と喜んではいけないとは思う。お恥ずかしい限り。
 
この一年に書いてきたものを見返してみると、書いてウェブに掲載されたものは「自分の経験から教訓を得た話」か「どうしても感動などを伝えたいと思った、何かの紹介文(推しのミュージシャン、本、キャリーバッグなど)」が中心だったようで、私は、そんなにバラエティに富む内容を書いたわけでもなかったようだ。別に、毎週の推奨テーマが決まっている以外は、どんなジャンルで書いてもよかったわけなので、他の方たちのように、科学読み物だったり小説だったり取材記事だったりに挑戦してみたら、自分がどんな文章が得意なのかが、もう少し分かったのかも知れない。

 

 

 

この際、まだ体得できない、構成の悪さなどは置いておいて、書こうと思った内容について、思いを巡らしてみたい。「書きたくても書けなかった」ものもいくつかあったけれど、「書けなかった」ものにも、自分の人生や生き方を振り返るチャンスが転がっていたのかなと思う。
 
どの話も、まとめるのは大変だったけれども、掲載されなかったものも含めて考えてみると、「自分の経験から教訓を得た話」は、諸刃の刃ではあった。きちんとまとまる時とまとまらない時の差が激しかったのである。これらは、「書こうとしたけれど、書けなかった」ものの部類に入るかも知れない。
 
うまくまとまる時は、自分の経験(見聞きしたことも含む)を書いた部分が、過去に実際にあったにしても、そんなに重くない話題であって、自分の中で、すでに整理されて、三人称的に説明出来た場合だったように思う。つまり、感情や経験を吐露するのに、心の負担をあまり感じなくて済んだ場合だ。例えば、「手紙の書き方本を真似して母に怒られたエピソード」だったり「安易なハイキングに出かけたつもりが当てが外れたエピソード」などは、すでに自己解決されていて、その経験の上に「私」という人格が作られてきたことを、第三者に知られてもいいと思えるものだった。
 
しかし、「苦い教訓を得たのに、まだ、恥ずかしすぎて言えないエピソード」とか「まだどこかで悩んでいて、いまいち吹っ切れていないエピソード」は、書こうと思っても書くことが出来なかった。思い出すと心がまだうずく感じと言ったらよいだろうか。それか、その思い出に対し、くどくどと言い訳を並べようとして失敗するという具合だった。なので、分かりやすくまとめるのに必要であろうエピソードを回るように書いてしまうとか、無理やり他のものに置き換えるとか、エピソード自体を回避する、という行動に走りがちだったように思う。
 
こんな時は、「ちゃんとまとまってから書こうね!」と自己ツッコミを入れるのだが、「第三者が見て、読者メリットのあるコンテンツ」を書くということ以前に、文章をまとめようとすることが、まるで、心のセラピーのようになってしまった。
 
エピソードにきちんと向き合わない自分を見つけた時、「うーん。私は、文章に書く必要(課題を提出する必要)に迫られていろいろ考えてみるまで、自分がぶち当たった壁に、きちんと向き合ってこなかったのだな」と気づく、という具合だった。教訓を得るには得たのだが、教訓を生かして、壁を乗り越えて、壁の向こう側から笑って眺めることが出来ないでいるのだ。そして、私は、それらについて、見て見ぬふりをしてきたのだ。
 
時間に迫られながら、その時点で出来得る限りの努力をしては書くのだが、だいたい、書いている本人が悩んでいるぐらいだから、掲載可のコンテンツにはならない。ただ、「忙しい方々に、変なものを読ませてしまった」という後悔と、通らなかったという残念な気持ちと同時に、「お前はその問題から逃げてきた!」ということが改めて思い出されたことは、文章修行の副産物にはなったように思う。

 

 

 

他には、「これ、書いてみたいけど、書いちゃまずいでしょう」というものもあった。暴露話は、普段、その業界にいない人は、なかなか聞けない話なので、読む分には、とても面白い。でも、教師などしていると、学校でのエピソードなどは、書くのに勇気がいる。お互いの信頼関係のなかでの学びだから、そっとしておきたい。ネットで書くものは、オフレコではないし、サイトにあげれば、一生消えない。裏アカを見たら誰かが傷つくことがあるように、やっぱり、掲載出来ないものはあるのかなと思いながら、別のエピソード探しをした。
 
普段、もっと広く、教育業界や研究者業界について考えていることも、次にその業界を目指したい人に言いたいことも、本当にいろいろあるけれど、あまり言っている人がいないし、独りよがりなところもあるしで、もしかして書いてみたら、炎上を招きそうだ。ネットは、どこの誰がその発言をしたのかは、調べる人が調べれば分かるので、場合によったら、業界から追い出されてしまうこともあるのだろう。オフレコで、よく知っている人に話すことは出来たとしても、オフレコも、今の時代、講演会で内緒で録音されていて、生の声が出回ることもあるわけだから、怖い時代になった。
 
暴露話は、ライターさんが、その業界の方何人かに聞いて、「こんな現状であった」としてまとめる形をとるなどして出てくることが多い。そうでなければ、不用意にしてしまったネット上の「つぶやき」が、多くの人に取り上げられて、社会現象になったりする形で出てくるように思う。そうでなければ、出版社から匿名で出されるか、誰かがその世界を引退してから書くかだろう。
 
天狼院書店のウェブは、編集者を通す形にはなるので、間に、内容・体裁・完成度を総合的に見て、掲載可かどうかを判断してくださる方がいる。完全に自分の個人的ブログで公開するのとは違った良さがあると思うので、「これは掲載可な話かな」と、書いてみることも出来たのかも知れなかったが、やっぱり、一般論として躊躇してしまった。読者メリットを考えると、ある業界の方がしてくれる話には、一定の価値があるが、では、何でも公にしていいのか、と言えば、勇気がいることも多いのかな、と思った。
 
そして、では、個人的な話に寄せて……と考えると、また、最初の、「まだ決着が付いてない」話に戻ってしまうのだった。

 

 

 

多分、インプット不足で、こんな泥沼に落ちてしまったのだ。このような「書きたいけど書けない話」を回避するには、とにかくインプットを増やして、もっと広い視点から物事を見てみるとか、何か新しいことに挑戦するとか、個人的な話に早く決着を付けて、みなさまにも聞いていただけるようなコンテンツにするとか、いろいろな日頃の努力が必要になろう。
 
自分の力不足や内面の問題でコンテンツに出来ないのは、ガックリするところだが、一つ言えるのは、
 
書かないと、何事も始まらない!
 
ということだ。
書いて、人生の棚卸をしてみたり、そのために知識を付けようと思うことはいいことだ。
私は、文章修行を始めて良かったと思う。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
飯田裕子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

2021年11月に、散歩をきっかけに天狼院を知り、ライティング・ライブを受講。その後、文章が上手になりたいというモチベーションだけを頼りに、目下勉強中。普段は教師。

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2023-01-04 | Posted in 週刊READING LIFE vol.200

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