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週刊READING LIFE vol.211

○○おやじセレクトベスト3《週刊READING LIFE Vol.211 お気に入り〇〇ベスト3》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/4/4/公開
記事:たかむろシゲユキ(READINGU LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
おやじ、オヤジ、親父・・・
元もとは父親を親しみこめた呼称だった。その対にあるのがおふくろ。
 
ここ20年ばかりで「おやじ」の印象も変わった。その筆頭がおやじギャクだろう。年配のオトコが周囲を笑わせるためにダジャレを連発するさまを少し冷笑的に指摘したものだ。
「布団が吹っ飛んだ~~~! 」
「トイレに行っといれ」
「電話に誰もでんわ」
これを面前でやられたら私だって凍るだろう。言い放った本人が「どうだ、おもしろいだろ?」とニヤッとしたら、さらに私の心臓はドライアイスを押しつけられたように締めつけられ、表情は強ばるだろう。
それほどにおやじギャグ恐るべしだ。
 
ほかには「おやじバンド」がある。1970年代のフォーク全盛、ロック全盛のころに20代だったオトコども。50代か定年の60代になって再びバンドを組みはじめたムーブメントのことだ。
こちらはちょっとカッコイイね。腕に覚えのある、それなりの腕前のオトコどもがベンチャーズやビートルズを完コピで演奏するさまは、なかなか本格的だ。
 
これらはどれも「オヤジ」が何かをする、というのを言い表している。オヤジがギャクを言うのがオヤジギャク、オヤジがバンドを組むのがおやじバンド。
しかし世の中には「○○オヤジ」というのがある。「○○なことをするオヤジたち」を表現したものだ。修飾語をアタマにつけたオヤジ造語がある。そのなかで私がナイスで秀逸だとベスト3に選ぶとしたら次の3つだ。
・ちょいワルオヤジ
・やんちゃジジイ
・ソロ活オジサン
オヤジと付いているのは1番目だけで、あとは「ジジイ、オジサン」。オヤジではないけど、意図としては同じと解釈したい。
この3つのなかでもっとも耳になじんでいるのが「ちょいワルオヤジ」だろう。これら3つは、広く世間に知られているというレベル(世間への浸透度)で評価したわけではない。
社会学的な視点としていまのオヤジたちを分析するには実に示唆的であると考えるからだ。要は現在のオヤジたちの「ある傾向」をみてとることができるので、ワタシ的にベスト3に選ぶことにした。
 
この3種類のオヤジたちをまな板の上に乗っけて、三枚おろしよろしく私の切れ味のよくない刺身包丁でさばいてみたい。切れ味がよくないから多少の血が飛び散ったり、ゴシゴシと力まかせに押し切るようになって若干不快なワードが飛び出してもご容赦願いたい。
 
さばき方の種類は3つだ。「着こなし(ファッション)、遊び(レジャー)、食べる(グルメ)」の3つ。これで行う。これがもっともオヤジ分析にはキラーコンテンツとしてわかりやすいからだ。
それでは、行ってみよぉ~~~!(ドリフターズの長さん風に)
 
まずは「着こなし(ファッション)」から考えたい。
50代からのオトコたちは「見た目」大いに判断できる域に入る。定年60歳以降はとくにだ。会社という行き場所・居場所をなくしたオトコは出かける比率がグッと下がる。
だからここで「服装に気をつけている派」と「気をつけていない派」にしっかりと別れるのだ。その視点で読み進めていただきたい。
 
気をつけている派の筆頭は、もちろん、ちょいワルオヤジ達だ。かれらの着こなしは実にイメージしやすい。雑誌ならば「LEON」がすぐに浮かぶだろう。海外モデルならジローラモが筆頭。ロバート・デ・ニーロもいい。日本なら矢沢永吉なんかでしょうか。
彼らの服のサイズ感はピッタリでスリム。太らないためにフィジカルトレーニングもやっているからスポーツウエアも実に似合う。素足に革靴、サングラス、ポケットチーフ、どれもブランドが基本だ。
髪のカットはもちろん美容室。けっして散髪屋さんではないのだ。毛量が減ってきたら隠す・カモフラージュするようなことはせずに、いさぎよく「おしゃれボウズ」で攻めるところなんか実にカッコいい。
 
