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メディアグランプリ

世の中には、マスターボールを使える人と使えない人がいるんだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高橋弘旭(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「実は、独立しようと思っているんだ」
 
土曜日の早朝、伊豆へ向かう車の中で、運転している大橋さんが言った。
大橋さんは僕のダイビング仲間だ。
 
「へぇーそうなんですね。好きな時に働いて、好きな時に休めますね。ダイビング好きな時に行けますね」
 
大橋さんは、個人タクシーとして独立するらしい。
時間を自由に使えるようになるのはうらやましいなぁと思いつつ、僕は答えた。
 
今日は伊豆でダイビングをする。
車を持っていない僕は、一緒に潜る大橋さんの車に相乗りさせてもらった。
 
「個人タクシーは時間を自由に使えるけど、収入は見込めないなぁ。仲の良いダイビングショップで、夏の期間だけバイトさせてくれないかな(笑)」
 
そう言っている大橋さんの顔は、口から発せられる不安とは裏腹に、どこかすがすがしく、希望に満ち溢れていた。
 
あぁ、大橋さんはマスターボールを使うんだ。ストーリーの中で1つしか手に入らない、あのマスターボールを。
 
会話中、僕は小学生の頃にはまっていたポケモンゲームを思い出していた。
そして、そのゲームでマスターボールを使った時の僕と、大橋さんを重ね合わせていた。
 

 
あれは確か、ポケットモンスター赤というゲームだった。
僕はサンダーという、3体いる伝説の鳥ポケモンの1体が好きだった。見た目がかっこよかったからだ。そして、絶対にゲットしたかった。
 
そんな思いを抱きながらストーリーを進めていくと、サンダーをゲットできるタイミングがきた。僕は迷いなくマスターボールを使い、サンダーをゲットした。
 
サンダーをゲットできた時は、喜びと、サンダーと一緒にストーリーを進められる! という嬉しさでいっぱいになった。
 
マスターボールは、確実にポケモンをゲットできるアイテムだ。しかし、そのレアさから、ストーリーの中で1個しか手に入らない。
サンダーは伝説のポケモンではあるものの、体力を弱らせれば、マスターボール以外でもゲットできた。
しかし僕は迷いなくマスターボールを使った。体力を弱らせることなく、出た瞬間に。それほどゲットしたかった。友達に、「サンダーにマスターボール使ったの!? もったいない」と言われたが、気にならなかった。
 
マスターボールを使ったことは全く後悔しなかった。これからサンダーとストーリーを進めることができる。うれしかった。この後、マスターボールでないと捕まえられないポケモンがいたとしても、その時になって考えればいいと思っていた。
 

 
大橋さんはマスターボールを使う。その決意はきっと、迷いなくすがすがしい気持ちに違いない。
 
世の中、大橋さんのように、人生でマスターボールを使える人もいれば、使えない人もいる。
大橋さんはマスターボールを使える人だ。かつて、僕がゲームでそうしたように。
 
マスターボールを使うと、「なりたい自分」の姿を手に入れることはできるが、その先どんな道を歩むかは自分次第だ。ポケモンゲームでも、マスターボールでゲットしたポケモンが、その後ストーリーで活躍できるかはわからない。
 
マスターボールは「手に入れる」ためのアイテムだ。その先は自分次第だ。
 
ポケモンゲームで、サンダーをゲットした後、レベルアップのために時間を費やした。あとのストーリーで活躍してもらうためだ。その結果、サンダーの活躍によって、エンディングまで進めることができた。エンディングを見て、「サンダーと一緒にストーリーを進められてよかった」と思った。あの時、マスターボールを使ったからこそ、そう思えたのだ。
 
大橋さんもきっと、この先どんな道であっても、進みながらレベルアップするだろう。そしてエンディングのとき、この選択をしてよかったと言うと思う。
マスターボールを投げたことで、人生を変えるきっかけをつくったのだ。
 
そう考えると、もはやマスターボールは単に「手に入れる」ためのアイテムではない。マスターボールを使うことは、手に入れた姿でその先を歩み続ける覚悟を意味する。
 
そんなことができるのは、ごく一部の人だけだろう。行先の見えない道、ニュースでみかける、あまり明るくない出来事、未来への不安から、マスターボールを投げることは難しくなっている。
 
一方、世間は「いつまで会社で消耗しているの?」「脱社畜」などとうたって、やたらとマスターボールを投げさせたがる。しかし、マスターボールは投げて終わりではない。その先に続く、もしかしたら、いばらの道かもしれない道を進み続ける覚悟をする必要がある。
 
世間が何と言おうと、投げるタイミングは自分で決めるべきだ。たとえ投げられなかったとしても、それはそれで尊重されてもいいのではないか。
 

 
「今日はここのダイビングポイントは、荒れているため潜れません。別の場所で潜りましょう!」
 
伊豆のダイビングショップに着いたら、スタッフからそう言われてしまった。台風の影響か、風が強く、海が荒れていた。そこで、台風の影響を受けないダイビングポイントへ移動することになった。
 
車で10分ほどの別のポイントは、穏やかな海峡で、雨も止み、日差しがさすときもあった。ダイビングも楽しく終えることができた。
 
きっと、大橋さんの未来は明るい。
ダイビング機材を片付けながら笑顔で話している大橋さんを見て、そう確信した。
 
 
 
 
***
 
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2019-10-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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