駅の改札でマインドフルネス
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:楢原直人(ライティング・ゼミ平日コース)
「あなたは今日、何を期待してこのセミナーを受けにきましたか?」
会社の社内研修でマインドフルネスのセミナーを受けた話。
所属する部署の「働きかた改革」 的な取り組みの1つで、普通なら生産性が上がるPCスキルとかチームビルディング 、会議短縮ファシリテーションだとかがありそうなところ、効果が測りにくいマインドフルネスを題材にするあたり、自分の所属する部署は面白いなぁと思う。
「あなたは今日、何を期待してこのセミナーを受けにきましたか?」とは、セミナーの冒頭で講師が参加者に質問したもの。
何を期待してと言われても、社内の研修だし、課長から可能な限り参加するように言われてるし……。
まぁそれでも自分なりにこのセミナに期待していたことはあった。僕はもともと瞑想だとか禅みたいなものに興味があって、数年前に瞑想体験会に参加したことが2〜3回ある。スティーブ・ジョブスも禅をやってたなんて話もあるし、なんとなく、瞑想することで毎日をよりリアルに生きられるんじゃないかと思っていた気がする。今回も、そんな漠然とした期待はあった。
セミナーを受けてみた感想を最初に書くと、「マインドフルを実践することで、自分だけでなく相手や環境も受け入れて、後悔のない選択ができそうだ」と感じた。
人は、大きく2つの理由から行動をするらしい。1つは「苦痛を避ける」ための行動で、もう1つは「快楽を求める」ための行動。
やりがいを見出せないと感じている場合、おそらく、自分の意志ではなく半ば反射的に行動をとっているんだろうなと思う。「怒られたくない」、「褒められたい」、「評価を下げたくない」、「仕事ができると認められたい」……。
ある意味では自然なことなのかもしれないけれど、そればかりに囚われてしまうのは、なんだか勿体無い気がする。
それって本当に自分がしたいと思っている行動なのだろうか?
そうした行動をとった後、自分の心の中に浮かんでくる”後悔の念” がきっと答えだ。
マインドフルな状態になるためには、決められた作法はなく、簡単な方法として次の2つがあるとのことだった。1つ目は自分に意識を集中すること。2つ目は自分の思考をそのまま紙に書き出すこと。
1つ目の方法のワークは、目を閉じて、まずは自分の呼吸に意識を集中する。吸って、吐いて、吸って、吐いて、……。その後、頭から手の指、足の指まで順番に意識を集中していく。実際にやってみると意識を集中したところがあったかくなった。ずいぶん長く感じた時間の後、講師の声に従って目を開けたとき、「この部屋こんなに広かったっけ!?」 と思った。瞑想する前には狭まっていた視野が、自分に意識を集中したことで心が整理されて、スペースができ、周りにも目を向ける余裕が生まれたのかもしれない。
一方で、体に意識を集中させようとしていても、どうしても集中が途切れて、周りのちょっとした音とか、セミナー後の仕事のことを考えてしまっている自分もいた。そうした集中できない自分にも気付いている状態が、マインドフルな状態とのことだった。奥が深い。
2つ目のワークはジャーナリングという手法で、紙とペンを用意して、質問に対して思ったことを書いていく。今回の質問は「私が本当に大切にしたいものは…?」 というものだった。
最初はなかなか書くことが思いつかなかったけれど、深く考えなくて良いという講師の言葉のままに適当に書き出したら、不思議とそのまま止まらず、自分の思考が流れていくのがわかった。そして面白いのは、考えていることが次第に最初の質問から離れていったこと。ズレていってるなーと思いながら書きづづけることで、自分ってこんな風に思考しているんだという発見は、とても面白い気づきだった。
セミナーの内容や、実際にワークで体感したことから、マインドフルになること(なろうとすること)によって、自分の体の状態や思考を俯瞰することができると思った。そして自分を俯瞰することで、苦痛・快楽に囚われていても、そうした自分を客観的に見つめて受け入れることができるのだと思う。
自分を受け入れられない人は、他人を受け入れることはできない。
マイナスな感情や良くない行動をとってしまう自分を受け入れて初めて、相手の駄目なところや嫌いなところも、ジャッジすることなく受け入れられるのではないか。
日々、目の前の仕事は絶えることなく続き、それらに追われるがままに僕らは生きてしまいがちだ。やりがいだとか、達成意欲を持って仕事に取り組むことが期待されているけれど、実際に自分の仕事に心からやりがいを感じている人なんて、どの程度いるんだろうか?
自分はやりがいを持って、日々を後悔することなく生きているだろうか?
もし自信が持てないと感じたなら、騙されたと思って、マインドフルネスを試してみることをオススメする。
何も静かな場所で瞑想したり、必ずしもペンを握って紙と向き合う必要はない。
これは講師の話だが、「ほんの少しの時間でもマインドフルになること=自分に意識を向けることが大切。私は駅の改札でピッとする瞬間を、自分について考えるスイッチにしている」と言っていた。
「自分は今どんな感情を持っているだろうか?」
「どうしてその感情を持っているのか?」
あるいはそんなに難しく考えずシンプルに、「なんでこれから仕事に行くんだっけ?」、「どうしてこの仕事をしてるんだっけ?」 と考えてみるだけでも良い。それだけで、駅の改札がマインドフルネスへの入り口になる。
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