ではやんちゃジジイはどうだろう。
彼らは「気をつけている派」ではあるが、内面のエネルギーを外に見せるようなファッションをめざしている。「やんちゃ」とあるように元気ボーイの雰囲気を主張する。だからどこか幼い感を残しているのが、実はチャームポイントだ。ハーフパンツになま足でブランドのローファーを履いてみせたりする。ファッションの色味は実に明るめ。ちょいワルおやじたちは「渋め」なので、色味は黒・紺・青が多い。やんちゃジジイは赤・オレンジ・黄・緑・ピンクなどを着こなすので実にバラエティ豊かだ。コンセプトは元気ボーイなのだから仕方ない。
 
ではソロ活おじさんはどうだろう。
かれらは「気をつかわない派」の筆頭だ。「気がつかない派」と言ってもいいかもしれない。要するに同じような色味とカタチの服をルーティンで人前に着ていてもまったく「気にならない」のだ。だから他の人のファッションにも基本的に関心がないといっていい。面倒くさがり屋もいるだろうが、意外と「オレは俺だ」という主張があったりする。
自分中心だから、太ってきて服がきつくなるとシェイプアップするのでなく服のほうをダボダボ系にシフトする。カラダを締め付けられないゆるめが大切なので、自宅ではジャージ姿が普段着となる。小太り体形がさらに崩れても糖質を摂ることに躊躇はない。
見た風体で多いのは小太り(お腹出っ張り系)。ファッションの色味は緑・茶・青が混在したチェック柄、リュックサックを背負っていて、白のチノパンかジーパン(デニム)を履いている。スニーカーは1,980円の台湾製。白髪の混じった髪に赤か黄色のバンダナでオシャレ感を出す輩も多い。髪の毛量はさまざま(毛量極小でもお手入れナシなので余計に目立つ)。理髪店よりさらに安い「10分1,200円」のQBハウスがあれば即チョイス!機能性重視なのだ。
 
次なるジャンルの「遊び(レジャー)」では、どのような傾向があるだろう。遊ぶにも先立つお金と時間が必要だ。それがどれほどに自由になるか、が大いに関係もする。
まずちょいワルおやじたちは基本的にリッチなので、遊びもアクティブ&セレブっぽい。海のレジャーが実によく似合う。ヨット、ボート、いやクルーザーで海を疾走しアクティブにフィッシングを楽しむ。アウトドアでの目的地への移動は国産or外車の高級RV車だ。テントでの数日間はいま流行りのグランピングでゆったりと楽しむ。泊まる施設はリゾートホテルか由緒正しき老舗旅館といったところか。
まさにLEONの世界観だ。
 
これがやんちゃジジイたちならどうなるか。ちょいワルオヤジたちがせいぜい2~5人程度なら、こっちは5人~15人あたりでワイワイと楽しむのが好き。地元のサッカーチームや草野球チームに参加をしてやんちゃエネルギーを発散する。フィッシングというより、みんなでワイワイと釣り堀を楽しむタイプ。アウトドアも少人数より大勢でバーベキューをやってキャンプをするイメージだ。何しろ遊びに忙しいので泊まりもアリだけど日帰りが多かったり。移動は国産の5人~8人乗りのバンタイプとなる。
 
