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メディアグランプリ

タピオカの次に流行るのは、昆虫食!?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:一色夏菜子(ライティングゼミ・日曜コース)
 
「ヨーロッパでは、昆虫を食べるのが流行ってるらしい」
 
そんな話題が出たのは新入社員の歓迎ランチのでの最中だった。
 
新入社員のDさんは、中国人だった。 そんな彼に、誰かが質問した。
 
「Dさんは、食べ物の好き嫌いはありますか?」
 
犬やへび、カエルやワニからはじまって、孔雀やハクビシンなど、彼が今まで食べたあれこれについての武勇伝が始まった。一通り話し終えたあと、彼は言った。
 
「でも、虫はあまり好きじゃないです。北京の道ばたではバッタやムカデを串焼きしたのを売ってるけど……」
 
それを受けて誰かが言ったのが、冒頭の言葉。
 
「ヨーロッパでは、昆虫を食べるのが最近の流行りらしいですよ。牛肉や豚肉よりも環境に負荷の少ない食料として流行してて、コオロギを炒めた惣菜や、バッタを揚げて味付けしたスナックが、スーパーマーケットで売られてるそうです」
 
へえ……という反応はあったが、そこから別の誰かが「孔雀は美味しかったですか?」と話題の矛先を変えて、ひとしきり盛り上がった後に、歓迎ランチはお開きになった。
 
虫が苦手な私は、「スーパーでバッタが売られている」という話が忘れられず、そして信じられず、一人になってからグーグル検索してみた。すると、たしかに「昆虫食が世界的に注目されている」という内容のニュース記事が見つかった。ざっくりまとめると、こんな感じ。
 
「アジアでは古くから食べられていた昆虫食が、最近ヨーロッパで注目されている。たんぱく質が豊富で環境負荷が少ないスーパーフードとして、若者を中心に人気が高まっている。カラフルなパッケージのバッタスナックはインスタ映えするとして、スーパーで売り切れになるほど」
 
虫を食べる。インスタ映え、若者に人気。
 
しっくりこない組み合わせに首をかしげつつ、インスタグラムも検索してみた。出てくる出てくる。スパイシー・バッタスナック、コオロギ・グラノーラ、ハチナゴ・サンドイッチ、などなど。ドイツやフィンランドのユーザーが、インスタ映えするオシャレな構図で、食べるための昆虫の写真をアップしている。なかには若い欧米人が笑顔で虫を食べる写真も……。虫苦手な自分が見ると一瞬ギョッとするが、ポップな写真を見ていると「こういうのもアリなのかも?」と思えてくるから不思議だ。
 
日本人が「昆虫を食べる」と聞くと、まず想像するのは長野県の名産品・イナゴの佃煮だろう。イナゴの佃煮を笑顔で食べる日本人の写真は、あいにく見つからなかった。まあ、長野のおじいちゃんおばあちゃんが佃煮をスマホで撮影してSNSにアップロードする様子は、ちょっと想像できない。
 
しかし。ポップなバッタスナックの写真を眺めつつ、私は思った。
 
次から次へと流行食が移り変わる21世紀。10年も経てば、昆虫を食べるのは当たり前になっているかもしれない。見方によってはカエルの卵なタピオカがこんなに流行るって、誰が1年前に予想しただろう?
 
10年も経たなくても、来週あたり、日本に来た外国人旅行者ががイナゴの佃煮を「発見」して、それをSNSで流行らせるかもしれない。旅行中の外国人にとって「一風変わった食べ物」としてイナゴの佃煮を食べるのは、築地で寿司を食べるのと大差ないだろう。築地で寿司を食べた翌日に、長野でイナゴの佃煮を食べる。ありそうな旅程じゃないか?
 
私はエビが好きだ。年末が近づくと、デパートやスーパーの広告で、おせち料理の写真を見かける機会が増える。おせち料理の写真では「私が主役!」と言いたげに伊勢海老が堂々と写っている。つまり、エビは、いわば「映え」る素材として扱われている。
 
しかし。エビが好きな私にとっては「立派で美味しそうな伊勢海老」に見えるが、そんなエビの裏側(おなか)は、実は昆虫によく似たルックスだ。硬い表面、節っぽい胴体、もげばすぐに折れてしまいそうな細い脚。虫みたいで、結構エグい。
 
エビは、食べると美味しい。アレルギーもなにもない私は、エビが美味しいことを、経験を通して知っている。だから、私はエビを見て「エグい」よりも先に「美味しそう」と思う。しかし、エビを食べたことがない人にとっては、どうだろう?
 
食べたことがあって「美味しい」と感じたことがあれば、見た目がエグくても、人はエビをみて「美味しそう」と思う。
 
それなら、昆虫も一度食べて「美味しい」と感じれば、エビと同じように写真を見て「美味しそう」と思うようになる。かもしれない。
 
見た目が良い写真の撮り方を研究して、SNS映えする写真を撮って、「スーパーフード」「環境に優しい」「ヨーロッパでも人気」のようなキーワードをうまくつけて宣伝すれば、近い将来、エビと同じくらいに、昆虫も食べ物として世の中に受け入れられるようになる。かもしれない。
 
食べ物と、インスタ映え。
 
まるで相性が良いもののように考えられている組み合わせだが、改めて考えてみると、不思議なものだ。
 
オシャレ、見た目が良い、美味しそう、などなど。私たちの感性は、経験という固定観念にとらわれている。私は「美味しそう」と感じる伊勢海老の写真も、エビを食べない国の人にとっては「ただの気持ち悪い甲殻類」でしかない。
 
それなら昆虫を食べると聞いて「気持ち悪い」と思った私の感覚も、ちょっとしたきっかけでひっくり返るのだろう。
 
ヨーロッパでは、虫を食べるのが流行っている。
 
近い未来に、日本にも上陸して、大ヒットする。かもしれない。
 
 
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/102023

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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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