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メディアグランプリ

111件のメルカリで暴かれた欲と対策


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:のぐちまりゑ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「やりたいけどやりたくない……」
 
そう思ったのは一度や二度ではない。
100件以上メルカリの取り引きをしていて、何度も湧き上がった気持ちだった。
 
モノを減らす場合、便利な候補はいくつかある。
わたしが選んだのは「フリマアプリに出品する」だった。
 
はじめは、捨てられるはずのモノがお金になるなんてラッキーくらいの感覚だった。
 
使わなくなった服や雑貨、家具に至るまで、捨ててしまうより売る方がいいか、とコツコツ出品し始めたのである。
 
大半の方もわたしと同じように「捨てちゃうのはもったいない! 手軽にお金になるならラッキー!」という気持ちはあると思う。
だからこそメルカリはこんなに有名なアプリになったわけだ。
 
ところが、しばらく使っていると壁にぶちあたった。
ちょっとわからなくなってしまったのである。
 
さすがに111件もこなせば写真の加工は手早くできて、商品の説明書きも素早く書けるようになった。梱包も業者並の手際の良さになるし、サイズと配送料の感覚も掴めてくる。売上も当然増えてくる。
 
でも、それでもなお、作業がめんどうなのである。
 
もともとモノを減らしたかったのは、部屋をスッキリさせて快適な暮らしがしたかったからだ。
ついでにお小遣い程度のお金が入ってくればいい。
 
実現に近づいてきたにもかかわらず、溜まっていくメルカリ出品のタスクでイライラする日々。
気持ちがスッキリしないまま繰り返す作業。
 
これって、本末転倒ではないか……?
この苦しみはいったい何だろうか、と考えてみたのである。
 
メルカリはフリーマーケット形式なので、売り手と買い手のやりとりが発生する。
取り引きが終わると「良い・普通・悪い」の評価を互いにつける。わたしは取り引きのすべてで「良い」評価をいただいていた。
 
おそらくこれが「やりたいけどやりたくない……」と思ってしまう原因だと思い至った。
要するに「完璧主義の発動」である。
 
わたしは昔から最大限のパフォーマンスを発揮しようと心がけてしまう。
だからメルカリでも、過剰に懇切丁寧な作業をしてしまったのである。
 
採寸はズレのないように。
写真の加工はなるべく自然に。
説明書きはわかりやすく。
梱包は雨に濡れても大丈夫なように。
やりとりの文言は丁寧に心象を悪くしないように。
 
このような心がけは商売なら当然のレベルだ。
でもフリマアプリはそもそも商売ではない。
 
この「割に合わなすぎる完璧主義」を発動していて思い出したのは、認知行動療法の本だった。
 
認知行動療法では、まず事実を解釈するときの「認知の歪み」を学ぶ。
その中に「完璧主義」というものがある。
 
なにごとも完璧にこなさなければ気がすまない。だから力の抜きどころがわからない。
100%できないと自分を責め、100%できないなら何もやらないほうがいいと判断してしまったりする。
 
まさにわたしはメルカリで「認知の歪み」を発生させてしまっていたわけだ。
それは苦しくなって当然である。
 
さて、これを改善するにはどうすればいいのだろうか。
 
世の中のたいていの悩みは、「自分がどうしたいかわからない」ことで発生する。
そして、たいていの悩みは、「自分がどうしたいかはっきりさせること」で解決に近づく。
 
メルカリの場合で考えてみよう。
もし、あなたがモノを手放す過程で手段に迷っているなら、ぜひ参考にしてみてほしい。
 
引っ越しなどの差し迫った締め切りがない場合、もっとも優先したい欲は何かを考えてみる。
 
モノを手放す上でわたしにとっての欲とは、
 
・できるだけ高めの価格で手放したい
・メルカリに出品するなら2日以内に売れてほしい
・評価も「良い」で取引完了
・なるべく捨てない方法がいい
 
という定義だった。
 
つまり「手っ取り早くお金がほしい! 人によく思われたい! 罪悪感持ちたくない!」という顔を覆いたくなるような欲を抱えていたのである。
 
たいていの欲がそうであるように、これらを「完璧に」満たすのは難しい。
欲をほどほどに満たしつつ、完璧主義を脱する必要がある。
 
認知行動療法では、60%でOKとするやり方を推奨している。
場合によっては30%でもいい、とにかく手をつけることが大事であるという趣旨だ。
 
わたしの場合だと、
 
・手放したいモノが10個あったら元値の高い3個だけ出品する
・金額は高望みせず、ほどほどに設定
・評価はなんでもいいので最低限の丁寧さでOK
 
とした。
モノを捨てること自体も、最終的に寄付や粗大ごみの手数料がかかってもOKとした。
 
考えてみれば、このような欲求は就職活動をしていたときとも似通っていた。
 
・給料の高い大企業がいい
・面接での評価を好感100%で得たい
・なるべく早い時期に内定をもらいたい
 
こういった完璧主義で心と体がどんどん疲弊していったことを思い出した。
一度経験しているのに、思い出すまでにメルカリで100件以上もかかってしまった。
 
フリマアプリに人生は懸かっていない。
だが、自分が何を優先したいのか、という考え方は、就活のような人生の大きな決断とも通じる。
 
もちろん自分の欲を把握できて、着実に満たしていく方針が採れればそれに越したことはない。
でも、欲に振り回されて疲弊しているのなら、ちょっと立ち止まった方がいい。
 
それをシミュレートできたのが、わたしにとってはメルカリだったのである。
 
もし今、モノを手放そうとフリマアプリを使っていて、ちょっと苦しくなってきた方がいればぜひ考えてみてほしい。
 
あなたが欲しいのはお金か、それともスッキリとした快適な部屋か?
 
もし両立させたいとしたら、どの程度までなら自分の欲が納得するかを把握する。
人それぞれ選択は違うけれど、欲求を把握する大切さはどんな人にも当てはまるのだ。
 
この「欲求の把握」と「脱完璧主義」をして以降、わたしはとても楽になった。
今ではゆるめにメルカリを楽しめるようになっている。
 
買う前に「使わなくなったときにどう処分するか」という視点が新たに生まれ、「手放しやすいモノを買おう」という考え方にもシフトできた。
 
モノに対する考え方が更新されていくのはとても心地がいい。
 
欲求を把握し、完璧主義をやめる。
快適な暮らしがようやく実現しつつある。
 
 
 
 
***
 
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2019-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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