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【クリエイター探訪 】著者、デザイナー、編集者……クリエイティブな人々を徹底取材! クリエイターたちは何を考え、どのように作品と向き合っているのか? その人となり、作品の見どころ、衝撃的な経験、特異な仕事術など、クリエイティブな人々の日常に迫る! ノンフィクションライター 将口泰浩さんインタビューk後編(取材・記事 池口祥司)


元新聞記者の文章遍歴
――ノンフィクションライター 将口泰浩さん

2018年7月13日(金)にスタートする天狼院書店の講座「学んで、調べて、書く! 『実践! 歴史講座』」にご登壇される将口泰浩さん。現在は小説家、ノンフィクションライターとして活躍されていますが、どのように情報を集め、どのように構想を練り、執筆されているのでしょうか? 元新聞記者ならではの執筆活動についてお聞きしました。(取材・記事 池口祥司)

前編はこちらから

講座について↓

プロフィール:
将口泰浩(しょうぐち・やすひろ)
1963年、福岡県生まれ。ノンフィクションライター。
1989年、産経新聞社入社。社会部、経済本部、山口支局長などを経て、社会部編集委員に。2015年、産経新聞社を退社。
著書に、『未帰還兵 六十二年目の証言』『チベットからの遺言』『「冒険ダン吉」になった男 森小弁』『キスカ島 奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯』(以上、産経新聞出版)、『魂還り魂還り皇国護らん 沖縄に散った最後の陸軍大将牛島満の生涯』『戦地からの最期の手紙 二十二人の若き海軍将兵の遺書』『アッツ島とキスカ島の戦い 人道の将、樋口季一郎と木村昌福』(以上、海竜社)、『極秘司令 皇統護持作戦 我ら、死よりも重き任務に奉ず』(徳間書店)など。

 

■文筆活動のきっかけは曽野綾子先生

池口:前回は記者時代のご経験についてお聞きしましたが、そもそも将口さんはなぜ文筆活動をされるようになったのでしょうか?

将口:それははっきりしていて、アフガニスタン行きで一度は諦めた留学だったんだけど、結局、タイに行けることになって、そのとき小学館の編集者の人から、せっかく1年半もタイにいるなら、なにか一本書いてみたらどうですかと提案してもらったんだよ。小学館ノンフィクション大賞に応募したらどうかって。

池口:どうして小学館の方は将口さんのことをご存じだったんですか?

将口:そのころから曽野綾子先生とはお付き合いがあって、一緒にアフリカに行ったりしていたから、そのご縁で出版社の方とも知り合いになって。

池口:そうだったんですね。それでテーマは何にされたんですか?

将口:タイの山の中をカブでぐるぐる回って、元日本兵を探して回ったんだよ。当時、伝説の日本兵がいるって噂を聞いていたから、1週間に一度の頻度くらいで探し回っていたんだけど、なかなか見つからなくて。次の街、次の街って探し回って、そしたら、サラパオジープンという饅頭屋さんに出会ったんだよね。サラパオは「饅頭」っていう意味で、ジープンのほうは「日本人」。あんこ入りの饅頭で、それを見つけたときは、「これだ!」と思ったよ。

池口:元日本兵には会えたのでしょうか?

将口:ナカモトさんという方には会えたんだけど、会えたのは息子さんで、お父さんに会わせてくれと交渉しているうちに、日本に戻らないといけなくなって、一度帰国したんだよ。それで、手紙を書いたら「会いましょう!」ってなって、夏休みを利用して、もう一度タイに行ったんだよ。お子さんがたくさんいて、たとえば、ヒロシとかサクラとか、明らかに日本の名前でこれは間違いない、元日本兵だと思ったね。

池口:どんな方だったんですか?

将口:それがちょっと様子が違うんだよ。元日本兵なら、どんなに若くても20歳前後まで日本語で生活していると思うんだけど、ナカモトさんの日本語はちょっとたどたどしかったんだよね。これは変だなと思って、ご両親のことを聞いたら、シンガポール(当時の昭南島)で父親と母親が商売していて、戦争が始まるから危ないとなって、タイに逃げてきたと。当時の年齢を聞くと、10代前半だっていうから、ようやく合点がいったんだよ。それでも、ナカモトって書けるというから、紙とペンを渡したら、ひらがななんだけど、変体仮名の「な」を書いてくれて……。それを見て、なんだか感動しちゃって、誰がなんと言おうと、この人は日本人なんだなと思って。結局、ナカモトさんは日本兵ではなかったけれど、そうした話も一緒に収録したのが、『未帰還兵 六十二年目の証言』。

池口:そんなことがあったんですね。著作の中にも「日本には一度も行ったことはありませんが、私は日本人です」というナカモトさんの言葉が紹介されていて、じーんとしてしまいました。

将口:ナカモトさんも未帰還兵の方々と同じで、日本のことを心の奥に思っていきていたんだなあと痛感したよ。

 

 

■なぜ書くのか?

池口:ところで、将口さんの最新作は昨年発刊された『極秘司令 皇統護持作戦 我ら、死よりも重き任務に奉ず』(徳間書店)ですが、これはどういった経緯でお書きになったんですか?

将口:これも本当はもっと早く書きたかったんだけど、新聞記者をしながらで時間がなくて、結局、このタイミングになっちゃったんだよ。最初に書きたいと思ったのは、15年くらい前、雑誌『正論』には発表したけれど、仕上げるのに長い時間がかかってしまって、残念なのは、その間、亡くなった方がたくさんいるということ。だからもう10年早ければ、もう少し細かいことまで書けたという気持ちもあるけれど、なんとか世の中に出せてほっとしたよ。

池口:将口さんが文章を書かれるモチベーションというか、エネルギーはどこから来るのでしょうか? ノンフィクションは膨大な資料に当たったり、現地を取材したり、相当な時間を奪われるし、気力も必要な作業ともいえると思うのですが。

将口:それはやっぱり、これまで世に出ていない人を掘り起こして、光を当てて、そこから日本とは何か、我々とは何かっていうのを考えたいというのがあるからかな。

池口:なるほど。体力的にも大変だと思いますが、毎日ご執筆されているんですか?

将口:だいたい昼過ぎから書き始めて、夕方まで書いてるよ。朝は二日酔いのこともあるからね。今日も、さっきまで、手塚治虫さんが贔屓にしていた高田馬場の中華料理屋さんの原稿書いていて、なんとか午後6時までに終わったよ。

池口:だいたい原稿用紙1枚どのくらいで書くイメージですか?

将口:もちろんモノにもよるけれど、原稿用紙4枚くらいを2時間で仕上げる感じかな。でも、途中で居眠りしちゃうこともあるけどね。

池口:今日は貴重なお話ありがとうございました。またぜひご登場いただければと思います。

将口:また飲みにいきましょう。

【インタビュアー】池口祥司(いけぐち・しょうじ)
1984年、山口県生まれ。早稲田大学法学部卒。
2008年、株式会社PHP研究所入所。第一普及本部東京普及一部(書店営業)、企画部、特販普及部を経験後、ビジネス出版部にて7年間累計100冊以上のビジネス書の編集に携わる。2018年、天狼院書店に参画。
担当した書籍に『経営者になるためのノート』(柳井正著)、『YKKの流儀』(吉田忠裕著、出町譲取材・構成)、『アマゾンが描く2022年の世界』(田中道昭著)、『大人はもっと遊びなさい』(成毛眞著)、『挫折力——一流になれる50の思考・行動術』(冨山和彦著)、『史上最強のメンタル・タフネス』(棚橋弘至著)などがある。

 


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