それではソロ活オジサンはどうだろう。遊びといえどできるだけお金をかけないで「楽しめる」ことを工夫する人たちだ。
ソロ活というほどだから、基本的に一人(ソロ)で楽しめる遊びやスポーツを好む。わかりやすいところでマラソンとかトライアスロン、サイクリングにその手の人を見かける。自分と向き合い黙々とがんばっているのが楽しい。反面、スポーツなどはしんどいことと決めつけまったく無関心。部屋でフィギュアづくりやネットゲームに超ハマっている人もいる。
アウトドアだって基本はソロだって楽しい。海釣り、川釣りも単独行で腕前はプロ級。とにかくこだわる・張り合う職人系が多いか、と。キャンプはもちろんソロ。1人バーベキューもちっともさみしくない。移動は軽自動車のミニバンか軽トラ改造車。もちろんお金はかけないのですべて中古車でも超平気だ。
 
ならば3番目の「食べる(グルメ)」はどのような違いがあるだろう?
ちょいワルオヤジたちの食べる場所は高級レストランやこだわりの老舗系がお似合いだ。食べるメニューは一流でかならず赤ワインが必須アイテムだ。同席するのは同じちょいワル系のセレブな人たち。価格は気にしない。味優先で量はわずかでOK。実に省エネかつ高級感ある「食の通」風の食べ方をする人たちといえる。
 
やんちゃジジイたちは食べる場所は「太陽の下」が似合う。高級さより、おもしろい・めずらしい、ネタ・話題にしやすいなど、食べることをエンタメととらえている人たちだ。だから静かな雰囲気よりワイワイとできる雰囲気が第一だ。お店も食材も料理も「知られている」「食べログ評価が高い」ところが基準となる。価格は値段と味のバランスで評価するナットク派。いわゆるコスパを考える人だ。
 
これがソロ活オジサンになるとどうなるだろう。
まず人が多い・ワイワイな場所はNGだ。人気(ひとけ)少ない、ふれあいがなくてもOK。ただ個々のつき合いは好きな人がいるので、少人数でまったりとしたおしゃべりしながら食べるのは案外なじむ。着こなしにも気を使わないので、食生活もひたすら省エネで済ましたい。自分で料理をすることが苦にならない人はひたすら手料理で凝るタイプの人もいれば、ただ自宅に引きこもっているソロ活おじさんは手料理は面倒くさくてコンビニが大好き。オタク系の人も多いので集中すると無我夢中。時間さえもったいない。空腹を満たすという機能性重視なら糖質・炭水化物がたっぷりなコンビニ弁当や菓子類がピッタリだ。
 
こうやって書き進めて「ならばオマエはどれなんだ?」と自問してみる。元々小心者で臆病なのでチョイワルにはなれない。セレブっぽく振舞えるほどお金に余裕があるわけではない。だからやんちゃジジイかソロ活オジサンかどっちかになるか。けどなぁ、自分はけっこう寂しがり屋なのでソロ活オジサンほどの強さはない。正直、孤独に耐え切れないかと思う。
だったらやんちゃジジイかな。それも小ぶりなやんちゃジジイをめざすか。でも雑誌「LEON」のグラビアのチョイワルモデルはやっぱりカッコいいと思う。カッコいいと思うのは、どこか憧れがあるからだ。
だったら、「ハートはちょいワル、見た目はやんちゃ、暮らしぶりはソロ活上等」というのがこれからの「新オヤジわたし的ライフスタイル」なのか? でもなぁ、どれをとってもしっくりとこないなぁ。
 
どうしてこの3つをベストに選んだんだろう?
書き進めてみて結局わからなくなってしまった。
 
ワタシ的ライフスタイルはどれかでないはず。いろいろ試みやってみて失敗して、振り返ってみたら、それがワタシ的生き方、それが「ワタシ的オヤジ物語」なのだ。
その第6章をいま書き綴っている最中と、ひとまず考えることとしよう。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
たかむろしげゆき(READINGU LIFE編集部ライターズ俱楽部)

京都市生まれ 介護関係のコンサルタントとして業界雑誌・紙、サイトに寄稿&講師を行う。

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2023-03-29 | Posted in 週刊READING LIFE vol.211

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