週刊READING LIFE vol.200

10年ぶりにFacebookに力を入れてみるか《週刊READING LIFE Vol.200 書きたくても書けないこと》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/1/9/公開
記事:山田 隆志(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
2010年代に差し掛かるころ、Twitterなるものが登場し始めた。Twitterが登場したばかりのころは、暇なときに140文字以内で何かを「つぶやく」ことがコンセプトにあげられていたが、私にはさっぱり意味が分からなかった。そもそも得体のしれないものに「何も意味のない」言葉を発するという行為が信じられなかった。あらから10年経つ頃には、良くも悪くもTwitterは多くの人が利用しており、気が付けばほんの一瞬の時間があれば、無意識にTwitterを開いてしまっているのだからわからないものだ。
 
Twitterの登場からほんの1年経つか経たないかぐらいの時に、Facebookというものが日本でも名前を聞くようになった。会社の中でもFacebookというものが、なんだかよくわからないけど面白そうなものということで、ちょっとずつ流行り始めていた。今ではなくてならないSNSというものでも、スタートのころはなんだかよくわからないものというのが私の周りの認識だった。
 
Facebookというものは本名で登録することで、自分の交流関係や発信に対する信頼性を高めることが狙いだったと認識している。とはいえ、よくわからないので馬鹿正直に自分の本名とどこにでも転がっているような自分の顔写真に、実際の居住地や会社名に出身校まで馬鹿正直に登録した。
 
当たり前だが「友達0人」でFacebookを登録していたら何も書かれていない空間があるだけだ。どうすればよいのか全然わからないので、Facebookを使っている会社の人を片っ端から友達申請をしていた。それこそ、直上司だろうが役員だろうが関係なくとにかく友達申請をしてFacebookを少しずつ楽しみ始めていた。そこには同僚たちの会社では見せない姿を垣間見ることができるようになり、このときはじめてSNSの面白さをわずかながら理解することができた。
 
Facebookで遊び始めると思わぬ副産物が舞い込んできた。使い始めて1か月も経たないうちに懐かしい名前の友達申請が飛んでくる。高校時代のクラスメートだ。出身校も生年月日も正直に登録しているので、結構な数の友人の友達申請が来るようになっていた。
 
高校を卒業してからずっと疎遠になっていたクラスメートも、Webの世界とはいえ15年ぶりに再会できたのはとてもうれしかった。なかにはすでにFacebookを使い倒している強者もいて、日々の活動を毎日のように投稿しているものもいたので、夢中になってクラスメートの活躍を追いかけていた。10年以上も合わないうちに結婚して子供を立派に育ている者もいれば、社長になっているものや弁護士になっているものもいた。
 
あの時のクラスメートの立派な姿を見ることができ、なんだか知らないけど元気づけられた気がしており、いつの間にかFacebookでかつての友人たちの活躍を見ることが日課となっていた。
 
ある時、クラスメートの一人からメッセージが届いた。
 
「年末に静岡で同窓会やるからお前も来ないか!」
 
これはうれしいお誘いであったが、何しろ10年ぐらい御無沙汰となっている。同窓会に誘ってくれたクラスメートはクラスの人気者でありスクールカーストの最上位にいる人間だ。私と違って、卒業後も友達との絆を深めて頻繁に遊んでいるようだ。別にいじめを受けたとかそんな中ではなかったが、そこまで親しくしていたわけではなかったので、私が参加して場違いではなかろうかと気後れしていたのも確かだ。
 
返事を先延ばしにしながらも同窓会に参加してみると懐かしい顔がたくさんあり、心配していたことが馬鹿らしくなるぐらいだった。
 
10年ぶりに会うクラスメートと話してみると、「とにかく10年ぶりにお前と再会できてうれしかったよ。このままずっと会えなくなったらどうしようかと思ったよ」と熱く語っている。
 
「えっ?毎年集まって飲んでいたんじゃないの?」ときょとんとしながら聞き返すが、「卒業以来集まっていた奴もだんだん減っていくし、お前みたいに卒業してから全然会うこともできなかった奴もたくさんいるんだよ」と寂しそうに答えていた。
 
「それにしてもFacebookってスゲーなあ。ずっと離れていた仲間を一気に集めちゃうかならなあ」
 
それは同窓会に集まっていたメンバー全員が実感していたことであり、聞けばこの年が過去最高の集まりだったという。高校時代にも仲良くさせてもらったやつもいれば、あんまり話すことがなかったクラスメートも、すべての人が一つになれた気がした。
 
