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メディアグランプリ

心の解像度を上げる

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:水野雅浩(ライティングゼミ日曜コース)
 
日記、というものが続いた試しが、なかった。
 
多くの経営者の自伝的な本を読むと皆、日記を書いていた。
そしてその著書の中で多かれ少なかれ同じ主旨のことが書いてあった。
日記こそが自己を成長させることが出来た唯一の習慣だったと。
 
マクドナルドの創業者、藤田田氏しかりSBIの北尾吉孝氏しかり。また、マックギル大学で国際経営学を教えるナンシー・アドラー教授も同じことを述べていた。
 
私も成長意欲は、ある。
 
しかし、日記というものが続いた試しがなかった
 
一年ほど前、日記帳を買いにロフトに行ったことがあった。
ライフスタイルを大切にする女性をターゲットにしたカラフルなものから、いかにも重役が使っていそうな革張りのものまで平積みされていた。
 
私はブルーが好きだ。
ブルーの日記帳を手に取り、パラパラとめくってみた。
色合いもいいし、紙の感触も悪くなかった。
少々値が張り、1800円だった。
 
心の中の冷静な自分が「中身は日付しか書いていないのに、なんでビジネス書と同価格なの?」 と、ひどく冷静な意見を言ってきた。しかし、成長意欲に溢れるもう一人の自分が「このまっさらなスペースを自伝で埋めていくのは、君だよ」 と答えてくれて、結局、購入した。
 
書きはじめて、3日ほどたった頃である、ふと、あることに気がついた。
濃密な一日を過ごした日は、書くことが沢山でてくる。
すると、行数が足りない、という問題だ。
 
翌日にはみ出て良いものなのか。すると、翌日のスペースはどうなるのか?
特に濃密な日が来たわけでもないのに、結局、それ以降、日記を書くことを止めてしまった。
3日分のために1800円を支払ったわけだ。
 
半年ほどたって、ある雑誌に、経営者は手帳と日記帳を併用している、という記事が乗っていた。そこには、日記として文章をかくというよりも、単語を書いておけばその日の記憶が蘇りライフログとしても役立つという主旨が書かれていた。
 
なるほど、単語であればスペースの問題もなくなる。これは続けられるかもしれない。
手帳と日記が一体となっているものはないだろうか。
 
今度はTSUTAYAに行った。
時は折しも3月、手帳フェア真っ盛りだ。
 
ずらりと並んだ手帳の横には、手帳活用術の本も並んでいた。読むと、スケジュール管理に加えて、「三行日記」「キーワードログ」など忙しいビジネスパーソンでもこれならできるかも、と思わせるノウハウだ。
 
手帳と、その解説本セットで4,800円。
 
心の中の冷静な自分が「また、散財して。前回と同じ結果になるんじゃないの?」 とチクリと刺してくる。もうどこに行ったのかさえわからないブルーの日記帳が脳裏に蘇る。一呼吸おいて、もう一人の私が「今度は3行日記だし、キーワードの単語だけだから大丈夫」 と切り返し、結局、購入した。
 
しばらくすると、あることに気がついた。
手帳を使用していると、様々なビジネスシーンでその手帳を取り出すことになる。
それは、会議中や商談中などだ。そして私が手帳に文字を記入する際には、期せずして同席した人の目に触れることになる。
 
日記のエリアには、家族にさえ見せたくない内面的なことも書いている。
 
これはいかん。
 
結局、手帳は手帳になった。
 
2度の挫折を受けて、日記はもう縁がないものなのだと悟った。
 
そんな時である。
 
Googleで社員のメンタルマネジメントに採用されている「ジャーナリング」という手法を習った。シンプルに表現すると、空白のノートに、心に浮かんだことを「ただ、書くだけ」という手法だ。
 
これが、私にはピッタリとはまった。
 
家の近所の文房具屋で、150円のノートを買った。
どこにでもあるAPICAというメーカーのノートだったが、
表紙にWrite what you think and give wings to your dreams
(心に浮かんだことを書き出そう、そして、君の夢に翼を与えよう)
という筆記体のメッセージが、私の体温を上げた。
 
このノートには、当然ながら日付ごとのスペースはない。
つまり、その日は一行でもいいし、書きたければ何ページ書いてもいい。
また、スケジュール帳でもないので会議の場で見せることもない。
 
書き始めてみると2つのことに気がついた。
 
1つは、ぼんやり考えていたことに文字を与えていくと、やりたいことが次々と明確になっていくことだった。ときにはそのノートに色をつけることもあったし、下手くそながらイラストを書き込むことも、マインドマップを書き込むこともある。やりたいことや自分が大切にしている価値観を文字に落としていく作業は心地が良い体験だった。
 
もう一つは、その日、落ち込むことがあってもそれを文字にしてみると、さざ波たっていた内面が自然と落ち着いてくることだった。そして、頭の中をぐるぐると駆け回っていた実態のないマイナスの感情は、文字にすると、原因は1つや2つに絞られていることもわかった。そして驚くほど冷静になれた。
 
ジャナーナリングは、カメラのオートフォーカスのように、心の解像度をあげるようなものだった。プラスの面においても、マイナスの面においても、きっと日記を継続している人たちはこの感覚を掴んでいるから結果として、毎日続けることが出来ているのだ。日記はジャーナリングという形でようやく習慣となった。
 
150円のノートは、どこでも売っている。
このノートには、日付も決まったスペースもない。
だからこそ、1行でもいいし、沢山書いてもいいし、書き損じがあったらそのページを破っても、買い替えてもいい。だって150円なんだもの。
 
時代の流れが早くなり、先が見えない時代に入った。
こんな時だからこそ、自分の心だけは自分でマネジメントできるようにしておきたい。
自分の心の体温を上げる言葉で埋め尽くされ、また乱れた心を落ち着かせてくれるノートを自分のトリセツとして持っていたい。
 
もし日記を始めたい。
だけど続かなかった。
という人は、150円のノートから始めてみてはいかがだろうか。
 
きっと人生の解像度を上げてくれるはずだ。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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