メディアグランプリ

仙台愛を紐解くと、生き方に繋がっていた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高田 麻由(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「もう東京になんて戻りたくない」
実は、本気でそう思っている。
なんでもあって、刺激的で、美味しいお店もたくさんあって、大好きな仲間もたくさんいる、大好きだった東京に。
 
私は今、宮城県の仙台市というところで暮らしている。4年前、突然言い渡された夫の転勤で縁もゆかりも人脈もまったくないこの土地に住むことになった。
 
全くイメージのつかない未知の世界。埼玉で生まれ育ち、東京で就職した私のすべてのベースは東京。友達も、仕事も、所属するコミュニティもすべて東京。東京から離れることは自分の基盤のほとんどを失ってしまうことと同じ……転勤を告げられたその日から、今でも夫に「あの時を一生忘れない」と言われるほど、約2日間、大泣きし続けたのだった。
 
そんな私だが、今では本気で永住したいと考えるほど仙台が大好きになった。大好きどころではない。たぶん、愛している。日本一暮らしやすい都市だと思っている。
 
なぜ、なぜこんなにも仙台を愛しているのか。
これを紐解いてみると「私はどんな生き方をしたいのか」という深いところににつながっていたのだった。
 
仙台暮らしの良さはとにかく「都心部で暮らす便利さと自然の豊かさのいいとこ取り」「都会のさっぱりした付き合いと田舎のあたたかいコミュニティのちょうどいいバランス」に尽きると思う。
 
例えば自然との距離。
衣食住に関して、東京とほぼ変わらない生活ができる一方で、30分も車を走らせれば、海や山といった大自然、そして温泉にたどり着く。
 
農家との距離も近い。
新鮮で安全な農作物を生産者が直接宅配していたり、「実家でイチジクが大量に取れたんだけど、いる?」「お米なら、おばあちゃんが作っているよ!」と友人が声をかけてくれる。スーパーの魚や野菜も新鮮で安い。東京ではみたこともなかったような山菜や野菜も並んでいる。
「今年もこの季節がきたな」と旬や季節を感じる回数が増えた。私にとっては、これだけでも幸せだ。
 
満員電車もなく、街中も人でゴミゴミしていない。どこかのんびりした空気は、東京でいつもガチガチに身につけていた「こうありたい自分」「こう見せたい自分」という鎧を自然に脱がせてくれる。どこか身軽で自分らしくいられる。
 
会いたい人にすぐ会える、それでいて固執する必要のないコミュニティの広さも嬉しい。
 
「ああ、幸せだなぁ……」
 
電車から見える青い空と山々に、帰り道にある畑の野菜の成長に、スーパーの魚売り場に、偶然バッタリと街で友人と会って……仙台で暮らしはじめて、ほぼ毎日のようにこの言葉を発している自分がいる。
 
そう、仙台暮らしで実現されているのは「毎日に、普通にある幸せ」だ。
特別なことをしなくても、特別な日でなくても、日常的に「ああ、これが人にとっての本当の幸せだな」としみじみ感じられる。それが私にとって生きる上でこの上なく大切なことだったのだ。
 
もう一つ。仙台に来て変わったことがある。
それは、「自分にとって本当に必要なことはなにか」を選択するようになった、ということだ。
 
東京で暮らしていた時。私は、「もっと価値ある自分にならなくては……もっと成長しなくては……」という焦りから、様々なセミナーや講座に通った。友人から楽しそうな誘いを受ければ、飲み会も含め、時間さえあれば参加していた。お金も時間もどれだけ使ったかわからない。
 
ところが、どれだけ時間とお金を費やしても、自分に自信を持てることはなかった。むしろ、興味や思考が拡散しすぎて、自分がどこに向かっているのか、何をしたいのか、行けばいくほど、やればやるほど、わからなくなった。
 
「とりあえず行ってみる」が、仙台ではそうはいかない。
東京開催のものには当然ながら気軽に行けない。仙台ではどんなイベントが開催され、コミュニティがあるのか。自分でアンテナを立てて探さなくては情報は入ってこない。
だからこそ、自分のアンテナを研ぎ澄まし、本当に必要なものだけを選択をするようになった。「なんとなく行ってみようかな」がなくなった。
 
「何を食べようかな」「誰と会おうかな」「どこに行こうかな」日々にも小さな選択を意識するようになった。その選択の積み重ねが「どんな風に生きたいのか」「どんな自分でありたいのか」といった自分の軸のようなものを徐々に明確にしてくれた。
「自分はこれがちょうどいい」という感覚がわかってきた。
 
そして、改めて、仙台という土地が好きだと確信した。
 
都会と自然の共存。
身近に幸せが転がっている街。
私が日々幸せに暮らすのにちょうどいいサイズの街。
 
そして、自らが主体的に行動すると、いろんな人との繋がりが広がり、多くの情報やチャンスが集まってくる。
 
転勤族の妻という立場上、いつかは仙台を離れる日が来る。それは、たまらなく寂しく、きっと今度は一週間くらい泣き続けるんだろう。でも、この場所で「自分にちょうどいい」を発見できたから、また次の土地でも、自分らしく幸せを見つけて楽しく生きていける気がしている。
 
 
 
 
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2019-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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