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妻が病気をしてみて分かったこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鹿内智治(ライティングゼミ・日曜コース)
 
「今病院にいるの」
 
夜9時ごろ、妻から着信が入った。
その日妻は子どもを連れて、妻の実家に帰っていた。
私はひとり寝床で、うつらうつら眠くなっているときに、珍しくスマホが鳴り、見ると妻からだった。
 
こんな夜遅く何だと思って着信に出たら、
 
「実家の近くの病院にいて、今ちょうど検査が終わって、待合室にいるの」
「え、どうしたの?」
 
どうやら夜に急に腹痛が始まり、おさまると思ってしばらく様子を見ていたが、あきらかに普段の痛みとは違うので、恐くなって急いでタクシーを呼んで、救急病院に駆け込んだという。
盲腸だろうと医者に言われたそうで。
エコーなど検査を終えて、診断結果を待っているところだった。
 
まさか妻が病気になるなんて全く思ってなかった。
風邪などの体調不良になったことは、これまでにあった。
薬をもらえば、たいがい良くなった。
 
「手術することになるの?」
「痛みの感じからすると手術までではないと言われているよ」
 
一度電話切った。
すこしたってからLINEにメッセージが入った。
検査の結果、ほぼ問題ないとのこと。
ただ精密検査しておいた方がいいということで、大きい病院に紹介状を書いてもらったということだった。
 
翌日、朝から病院に集合してた。
前日ほぼ寝てないのんだろう、ひどく疲れた顔をしていた。
いろいろと検査をすませて結果、やはり手術は不要とのだった。
炎症が治まっているので薬で様子を見れば十分とのことだった。
それを聞いてひとまず安心したのだった。
 
妻はまだ30代だ。
体に不安なんてないと思っていた。
妻の健康に、自分が油断していたことにハッとしたのだ。
妻が病気をするなんて最悪のことを全く考えていなかったのだ。
 
普段仕事ならば、最悪のケースはたいがい考えている。
仕事はチームでやっているので、もしメンバーが欠けたら、どうカバーするか決めているし、作業が遅延したときの対処法もある程度決まっている。
遅延したらすぐに対処できるように、毎週進捗を確認している。
お客さんからクレームが入ったときの対処法もある程度決まっているし、お客さんと定期的にコミュニケーションをもつ場を設けている。
なので、仕事ではハッとすることは少ない。
 
でも、妻のことは…いろいろな状況を考えられていなかった。
頭でシミュレーションできていなかった。
盲腸に限らない。もっとひどい病気にかかるかもしれない。
最悪妻が長期で入院することになったら、うちはどうなってしまうだろうか?
 
まず料理はどうする?
ご飯は炊いて、スーパーでお惣菜を買えばなんとかなるか。
私は料理は全く作れない。
COOKDOのような簡単なものしかできない。
本当に私と子どもだけになったら、栄養に偏りが出てとてもやっていけないだろう。
 
次に、幼稚園のお迎えはどうなる?
送りは私がやっているが、お迎えの時間に間に合うように、仕事を早く帰ることはかなり厳しい。週に1,2回はできても、毎日はとても無理だ。
 
ならば、うちの親か、妻の親に手伝ってもらうか。
手伝ってもらうにしても、片道1時間の電車を、平日毎日往復してもらうのは相当しんどいだろう。最近実家にもめったに帰っていないし、頼みにくい。
 
幼稚園から保育園に変えるか?
手続きは調べないと分からないし、結局保育園が終わる時間までに私が迎えに行くのは難しそう。
 
どっちにしても、私と幼稚園の子どもだけでは、生活が成り立たなくなってしまうことはすぐに想像できた。
 
妻の存在が、妻の健康がいかに大切かを気付いたのである。
妻がうちからいなくなると、当然生活が成り立たなくなってしまう。
 
こうして、病気を身近に感じると、普段健康に無頓着で、人ごとのように思っていることを思い知らされる。
健康は当り前にあるものではなく、いつどこで、悪くなるのかもしれないのだ。
それは自分もそうだし、家族もそうなのだ。
 
健康が悪くなるだけではすまない。
家族を支えているならば、他の家族にも迷惑になり、しわ寄せがいく。
だから、普段からの自分のケアが大切だし、相手のケアも大切なのだ。
そう、だから家族は大切にしなければいけないのだ。
 
それにもしものときに助けを求められるような良い関係を、周りと作っておくことが大切だろう。自分にはすぐに頼れる人がいないことも分かってしまった…。
 
お金があればいいわけではない。お金で全て解決するわけではない。
人手が欲しいと思ったときに、助け会えるネットワークも大切なのだ。
親が難しいなら、近所でも、友人でも助けを求められる関係を普段から作っておくことが重要なのだと思ったのである。
 
もっと、周りの人と仲よくしよう。
もしものときにお互い助け合えるつながりは何よりも大切だと思ったのだ
 
 
 
 
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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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