メディアグランプリ

公共施設を遊び尽くして欲求のスリム化を図る


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:のぐちまりゑ(スピードライティング特講)
 
 
「公園でお昼ごはん食べよう」
「図書館行こう」
「庭園を眺めに行こう」
 
人と遊ぶときに最近よく候補に挙げることである。
 
今まではオシャレなお店でランチやウィンドウショッピング、映画や舞台を見る、テーマパークに行くというのが普通だった。
というか普通みんなそうだろう。
 
ところが最近はどうも広々とした公園や、静かな庭園、博物館や美術館、図書館に入り浸りたい、という思いの方が強くなっているのである。
 
節約したいという気持ちはもちろんあるのだが、それ以上に「消費」に疲れたという思いがある。
 
ショッピングは楽しいし、映画も舞台も楽しい。
大人になったからこそ、お金を使って遊ぶことの面白さがわかる。
 
でも、大人になってからしばらく経ったわたしは、消費から離れたがった。
 
消費したあとの、血肉になっていない感じが耐えられなくなってきたのである。
 
きっと問題は「消費」そのものではないのだろう。
体験から自分がどう変化していくかの方が大事だから、お金の使い方そのものが悪かったのかもしれない。
 
しかし、自分が変化していくことすべてに「お金」が必要なのだろうか?
ふと考えてみたのである。
 
すると、まず第一に図書館の存在が背中を押してくれた。
 
時間のあるときはいつでも図書館に入り浸り、興味に引っかかる本はすべて読んだ。
 
それから公園や庭園。
自分で作ったごはんを持っていって、気持ちいい風の中で食べる。
目をつぶって、静かな空間を味わう。
 
そういう時間は、今まで旅行のときくらいしか確保していなかったことに気づいた。
 
博物館や美術館も、旅行先の観光地ばかりを見ていた。住んでいる地域にある施設にはまったくの無関心だったことにも気づいた。
入ってみれば建物の美しさに惚れ惚れするし、庭園と同じように静謐で学びの詰まった空間が大好きなのだと気づくこともできた。
何より「学ぶ」ことの楽しさをよくよく感じられるようなってきたことが嬉しかった。
 
お金を使えば楽しいのは当たり前だ。
むしろ、お金を使わずに楽しめるようになるには訓練が要るのだとわかった。
 
わたしはまだまだ欲求をスリム化できていなくて、今でも消費したあとに「これ要らなかったかも……」と思ってしまうことはある。
 
でも、じわじわと消費から離れて、公共施設で遊ぶことを楽しめるようになってきている。
 
実はこの「欲求をスリム化」することは「遊び」にだけに限った話ではない。
 
豊かな経済と安定した治安を維持しているこの国であっても、不安定なことはたくさんある。
 
たとえば体を壊して働けなくなったり、災害が起きて生活が変化したり。
普通に生きていても、何かしらの変化に対応する必要性に迫られる場面はいくらでも発生する。
自分だけは大丈夫と思っていると、突発的な変化に対応できなくなってしまう。
 
わたしの場合、体調不良で働けなくなって生活基盤が変化した。
収入は不安定になり使えるお金も限られてしまう。
 
はじめのうちはお金を使わなくても楽しめるようになりたい、と思っていただけだった。
それは膨れ上がる欲求をスリムにしていくことでもある。
 
「質素倹約」「我慢」「忍耐」のように見えるかもしれないが、わたしにとっては自分が本当に求めていたものに近づいていく感覚に近い。
 
そういうときにもっとも辛いのは「やりたい!」と思ったことを即座にできなくなることだ。
 
生活が不安定になると、考え方も不安定になりがちだ。
自分の願望を叶えてあげられない。その辛さはかなり厳しい。
でもそれが本当に心からの願望なのか、ただの見栄からくる欲求なのかを見極める必要があるのだ。
 
人に見せるために必要なモノを欲しがっていたり、
誰かに自分の価値を示すために欲しがっていたり、
ストレスを発散したくて買い物をする場合もあったりする。
自分を安心させるために欲しがっているモノなんかもある。
 
限られた収入を、その見栄に使ってしまうのは非常にまずいのである。
 
不安定な状態だからこそ、自分の本当に望んでいることを見極めていく。
買うために働く、疲れたから買う、また買うために働く……。
その「消費」という回し車から、勇気を持って降りてみるのである。
 
もちろん、すべての「消費」をやめるわけにはいかない。生きていけなくなってしまうから。
でもちょっぴり速度を緩めて、回し車にブレーキをかけてみる。
すると本当に必要なモノがじわじわと浮かび上がってくる。
 
わたしの場合は「学び」だった。
 
図書館にいられれば満足、それは学びに浸れるから。
公園でランチできれば満足、それは自然の心地よさを改めて学べるから。
庭園で瞑想できれば尚良し、それは人の心を学べるから。
 
そんなふうに欲求をスリム化して、自分の大事なモノを見極めていく。
どうやらかなりの贅肉がついていたとわかってくるのである。
 
「消費」は簡単にやめられるものではない。
でもまずは「公共施設はつまらない」という思い込みを捨ててみてはどうだろう。
 
「消費」だけではわからなかった、日々の時間をじっくり味わう方法を学べるはずだ。
 
 
 
 
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2019-09-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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