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メディアグランプリ

私と子どもの写真を全然撮ってくれない夫にキレてみた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:和田凪(ライティング・ゼミ秋の9日間集中コース)
 
 
「私の写真がない!」ある日、私は夫にブチ切れた。
「ねぇ、なんで写真撮ってくれないの?」と夫を問いただす。
「なんでそんなに写真にこだわるのか意味がわからない」と開き直る夫。
こんなやりとりを、私たちはもう何回も繰り返している。
今日こそは、この問題に決着をつけたい。
 
私は写真を撮るのが好きだ。
独身の頃から、おでかけにはコンパクトデジカメを欠かさず、風景や人物や食べ物を撮るのが常。特に、子どもが産まれてからは、欠かさずその成長を記録してきた。
 
一方、夫はあまり写真をとらない。デジカメはおろか、携帯のカメラが壊れていても修理しないような人だ。写真に残すということに頓着がないようだ。
 
そのため、おでかけの時は、いつも自然と私が家族の写真を撮る係になる。
娘がアトラクションに乗るところ(with夫)
娘がライオンにえさをあげるところ(with夫)
娘が花を摘むところ(背景に夫)という具合に。
 
最初はいい。愛する家族だから、私だって喜んで撮る。でも、だんだん切なくなってくる。なんで私だけがいつもフレームの外なんだと……。
そして、帰宅して写真を見返しているうちに、その切なさは怒りに変わる。
夫と子どもの写真は山ほどあるが、私と子どもの写真は数えるほどしかない、あるいは1枚もないということに、改めてガッカリするのである。
世の中では、「嫁グラフィー」なんてハッシュタグをつけて、愛する妻の写真をSNSにあげる人だっているというのに!
はっきり言うと、夫が写真を全然撮ってくれないことが、不満で不満で仕方がないのだ!
 
聞けば、写真を撮らないのには夫なりの理由があるという。
その理由とは「今を大切にしたいから」。写真を撮ることに気を取られて、今目の前で起きている瞬間を見逃したくないという。はい、正論である。
 
でも、私にも撮ってほしい理由がちゃんとある。
まず、ひとつめ。
女なら、誰だって綺麗にとってほしいと願うもの。
たとえアラフォーのおばさんであっても、「見慣れている」「つまらない」女として扱われるより、「可愛い」「撮りたい」対象として見てほしいと思うものなのだ。
それが女ごころだ。
 
そして、ふたつめ。
私は、幼い頃の自分の写真を見るのが好きだ。
昔の自分をみて、親の愛情を確認してきたところがある。
写真に写った、愛おしそうに私を見つめる母の表情を見て、たくましく私を肩車する父の姿を見て、「愛されていたんだな」と何度も確認してきた。
写真には、忘れかけていた幸せな記憶を呼び覚ます力がある。
私がそうだったのと同じように、娘にとっても、写真が人生のお守りになると信じている。
 
つまり、何が言いたいかというと、妻にとっても、娘にとっても、写真を撮られることが「自分は大切な存在なんだ」という感覚を育んでくれる。
写真は、人にとって、自己肯定するための大切なツールになりうる、ということだ。
だから、私と娘のためにも、家族関係を円滑にするためにも、夫に写真を撮ってほしいのである。
 
夫に、この切実なる思いを余すことなく伝え、写真を撮ってもらうためにはどうしたらよいか。秘策はないか。私は、実をいうと、数日前に対策を練っていた。
ネットで「夫が写真を撮ってくれない」と検索してみたのだ。
そこには、同じことを思っている、怒りにふるえ、うらぶれた妻たちがたくさんいた。
写真を撮らない旦那に天罰を下すべき! と豪語する人。
これが原因で離婚問題にまで発展したという人。
NPO法人「撲滅! ノーシャッターハズバンド」を立ち上げたいと意気込む人まで。
みんな、夫に写真を撮らせるために試行錯誤していた。
その中にひとつ、なかなか劇薬だが、効きそうな方法があった。
 
話は、冒頭に戻る。
「私の写真がない!」と怒り狂う私。「わけがわからない」と開き直る夫。
今日こそ、決着をつけたい……。
満を持して、ネットでみつけた方法を繰り出してみた。こうである。
 
「じゃあ聞くけど、私があした死んだらどうするの? 私と〇〇(娘)の写真はどこにもない。どうしてママの写真はないの? って、きっと娘から恨まれるよ」
 
けっこう感情をこめて言った。
感情が高ぶりすぎて、涙がこぼれ落ちてきた。
これを最後のお願いにしよう、というつもりで夫の目をまっすぐ見て言ってみた。
ネットで探して出てきた言葉ではあったが、私の心情そのもの、まさに本心でもあった。
 
夫は、しばし黙っていた。
私が死んだ場合のことを具体的に想像しているようだった。
効果があったのかもしれない。
 
「写真撮るよ」とはっきり宣言こそしなかったが、次の日から夫の行動が変わった。
私がカメラを構えていると、「僕が撮るよ」と申し出てくれるようになった。
基本的に、撮るのが好きな私が撮る。それはこれまでと同じだ。
でも、ここぞというシチュエーションでは、夫がカメラを率先して持ってくれる。
1日に50枚の写真を撮るとしたら、そのうちの10枚くらいを夫が撮ってくれるという感じ。とてつもない成長だ。
 
最近、一枚、また一枚と、私と娘の写真が増えてきた。
たまに、頼んでないのに私だけの写真もあったりして、びっくりする。けど嬉しい。
前より、夫婦仲、よくなってるかも……。
 
「私があした死んだら……」という言い方は、大げさだったかもしれないが、効果はてきめんだった。あなたがもし、写真を撮ってくれない夫を今すぐ変えたいなら、ぜひ試してみることをおすすめしたい。そして、あなたがもし写真を撮らない夫なら、埃をかぶったカメラをひっぱりだしてほしい。世界一大切な家族を、今すぐ写真におさめるべきた。
 
 
 
 
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2019-10-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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