メディアグランプリ

英語が話せるようになりたければ、まずはサーブを相手コートに入れよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:関戸 りえ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「英語がスラスラ話せるようになるには、どんな勉強方法がおすすめですか」
と質問をされることが少なくありません。
 
外国人スピーカーの会議やセミナーの休憩中やランチ時、外国人と会話をしている私の姿を見て言われることです。
 
実は、私が話す英語は「マングリッシュ」すなわち マレーシア・イングリッシュなのです。日本で学んだアメリカ英語とは遠くかけ離れていて、現地の人同士でしか通用しない新しい言語のようなものです。それは早口で、唾が飛び散るような滑舌の良すぎる発音とイントネーション。欧米人には理解されますし、コミュニケーションに支障が出たことはありません。
しかし、ここで本音を言ってしまうと「今、なんて言ったの」と聞き返されることもしょっちゅうです。マングリッシュはマレーシアとシンガポール(シンガポールでは「シングリッシュ」と呼ばれます)以外ではほぼ理解されないため、この地域以外の人と話すときは、あえてスピードを落としたり、イントネーションを変える人がいるのも確かです。
 
頻繁に英語を使わない日本人には、発音やらイントネーションなどよりも先に、外国人と会話のラリーをやり取りしている姿だけが印象的で、それに憧れるようです。
 
英会話の上達の秘訣について聞いてくる人に、私は次の質問を投げかけます。
「あなたが英語を流暢に話したいと思う状況は、どんな場面ですか。鮮明にイメージできますか」
すると、多くの場合「ええと」と目線を上にやりしばらく考えている様子。
そして「旅行に行った時や、外国人と街で出会った時にちょっとした会話ができるとかっこいいよね」とか、「市場とかレストランで店員さんの言っていることが理解できたらいいなあ」など日常のちょっとした雑談ができたらいいなという回答が多く聞かれます。
質問は続きます。
「では、イメージの中であなたは相手に向かってなんと声をかけているのか、日本語でいいので実際に声に出して言ってみてください」
ここでさっと言葉が出る人が少ないことに、私はどうしてなのかと毎回もやもやさせられたわけです。
 
恥ずかしいのか、たまたま私に質問をしてきた人の反応がそうだったのかと思っていました。
 
もやもやの原因がはっきりしたのは、ある大学生と英語での講義の後に食事を共にした時のことです。
その彼女も、いつものように英会話の上達法について聞いてきたので、「どんな場面で、誰に向かって何をどうやって話しているのかちょっと想像してみて。それを日本語で言ってみてくれる」
いつものように、私をもやもやさせる瞬間がやってきました。
その後、彼女がぼそっと言った言葉に、私はなるほどと思いました。
 
「小さい時から英語を習ってきたけど、英語が話せないんじゃなくて、日本語ですら自分の言いたいことが出てきません」
なるほど、私を毎度もやもやさせていた原因はこれだったかと妙に納得しました。胸のつかえがすっきりして霧が晴れたように景色が一瞬違って見えたほどでした。
その彼女は、自分で言ったことに気づくと肩を落としていました。
 
学校教育で9年以上も英語を学んできたのに、どうして海外に行っても相手の言っていることがわからないし、話せないのか。
にも関わらず、多くの人が英語を話せるようになりたいと憧れて、まずは駅前留学しようとか、倍速で英語を聞いて英語耳を作ろうという商品やサービスに惹かれてしまうのか。
 
9年以上もかけて手に入れた「英語」という道具を使ってみたいのではないですか。
残念ながら道具は使わなければ宝の持ち腐れ。
魚をさばくことのない人の台所に、出刃包丁があるようなものですよね。包丁は使わなければ錆びていきます。
そして、アメリカの心理学者マズローの欲求説による社会的欲求、すなわち他者と関わりたい、集団に属したいという欲求や、知識を得たいという本能的欲求を満たすことで自己実現を達成できるということも、英語への憧れを抱く理由なのでしょう。
英会話はテニスのラリーのようなものです。ただ話すというのではなく自分のことを知ってもらったり、相手のことを知りたいと思うことです。英語はそのツールの一つに過ぎないのです。まずはサーブを放たなければゲームは始まりません。
 
マレーシアでは、人によって理解できる言語と話せる言語が多種多様です。そんな中で長年暮らしていて感じることは、言葉の正確性は二の次だということです。
文法がかなりおかしかろうが、単語がマレー語と中国語と英語のごちゃまぜであっても、お互いに相手のことを思いやり、目の前の人が何を欲しがっているのかを知ろうとする気持ちが大事なのです。
いえ、気持ちだけではなくこちらの要求が伝わるまで諦めないでチャレンジし続ける行動力が大切です。
 
学校で教わる英語は、運転免許の学科試験のようなものです。文法や語彙は使わなければただの知識。
まずは自分の伝えたいこと、聞きたいこと、欲しいものを日本語でささっとつぶやいてみてください。英語が話せるようになる近道になることでしょう。
 
 
 
 
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2019-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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