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メディアグランプリ

東京の広島ファンは損か得か


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:綾乃(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「うそでしょ? 信じらんない!?」
小学生の時のことです。友だちとおしゃべりしていて野球の話になりました。
とある在京球団を好きだと言う彼女に、私は広島カープを応援していると告げました。
友人の反応に驚いたのはこちらの方でした。けれども、彼女の対応は東京ではよくあることだとその後、徐々に理解しました。
 
昔、東京のカープファンは損ばかりしていました。
 
他人に言えば、間違いなく馬鹿にされました。ですから私も、中学校に入ってからはカープファンであることをひた隠しにしました。カープの話をするのは、家族とだけでした。
 
学校や職場で人がプロ野球の話をするのを聞き耳をたてながらも、決して参戦しませんでした。それどころか、カープの悪口を言うのを知らん顔をして聞きながすしかありませんでした。
まるで踏み絵です。そう、東京のカープファンは隠れキリシタンでした。
 
試合のテレビ中継は広島ではほぼ毎日ありました。
けれども東京では広島戦が映るのは巨人と対戦する時だけです。最初はそれを見ていましたが、カープが攻撃する時ばかりに入るコマーシャルに嫌気がさし、ラジオに切り替えました。
 
ラジオでもカープの試合をメインで放送することは決してないのですが、途中経過を定期的に教えてくれるので、それを目当てに聞きました。
 
そのうち、ダイヤルをいじっていると、カープの試合の実況中継がかすかに聞こえてくることに気づきました。RCC中国放送の電波を拾うことができたのです。KGBの通信を傍受するジェームズ・ボンドの気分でした。
それからは毎晩、家族でRCCを聞きました。
 
ただ、7時代までは比較的よく聞こえるRCCも、困ったことに、夜の8時を回ると、どういうわけか雑音がまじりはじめ、ロシア語の放送に邪魔されたりしました。
それでもめげずに、アンテナの向きを変えたり、ラジオを高い位置に置いたり、色々試しながら、毎晩試合終了まで聞きました。それはひっそりと唱えられるオラショを、有難く拝聴するのとよく似ていました。
 
自分で言うのもなんですが、本当にけなげでした。
 
勝利した日はニュースのスポーツコーナーを心待ちにしました。でも、「その他の試合結果はご覧のとおりです」と字幕だけで片付けられることが、よくありました。
 
それでもシーズン中はましな方でした。
オフになると、東京ではカープの情報は途絶えました。
地元の中国新聞では選手のインタビューやキャンプの様子、それにオープン戦の結果などが連日、紙面をにぎわせていたのに。
広島に住む祖母が送ってくれる新聞の切り抜きを、私は飢えを満たすようにむさぼり読みました。
 
広島では選手たちのプライベートについてもよく報道されるようでした。あの選手が結婚しただの、腕の手術をしただの、それらも祖母から教えてもらいました。
 
そうやって、少ない情報でどうにか過ごしてきました。
 
けれども今は。
この10年くらいで、状況が大いに変わりました。
 
ケーブル放送のおかげで、全試合を見られるようになりました。しかも、試合開始から終了まで。ヒーローインタビューはもちろん、ハイライトもあるのでプロ野球ニュースを見る手間も省けます。
 
情報もネットで簡単に手に入るようになりました。
選手のプライベート情報も、本人が発信するSNSで知ることができるようになりました。
広島の報道番組で放送された選手の練習風景やインタビューも、ファンがSNSで流してくれるので、手軽に視聴できるようになりました。
 
さらに。
2009年に、マツダ・ズームズームスタジアムが誕生すると、女性客が増え、カープ女子という言葉も生まれました。そして人気は全国に広まりました。
もう東京でカープファンを公言しても、さげすまれることもなくなりました。
隠れキリシタンが世界遺産に登録されたのと同じくらい、喜ばしい変化でした。
 
これで広島と東京の格差は、完全に解消されたように見えました。
 
それどころか。
東京の方が有利とさえ思えるようになってきたのです。
 
ファンが増えるにつれ、地元広島で開催される試合のチケットは販売と同時に完売するようになりました。
けれども東京では、余裕でチケットを購入することができます。
しかも、アウェーにもかかわらず、カープを応援する人たちが増えたので、ホームに近い雰囲気で観戦することができます。
 
こんな状況を、誰が予想できたでしょう!
 
まだあります。
オフシーズンに選手たちのトークショーなどのイベントが行われるのですが、東京でも開催する機会が増えました。
今年は11月に八重洲ブックセンターで、引退した選手のトーク&サイン会があります。著書を出版した記念の催しです。先着順でしたが予約に間に合い、私も席を確保できました。
 
東京でカープファンをしていて、よかったとしみじみ思いました。
 
広島との格差はなくなり、それどころか、東京にいる方が得をしているかもしれない……。
思わずにやりとしてしまいます。
 
ところがです。
その引退した選手のSNSを見ていたら、同じく今年引退した別のカープ選手とのダブルでのディナートークショーが広島のホテルであると告知されているではないですか。
2人だし、ディナーもつく……。さすが地元は豪華です。
 
やはり東京の広島ファンは地元のファンにまだまだかなわないようです。
 
 
 
 
***
 
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2019-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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