週刊READING LIFE vol.206

最高の心地よい空間を手に入れるために大切なこと《週刊READING LIFE Vol.206 面白い雑学》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/2/27/公開
記事:笹尾 和代子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 
 
2月、受験シーズンも一段落し、大学近くの不動産屋さんでは新入生に向けての物件紹介の案内が行われ始めている。
「○○大学の皆さん、いい物件あります!」
 
そろそろ引っ越しシーズンだなぁ。
新入生さん、いい物件に出会えるといいね。
その案内を見ながら、しみじみと自分自身の引っ越しのことを思い出してしまう。
 
就職を機に一人暮らしを始めた。
最初は職場の独身寮に入居し、その後、計4回の引っ越しをした。
独身寮を含めると5つの物件で一人暮らしをしている。
それぞれに思い出深い物件だったが、学ぶことも多かった。
その経験から、物件選びに欠かせない条件を見出し、今の物件に出会うことができたのだ。
今回は、猫飼いの一人暮らしが現在の理想的な物件に出会うために会得した極意をご紹介したい。
 
 
 
職場から適度な距離をおける場所で物件を決めるべし
 
一人暮らしの最初の住まいとなった独身寮は、職場から目と鼻の先にあった。
職場から近いので、通勤に時間がかからないのが最大の利点である。
特に、就職して間もないうちは、慣れない職場での緊張や疲労感もあり、ちょっと気を抜くと寝坊してしまいがちだ。
しかし、就職したばかりで寝坊して遅刻するなど死んでも避けたい事態である。
そのため、職場から近い独身寮はそんな事態を避けるにはうってつけの物件だった。
さらに、職場からの家賃補助もあり、賃貸物件よりも格安で済むことができる。
就職したばかりで貯蓄も少ない時にはありがたい物件なのである。
ただ、この職場から目と鼻の先にあるという利点が欠点に変わるときがある。
勤務をする平日は利点ばかりだけれど、休日にも職場が近くにある環境なのだ。
休もう、気分転換しようと思っても、玄関を開ければ職場の建物が視界に入る……。
 
う~ん、職場に見張られているようで気が休まらないなぁ……。
 
友人と楽しい時間を過ごして帰ってきても、職場が視界に入って、すぐに現実に引き戻されてしまう。
 
これじゃあ、十分、気分転換できないよ。
引っ越し資金が貯まったら、引っ越そう!
次は、職場から少し離れて職場が視界に入らない物件にしよう!
 
こうして、入居して1年半ほどで引っ越し資金の100万円を貯め、次の物件に引っ越すことにしたのだった。
 
 
隣り合う建物との距離感にも注意すべし
 
不動産屋さんに通い、家賃の上限や譲れない条件(職場からの適度な距離感、バス・トイレ別、広さは25㎡以上、日当たりがいいこと)を伝えて、いくつかの物件を紹介してもらう。
 
この物件なんていかがですか?
家賃の上限ギリギリですけど、新築ですし、日当たりも良いですよ。
何より、街中ですから通勤もお買い物にも便利です!
ただ、建築中で内見できないので、現地を見て間取り図で想像して決めていただくことになりますが。
 
譲れない条件を満たしていて、しかも新築の物件!
「一度、現地を見て考えてみます!」
 
現地を見に行って、バスも地下鉄も使いやすい立地にあることが分かり、通勤もしやすそうだと納得してこの物件を契約することに決めた。
 
そして、引っ越し作業が終わって新しい家から初めて出勤する日。
2日間の引っ越し作業で疲れていたのか、うっかり寝坊をしてしまった。
慌てて起きて、バタバタと用意をしながら、ふと窓の外を見た。
 
パチッ!
 
何と、隣のビルにいた人と目が合ってしまった……。
 
隣は中規模な会社のオフィスビルだった。
そのオフィスに出勤していた女性社員らしき人と目があったのだ。
 
うそ~ん……。
 
引っ越しは土日の休日を利用して行ったから気づかなかったのだ。
オフィスビルのフロアと窓の高さが同じぐらいにあるため、カーテンを開けているとオフィスビルから部屋の中が丸見えになってしまうということに。
 
それからというもの、透けにくいレースカーテンをしているが、何となく隣のビルが気になるようになってしまった。
 
なんか落ち着かない……。
更新料を払うのも嫌だし、引っ越そう!
次は、窓の外に建物がない物件を探そう!
 
1回目の引っ越しをしてから一年、2回目の引っ越しを行うことを決めた。
 
 
譲れない条件は何としても死守すべし
 
また不動産屋さんに通い、理想の物件探しを始めた。
前回の物件で新築の良さを知ってしまったため、前回の譲れない条件に「新築であること」が追加された。
 
またいくつかの物件を紹介されながら、一つの物件が気になった。
譲れない条件はほぼ満たしている、間取りもいい。
ただ、ベランダが北西向きで、日当たりの良さが少々気になった。
 
この物件はおすすめですよ。
二階に大家さんがいるので、何か困ったことがあったらすぐに相談できるし、安心です!
この前完成したばかりなので、内見してみますか?
 
