週刊READING LIFE vol.211

俺色に染まれ! おかずの味付けが台無しになる激ウマ卓上調味料ベスト3《週刊READING LIFE Vol.211 お気に入り〇〇ベスト3》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2023/4/4/公開
記事:赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
台所を預かる身として、ちょっと……いや、だいぶ納得がいかないことがあるのです。
 
食事のおかずを作って家族に出すと、彼らはせっかくのおかずを卓上の調味料を使ってソッコーで自分が好きなように味変するの。それって、作る立場の私としては、ちょっとプライドが許せないというか。
 
でもね……自分もそれをしちゃうから、気持ちは分からないでもないのです。最近では開き直って、卓上でアレンジしやすいように味付けを最低限にすることにしました。
 
我が家の食卓には卓上調味料を置くスペースがあります。2023年3月23日現在、そのスペースには実に15種類の調味料がひしめき合って、「俺色に染まれ!」とオーラを出しているわけです。
 
今回は、そんな我が家のおススメ卓上調味料のベスト3を発表しちゃいます!
 
……発表の前に、私の調味料への愛を語らせてほしいのです。
 
今から13年程前、私は生まれて初めて味噌作りを体験しました。それまで、味噌を自分で手作りすることができるなんて思ってもみなかったのに、意外と簡単にできてしまうんです。味噌作りを教えてくれた方は、スーパーに売っている調味料や加工品は、手間ひまさえかければほとんどが作れるんだ、と教えてくれました。
 
それから、色々な調味料を作りました。醤油、塩こうじ、みりん風調味料、ケチャップ代わりに使うトマトソース、マヨネーズ、お酢などもちゃんと出来上がりました。自分で作った調味料はどれも美味しくて、時間さえあればどんどん手作りしたいなと思うくらいです。
 
でも、手作りしていて気づいたことがあります。材料費だけで作れるのだから、調味料を手作りすれば買うより安くなるんだと思い込んでいました。でも、実際は全然違う。こだわった材料を使うと、市販のものを買うよりものすごく高くつくし、時間もかかるんです。
 
どうしてスーパーであんなに大量に安く売ることができるのか、私は疑問に思うようになりました。それから、スーパーで販売されているものの食品表示をチェックし始めたんです。そうすると、自分では想像がつかないような材料が、その製品に使われていることに気づきました。材料にイメージできない物が入っているってなんだか気持ち悪いな……。それから、私は市販のものを買う時にも食品表示を見て、なるべくシンプルでわかりやすい材料で作られている食べ物や調味料を選ぶようになりました。
 
材料や製法にこだわっている商品は、お買い得品に比べると割高なのは否定できません。けれど、手作りしてみたからこそ、正当な値段というのが分かりました。
 
逆に、そういうこだわっている商品を世の中から見出して紹介したい、買って応援したいと思い始めました。こだわっていそうな調味料がお店にあると、つい使いたくてうずうずしてしまう。スーパーや自然食品店、道の駅やアンテナショップなどで見かけて買い集めた沢山の調味料は少なく見積もっても50種類以上……下手すると100種類近くいくかもしれません。その中から選ばれた15個が、我が家の卓上にあるのです。そして、今日、その中からベスト3を紹介してしまおうというわけです。
 
……でも、どうしても、ベスト3に絞り切れなかったので、粉末調味料と液体調味料に分けてベスト3を紹介します。
 
それでは、前置きがだいぶ長引きましたが、まず、粉末調味料ベスト3の発表です!
 
【粉末調味料編】
第3位 ピパーツ[沖縄]
ピパーツ(もしくはピパーチ)は、沖縄の特に八重山地方のお店におかれていた香辛料です。別名島胡椒と呼ばれるだけあって、こしょう的に使うスパイスです。原材料は石垣島によく生えているヒハツモドキという植物で、こしょうに似た独特な香りがします。その香りがクセになるのです!! 沖縄の卓上調味料と言えば、島とうがらしを泡盛につけこんだコーレーグースーも沖縄色に染まって魅力的なんですが、このピパーツは、私の離島気分を存分に掻き立ててくれる味わいです。オススメは豚肉の炒め物にかけること。沖縄と言えば豚肉文化なので、コクと沖縄感のあるピパーツのコラボレーションで島気分全開になりますよー!
沖縄系の調味料はネットで買おうとすると送料が高くつくので、現地に行った時に買い込んだり、友達に買ってきてもらったり、物産展を逃さないようにチェックしたりします。
 
第2位 おだしの塩[広島]
おだしの塩は、私の友人の居酒屋さんが作っている出汁入りの塩です。程よい塩味と出汁の旨味がとてもバランスがよいのです。炒め物やお吸い物の味付けに使うだけではなく、揚げ物のつけ塩、サラダや冷奴のかけ塩としても活躍してくれます。たまごかけご飯にかけて食べるのがお気に入りです。
元々コロナでお店が通常の営業ができなくなったときに販売ができる商品を、と作られたものが口コミで大ヒット。これだけで味が決まるので普通の味付けにも卓上の追いがけにも、我が家に欠かせない一品となっています。
 
第1位 麻辣pepper(ミル付き)(全国)
ヤバイです、奥さん。つい先日我が家で衝撃のデビューを果たした麻辣ペッパーがなんと堂々の1位。我が家にひしめく卓上調味料の中にあって、たった数週間で家族を虜にし、おかずやご飯を麻辣ペッパー色に染め上げています。
そもそも、この麻辣ペッパーは夫が飲み屋でハマって教えてもらったもの。我が家にも導入したいと言うことで、全国にあるコーヒーと輸入食材を売っている某店にて購入。ミルでひきながらかける調味料になります。
麻辣の「麻」とは山椒のしびれる辛さ、「辣」とは、唐辛子のヒリヒリする辛さで、この二種類の辛さがコンボで塩味と絡んで独特の旨味を醸し出してくれます。見かけたらぜひお試しください。
 
