メディアグランプリ

台湾とエアコン


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記事:ミヤノケイスケ(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
なぜかわからないが台湾の人は冬でもエアコンをつけたがる。
 
「台湾は南国だから暑いんじゃないの?」
「そりゃつけるでしょ」
と思われるかもしれない。
しかし台湾の冬の最高気温の平均は18℃程度、最低気温では15℃程度と
日本の10月頃と同じような気温ですごしやすい涼しい日が多いのである。
 
でもなぜか私が勤める会社では台湾人スタッフが出勤してくると
いつの間にかエアコンがついている。
街を歩く人たちのほとんどが冬服でダウンジャケットなどを着ているような日でも、
会社の中はガンガンにエアコンがかかっているのである。
 
そんな状態なのでお昼頃にはオフィスの中は完全に冷え切ってしまっている。
「それなら温度調節やモード変更してうまくやればいいでしょう」
と思われるかもしれないが、
そもそも会社が入っているオフィスビル備え付けのエアコンには、
温度調節やモード変更などという優れた機能は存在しない。
強、中、弱と3段階で風量を調節するボタンしかないのである。
 
スイッチを入れさえすれば外が暑かろうが寒かろうが関係なく冷たい風が出るだけで
ほぼ冷蔵庫と同等の機能である。
 
「さすがにもうこれは耐えられない!」
「何か対策をしないとダメだ」
「これだけ冷えればさすがに午後からはエアコンは必要ないだろう」
「それなら休憩中にすべてエアコンは消してしまえ」
 
と同じ職場に勤める妻と相談して
休憩に行く前にすべてのエアコンを消しておくことにした。
 
がしかし休憩明けにはまたついているのである。
 
さすがにこのままにはしておけない。
実力行使でエアコンをつけられて寒くなってきたらすぐに消すことにしてみた。
さすがにこれならば誰も手出しはしないだろうと思っていたが、
これでもいつの間にかエアコンがついているのである。
 
それならばと消したことがバレないように風量を弱めるだけにもしてみたが、
これでもまたいつの間にかついている。
 
もう妥協してエアコンをつける箇所を減らすということもしてみたが、
これでもまたいつの間にかついている。
 
もうイタチごっこで埒が明かない。
 
そこで原因を探ろうと自分なりに仮説を立ててみた。
 
まずそんなにエアコンをつけるということは、
台湾人は全員が暑がりなのか? というとそうではない。
もちろん薄着の人もいるが、外の気温が20℃前後になれば
もうほとんどの人が冬の装いになる。
私たち日本人から見れば真冬の格好すぎて、逆に暑くないのか聞きたくなるほどだ。
 
なので「単純に暑い」という事ではなさそうだ。
暑そうにしていた人も、時間が立つと寒くなるのか上着を着だすので
ただ暑いだけでつけるという訳ではなさそうだ。
 
ならば「エアコンがあれば付けてしまう習慣がある」という事か?
さすがに子供の頃からの習慣なのだとしたら、直すのは難しそうだ。
しかし台湾人スタッフに確認したところそんなことは無いようだ。
 
「外と室内の温度差」があるためだろうか。
個人的にはこれが一番可能性がありそうな気がするが、
室内に入り1時間もしないうちに寒くなるので、「単純に暑い」と同様にずっとつけておく必要もないようだ。
 
台湾は湿度が高いので「湿気を取るため」だろうか?
これもありそうだが、これもエアコンをつければすぐに寒くなってしまうのでずっとつけておく必要もないようだ。
 
当たり前だが考えていても埒が明かないので
直接、台湾人スタッフにエアコンを付ける必要があるか聞いてみた。
 
すると「風がないと息が苦しくなる人がいるんです」と言われた。
 
正直最初は意味が分からなかったが、
「空気が動かず淀んだ空気になった空間ではつらくなる」ということらしい。
 
「そんなことならうちわでも使うなり自分でなんとかしろよ!」と思わないでもないが仕方がない。
 
きっと泳いでないと死ぬマグロのように、風がないと死んでしまう人がいるのだろう。
 
結局、必要な人全員に扇風機を購入して配るわけにもいかないし、
現実的な解決策はエアコンをつけるということになるようだ……。
 
決してこれは台湾人が嫌いということではない。
台湾人は大概の人が親切でやさしいし街も安全でとてもすごしやすいのだが、
エアコンに関してだけは合わない。
 
観光に来るだけであればまったく気にしなくていい問題だが、
毎日働いている身としては死活問題、もうずっと冷蔵庫のなかでデスクワークをしているようなものだ。
 
「今日はさすがにエアコンつかないよね」
「最高気温18℃ぐらいだからさすがにつかないでしょ」
「いや、でもアイツらなら絶対つけるな」
 
と妻といつも通勤前にこんな会話をしている。
台湾へ来て約8ヶ月、まさか南国でこんなにも寒い思いをするとは思っていなかった。
 
一時帰国した際に「南国だし温かいから冬服はまだいらないよね」といって
ほとんど冬物を持ってこなかったことを少し後悔し、
今は数少ない秋冬の服でなんとか寒さをしのいでいる。
 
 
 
 
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2019-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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