「はい! お願いします!」
 
一人暮らしをするにおいて、安心な環境であることも重要だ。
大家さんが近くにいるとは何と心強い!
 
内見で素敵な間取りを見て、優しそうな大家さんにも会い、私は決めた。
 
ここにする!
 
内見から1か月後、2回目の引っ越しを終え、今回は寝坊もせず、窓の外からの視線を気にすることもなく、新居からの初出勤を終えた。
 
やっぱり、近い距離に建物がないのはいいな!
風通しもいいし、住みやすいかも!
 
引っ越したのは10月の終わり頃だったと思う。
リビングの窓と寝室の窓を開ければ心地よい風が吹き抜け、今までにない、過ごしやすい空間に嬉しくなった。
そんな喜びも束の間、本格的な冬が到来すると、過ごしやすい空間が変わってしまった。
ベランダは北西向き、曇りや雨の日には日差しが入らず、底冷えが一層強く感じられてしまう。
夏場は強い日差しを避けて心地よく過ごせる空間も、冬場は日差しがないために底冷え地獄だ。
 
やっぱり日当たりのよさは大事だな。
最初に気になってたのに、まぁいいかと思ったのがいけなかった。
いい環境だし、間取りも好きだし気に入ってるけど、この底冷えをずっと耐えるのは無理かも……。
それに猫も飼いたい!
よし、引っ越そう!
 
2回目の引っ越しから約3年後、3回目の引っ越しを決意する。
 
 
天井の高い部屋は避けるべし
 
次の物件探しの譲れない条件には、前回までの「職場からの適度な距離感、バス・トイレ別、広さは25㎡以上、日当たりがいいこと、新築であること」に「ペット飼育可」が加わった。
ここまで譲れない条件が増えてしまうと、希望の家賃の範囲内で理想の物件に出会うことはなかなか難しいように思われた。
しかし、偶然にも、物件探しを始めてすぐに理想の物件に出会うことができた。
 
すごい! すべての譲れない条件を満たしていて、しかも、ロフトで天井がすごく高い!
分譲賃貸だから水回りの設備もいいし、もうこの物件に決めた!
 
他の物件には目もくれず、不動産屋さんに行った初日に内見し、即決した。
 
天井が高くて広々と感じられ、南向きで日差しも十分に入る暖かな空間。
その空間で心地よく過ごし始めてから約半年後、私は新しい家族を迎えた。
 
生後4か月の可愛い三毛猫だ。
 
ロフトへのはしごも、猫にとってはキャットタワーの代わりとなり、日当たりがいい部屋だから日向ぼっこもたくさんできる。
私も猫も過ごしやすい空間となり、満ち足りた約10年の歳月をこの空間で過ごした。
そして、転勤が決まり、住み慣れたこの空間を離れるとき、思わぬ落とし穴があった!
物件引き渡しの際、部屋の補修費用の支払いを求められることがある。
これまでの引っ越しでは、部屋の壁紙や設備に大きな損傷を生じていないため支払いを求められたことはなかったのだが、今回は違った。
猫が、壁で爪とぎをしてしまったため、壁紙の張替えをしなければならなかった。
猫が爪とぎをしたのは、床から猫の手が届く高さまでの範囲だけだ。
それなのに、爪とぎをした部分から天井までを張り替えなければならないという。
 
これは想定外!
天井まで5mぐらいあるし、普通の天井の高さの場合よりも倍近く支払わないといけないの!?
うそ~ん……。
 
この時は、業者さんの好意もあり、多少の値引きはしてくれたのだが、通常の天井の高さの場合よりも多めの支払いになってしまった。
 
これを機に、もう天井の高い物件は借りないことを心に決めた。
 
 
 
そして、現在。
天井も通常の高さで、譲れない条件の全てを満たし、しかも、ベランダが今までの1.5倍ほどもある理想的な部屋に住むことができている。
壁には爪とぎ防止フィルムも貼り、爪とぎ対策もバッチリだ!
余程のことがない限り、私はこの部屋に住み続けるだろうと確信する。
こんなに理想的な物件に出会えたのも、これまでの数々の学びのおかげだと思っている。
譲れない条件は人それぞれだと思うが、自分が過ごしやすく快適な環境を見つけるために、多少の参考になれば幸いである。
 
これから引っ越しシーズンの到来だ。
素敵な物件に出会い、心地よい空間から新しい季節をスタートさせよう!
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
笹尾 和代子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

福岡県福岡市生まれ
2022年8月ライティング・ゼミに出会い、ライティングの楽しさを知り、現在に至る。

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2023-02-22 | Posted in 週刊READING LIFE vol.206

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