そして、同窓会に参加したクラスメートや参加していないけどFacebookに投稿しているクラスメートたちの活躍を知ることによって、大きなエネルギーをもらった気がした。そして、私も彼らに負けないような活躍を誓った。
 
久しぶりに充実した同窓会の翌日からROM専だったFacebookに積極的に投稿することになった。作文嫌いだった私が文章に目覚め始めたのはこの時であり、毎日駄文を投稿し始めた。

 

 

 

あれから、Facebookは日々の生活の中でなくてはならないものになった。職場の同僚やかつての友人たちはもちろんのこと、初対面の人間でも必ずと言ってよいほどFacebookの相互フォローが欠かせなくなっており、気が付けば私のフォロワーが300人を超えた。
 
300人近くのフォロワーがいるなか、無邪気にも本名で自分の私生活やいつも思っていることをもっともらしく文章に残すようになっていた。文章を書くことは苦手だったはずなのだが、日々の私生活を投稿することで多くの人からいいねやコメントをもらえるようになってから調子に乗って文章を書くことが日課となっていた。
 
自分の私生活を投稿するよりも力を入れていたのは、フォロワーの投稿を欠かさず読んでおり、古くからの友人はもちろんのこと、少し挨拶を交わしただけのフォロワーの投稿も読むようになり、気が付けばFacebookを眺めているだけで一日つぶしてしまうことも少なくなかった。
 
ある日フォロワーの一人がFacebook上でカラオケパーティーの参加者を募集していた。地元での開催であり、ちょうど予定も空いていたのでなんとなく参加ボタンを押してしまっていた。無意識のうちにフォローしており実際に言葉を交わした記憶はないけど、なんか楽しそうだなと思いながら参加することになった。
 
やっていることは地元のカラオケボックスの大部屋で立食パーティーをしながらカラオケを楽しむシンプルなものなのだが、その場には大勢の人間が集まっていた。
 
もともと社交的な人間ではないはずなのだが、名刺交換代わりにいとも簡単にFacebookの相互フォローができてしまい、案外簡単に友人ができてしまうのだとびっくりしてしまった。カラオケボックスの大部屋に集まってのパーティーというのは、ずっと無縁だと思っていたけど、それなりになじむことができ、知らない人の前でEXILEを歌ってしまった。
 
これまでの私は人付き合いに苦手意識があり、彼女はおろか友人を作るのも一苦労だった。それがFacebookの力で簡単に知り合いを作ることができ、Facebookを除いていたら四六時中楽しいイベントが開催されていると思っていた。
 
気が付けば私生活もだんだんと派手になり始めたのだろう。暇さえあれば地元で開催されている何かしらのイベントに参加するようになり、ほぼ毎週のように飲んで騒いでを繰り返しており、毎日が楽しいと思っていた。
 
そんなことを繰り返している間に、毎回遊ぶメンバーも固定化されて、より一層Facebookを使ってのコミュニケーションを頻繁に行うことで、毎日会っているような濃い付き合いとなっており、私の投稿に対しても必ずといってよいほど何かしらのコメントをもらっていた。

 

 

 

参加していたイベントを通じて出会う友人は、わたしとは全然違うタイプの人間で常ににぎやかであり、彼の周りにはいつも大勢の人が集まっている。いわゆる「パリピ」のイメージそのままの人間だ。
 
そんな人間といつも一緒にいたら、私も「パリピ」になったような気がして、知らないうちに言動や振舞い方も派手になっていた。
 
そんな毎日が楽しいと思っていたのか、仕事が終わったら毎回地元の繁華街で飲み歩くようになっていた。
 
確かに学生の時や社会人になりたての時は、毎日パーティーに参加して楽しく過ごしていることに憧れの気持ちを持っていた。口にこそ出していないが六本木ヒルズでセレブに囲まれて派手に遊んでいることを夢見たことも一度や二度ではない。
 
