メディアグランプリ

会社で働く内向型が幸せになるために


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ごんま(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「つらい! 無理!」
帰宅後、私はベッドへ倒れこんだ。ここ数週間、刺激過剰な日々が続き、意識が朦朧としていた。
 
人はみな、外部からの刺激を受け止める器を持っている。器の大きさは、人によってさまざまだ。器が大きければ、刺激を受けてもそこまで疲労することはない。でも、私は器が生まれつきとても小さい。交渉事やマルチタスクが特に苦手で、精神的に激しく消耗してしまう。
 
「企画から準備までこんなに頑張ったのに、スムーズに進行しなかったらどうしよう」
「なんで直前になって問題が発生するの……」
 
私は、環境関連の会社で働いている。現在の仕事は、造園業界等に向けて、緑地づくりに関する講習会を開催すること。さまざまな企業緑地に協力を募り、現場を紹介してもらうのだ。本番は11月に5回。直前の調整に追われていた。
焦りにかられる中で、外部の方と細かい確認が重なる。刺激は私の器の許容範囲を超え、処理できずにあふれはじめていた。
 
「時間厳守でお願いします」
「15時15分までに受講生を全員外に出してください」
 
本番では、全体統括としてスタッフにその場で指示を出さなければならない。臨機応変な対応も、私の苦手のひとつだ。じっくりと状況を読み、しっかり考えてから判断したいのに……。
 
脳内で今日の会話がリフレイン。焦りや不安がこびりついて離れない。呼吸も眠りも浅い。酸欠の魚になったみたい。ああ、何にも追われずひとりになりたい!!
体が鉛のように重く、終盤は気合だけで出勤していた。
 
私のように、外部からの刺激に弱く、エネルギー回復のためにひとりの時間が必要な性質を、「内向型」という。
対する言葉は「外向型」だ。人と話したり、とにかく行動したりするのが得意なタイプ。外部からの刺激を、エネルギーに変えることができる。
 
内向型にとって、会社で働くことはつらい。鳴り響く電話に打合せ、突発的なトラブル。刺激の海に飛び込むようなものだ。
さらに会社では、交渉力やスピード、行動力など、外向型が得意とするスキルが評価される。
「自分はダメな人間なんだ……」
じっくり考えてから動き、消耗しやすい内向型は、周囲と自分を比べて自信を失いがちだ。
 
でも、器の大きさは生まれつきで、広げることはできない。テキパキ行動するのは苦手でも、熟考が得意で、計画的に行動できるのは、内向型の強みでもある。
内向型は欠陥ではない。尊重すべき個性なのだ。
 
私は自分を大切にするため、2つのことを心に留めている。
1つは、決して自分を責めないこと。
「今日もつらいのに職場に向かっている。えらいな~」
「一時はどうなるかと思ったけど、なんとか調整できた。すごい!」
ささいなことでも自分を褒め、認める。自分が自分の一番の理解者になるのだ。
もう1つは、つらい気持ちをしっかりと感じ、休むこと。
「仕事が遅いのは、自分の能力が足りないからだ。もっと努力しなくちゃ」
「みんな頑張っているのに、この程度で休みたいなんて思っちゃダメだ」
内向型は、つい周囲と比較して自分に鞭を打ってしまう。でも、自分のつらさがわかるのは自分だけ。刺激過剰になっていると感じたら、ためらわずに休みを取るべきだ。静かな時間は、内向型のエネルギー回復に欠かせない。たとえば、ひとり、自然の中で無になると驚くほど元気が回復する。
どちらも、内向型の自分をありのまま認め、労わることだ。
 
だけど、本当に大切なのは、「会社で働くのがつらい」の先だと思う。
会社で働くのをやめ、独立する。
会社で働き続ける。
どちらを選ぶかは、自分の心に従うしかない。
 
講習会は無事に終了し、受講生の満足度も高いものとなった。
刺激から解放され、一気に力が抜けた。疲労がどっと出る。
ベッドに入って驚いた。急に、あたたかな感謝があふれ、涙が止まらなくなったのだ。
 
「たくさんの企業の方が、本業が忙しい中で、準備や事前調整に協力してくれた。外部の企業だけではない。経理部門や広報部門、会社内でもたくさんの人が力を貸してくれた……」
 
つらい気持ちに囚われていたとき、自分が世界の中心にいる感覚だった。周囲の人は、自分に刺激をもたらす敵だ。
でも、つらい気持ちを突き抜けた先で気づいた。周囲の人は、ともに社会に生き、社会を良くしていく「仲間」。自分も、社会の一部だ。だから、仲間のために、自分の力を使わなければならない。ひとりでできることは限られている。だけど、仲間と力を合わせれば、社会に大きく働きかけられる。環境を守り、向上させることもできるかもしれない。
 
これからも、内向型の私をたくさんの刺激が襲うだろう。でも、私はもう少し会社で働き、仲間とともに社会を良い方向へ変える、その可能性を信じてみたい。もちろん、しんどいときは無理をせずに。
 
自分を大切にし、労わること。つらさの先で、自分の心の声に従い、働き方を選ぶこと。
内向型は、自分の心に向き合うのが得意だ。内向型だからこそ、本当に自分を幸せにする選択ができると信じている。
 
 
 
 
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2019-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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