続きまして液体調味料ベスト3に参ります。
 
【液体調味料編】
第3位 ねぎ油[商品が色々あるため限定せず]
とある自然食品店で地元の農家さんが作っているというねぎ油を購入。初めてかけた時に「なんじゃこのかぐわしい香りは!!!」と思わず箸を落としそうになりました。中華料理でおかずの仕上げに、ねぎをごま油で熱したものをジャッっとかけるとめっちゃ美味しいんですが、面倒くさくてなかなかしないんですよ。でもこのねぎ油があれば、似たような味わいを楽しめちゃうんです。しかも、サラダなどにもかけても、熱で変色することもないので便利に使えます。子どもが小さくて、ラー油など辛味のあるかけ油を使えないというおうちでも大活躍間違いなし!
 
第2位 山椒オイル[広島]
また、地元広島で販売しているものを紹介して申し訳ありません。しかし、山椒好きな我が家の食卓にこの山椒オイルは欠かせないのです。この山椒オイルは友人のカレー店で作られているものです。オイルの中に山椒がたっぷり沈んでいます。これをおかずにかけるとあらゆるおかずがスース―して清涼感に溢れます。お肉やお魚にかけるのはもちろんのこと、お鍋のつけダレの味変としても優秀です。オイルだけをつかう分にはそんなに辛さも強くないので小さい子どもでもちょっとかけると食欲が増すようです。夏の冷ややっことか、この山椒オイルがあると、暑さがすっと引く感じがしてたまらないっ。瓶の中身の残量が残り1センチを切ると買いに行かねば……とソワソワしてしまうアイテムです。
 
第1位 黒マー油[熊本]
液体調味料部門堂々の第一位を獲得したのが、黒マー油です。この商品は、去年の秋に福岡旅行に行った時に、地域の商品を扱った自然派のショップで発見したものです。商品の名前に入っているように、一見真っ黒なのでちょっと手に取るのに勇気がいります。材料はオイルとにんにくといたってシンプル(メーカーによって原材料は異なります)なのになぜそんなに真っ黒になっちゃうんだい? とつい話しかけてしまうヤツですが、色々調べてみると、にんにくを炭化するまで揚げるので、黒くなるみたいです。
お店でこの商品を見た時に、何も知らなければ、あまりの黒さにさすがに手を出さなかったと思うのです。でも、黒マー油と言えば、私がかつて愛した、熊本の某有名ラーメン店のお味。広島にはお店がなく食べる機会がないので、ぜひ買いたい! と購入しました。
 
使い始めたら、旨味の主張が激しすぎる。全てを黒マー油味に染めるわけです。マイルドで濃厚なにんにくのコク……ただのガーリックオイルでは出せない深みのある味にノックアウトなのです。色んなものを黒マー油味に染め上げていく感染力の強さ。調味料界のパンデミックと言うべきでは?!
 
購入した瓶が1週間経たないうちになくなりそうになり、福岡の友人になくなったらヤバイどうしよう……と不安を訴え、『買って送りましょうか?』と心配されたくらいです。結局ネットで購入できることが分かったので一安心。この半年ほどの間に何回リピートしたでしょうか、もう我が家にはなくてはならない調味料にのし上がっています。

 

 

 

いかがだったでしょうか。わが家を彩る卓上調味料の魅力、少しは伝わったでしょうか。キッチンを預かる人は、毎日料理の味付けに困ったり、ワンパターンで家族に飽きられないかなとか不安に思ったり、ということがあると思います。時には作るのもメンドクサイ、ということにもなるのではないでしょうか。でも卓上調味料があったら、味変ができたり、ちょっと失敗しても誤魔化せたり、家族全員が好きな味を選べたりするので、料理を作るプレッシャーが少しだけ緩和されるのではないかと思うのです。今回紹介した卓上調味料、1年以内にランクインしたものもあるので、私が知らない卓上調味料もまだまだあると思います。
 
私もまだまだ病みつき調味料を求めてまだまだ探求の旅を続けます。「俺色に染まれ!」とぐいぐい来る素敵な調味料があったら是非教えてくださーい!
 
今回紹介した卓上調味料のメーカー
【粉末調味料編】
麻辣ペッパー:KALDI
おだしの塩:菜づけ百屋(広島市)
ピパーツ(ピパーチ):複数メーカーあり。沖縄のスーパーに売っている
【液体調味料編】
黒マー油:堀内製油(複数メーカーあるが、私はコチラがおススメ)
山椒オイル:じわじわカレー(広島市)
ねぎ油:Agre Lore Lab(複数メーカーあるが、私はコチラがおススメ)
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)

2022年は“背中を押す人”やっています。人とモノと場所をつなぐストーリーテラーとして、愛が循環する経済の在り方を追究している。2020年8月より天狼院で文章修行を開始。腹の底から湧き上がる黒い想いと泣き方と美味しいご飯の描写にこだわっている。人生のガーターにハマった時にふっと緩むようなエッセイと小説を目指しています。月1で『マンションの1室で簡単にできる! 1時間で仕込む保存食作り』を連載中。天狼院メディアグランプリ47th season & 50th~52nd season総合優勝。

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2023-03-29 | Posted in 週刊READING LIFE vol.211

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