東京ではなく地元の静岡であるという違いはあるにせよ、多くの人を集めては毎晩のように飲み歩いている生活もFacebookで知り合った友人を通じて実現してしまった。
 
しかし、羨ましいと思っていたパーティーばかりの生活に疲れてしまっているようだ。
 
その年のクリスマスが近づいてきたころ、当たり前のように「クリスマスパーティー」の誘いが来た。12月半ばの土曜日、スケジュールは普通に空いていた。
 
「クリスマスパーティーは当然来るよね!!」
 
出欠確認ではなく、もうすでに出席に組み込まれているようだ。
 
それに反して、1年にわたるパーティー尽くしの生活に疲れてしまっていた。クリスマスパーティーなんか参加しないでゆっくり寝ていたい。
 
しかしその日のスケジュールは空白だ。断る理由は何もない。
 
「行きたくない」というのは立派な理由なのだが、押しが弱く断るのが苦手な私にとってはクリスマスパーティーに参加することが必然となっている。
 
そのまま返事を保留にしたまま当日を迎えた。
 
集合は夜の19時がスタートで会場は自転車で15分もあればたどり着く場所だったのだが、直前になっても参加する気が起らなかった。
 
案の定「早く来いよ」とのメッセージが届くのだが、それでもやっぱり参加する気になれなかった。
 
しまいには集合時間を過ぎてからスマホを放り投げて、パーティーをさぼった。その夜いったい何をして過ごしていたのかよくわからない。学校や職場に行きたくなくなる時はこんな感じになるのだろうか?
 
そしていつの間か眠りにつき朝を迎えた。
 
放り投げたままのスマホをみたら、LINEのメッセージがかなり多く入っている。いくら遊びとはいえ約束を破ったのだから仕方がないのだが、怒りのメッセージで炎上していた。
 
それ以来、FacebookやグループLINEを見ることなくスマホを放り投げて年末を迎えた。
 
二度とFacebookにログインすることもなく、職場と高校の友人以外のフォロワーすべて連絡を絶った。

 

 

 

あれから8年ぐらいFacebookはROM専となり、できる限りの存在感を消していた。投稿はもちろんのこと、いいねも友達申請も全くしなかった。
 
毎日飲み歩いていたイベントばかりの生活はいったい何だったのだろう。あれ以来、ほとんどのフォロワーが私のもとを離れ、職場と自宅の往復の日常となった。
 
私のとった行動は決して褒められたことではないが、身の丈に合わない派手な生活は知らないうちに大きなストレスになったのだろう。Facebookを手放してよかったのだと思う。
 
しかし、Facebookを再び使わなくてはならない時が来てしまった。

 

 

 

2021年8月の誕生日、天狼院ライティングゼミの門をたたいた。なんとなくの受講したのだが文章がうまくなって人生を変えたいという気持ちは確かに持っていたのだろう。
 
しかしながら、ただ一つだけ気が進まないことがあった。Facebookグループへの参加だ。このいわくつきのFacebookをまた触らなくてはならないのか。
 
夏休みのライティングゼミ集中講座はあっという間で、私の記事はただの一度も天狼院のWebページに掲載されることなく終了した。
 
ライティングゼミはひと夏の経験で終わると思っていたが、翌2022年にライターズ倶楽部に合格し、気が付いたころには天狼院沼にどっぷりとつかっていた。
 
ライターズ倶楽部やライティングゼミNEOで1年文章漬けとなっていると、天狼院の三浦さんをはじめとしたスタッフの方々と顔なじみになっている。さらには、一緒に参加している生徒同士でも文章を通じて人となりがわかるようになり、気が付けば他人ではない気がしているので、さらにコミュニケーションをとって、より一層お互いに高め合いたいと思い始めていた。
 
もはや勝手に仲間だと思っているライターズ倶楽部のクラスメートだが、積極的に友達申請をすることもできず、ましては課題の文章以外のコミュニケーション手段を持っていないことがもどかしくなっていた。
 
あのクリスマスパーティーのドタキャンは時効としてよいのだろうか?
 
派手な生活に戻るつもりはないけど、来年は再びFacebookに力を入れようと思う。

 

 

 

Facebookを復活させて何をしようか?
 
昨年初めてライティングゼミを受講したときは、ただの一度も天狼院のホームページに掲載されることはなかった。
 
あれから1年ライターズ倶楽部を通じて、私の文章も下手くそながらもホームページに掲載されるようになってきた。
 
来年は本気で天狼院メディアグランプリの優勝を狙う。
 
Facebookを復活させて、私の記事の拡散に力を入れなくてはならない時が来たようだ。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
山田 隆志(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

2021年8月の誕生日にライティングゼミ夏季集中講座で天狼院デビューとなりここから天狼院沼にハマって、ハードワークの技術、時間術ゼミNEO、無限ラーニングZ他多くの講座を受講する
2022年1月よりライターズ倶楽部参戦するもあまりのレベルの高さに騒然とし、ライティングゼミNEOでライティングを鍛えなおす。同年10月よりライターズ倶楽部復帰
2023年よりライティングパスポートを購入し、メディアグランプリ優勝を狙う

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2023-01-04 | Posted in 週刊READING LIFE vol.200

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