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忘年会の会費


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小林万里(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「いや、いいけどさ。でもさ、いくらなんだろう」
先日、仲の良い同業者との忘年会があった。
昔から切磋琢磨しあってきた仲間たちだ。
場所と時間は知らされていたが、会費がいくらなのかは知らされていなかった。
指定されたお店のランクは富裕層御用達とは言わないが、食にそれほど興味のない私がわざわざ自分ひとりで入ることはないだろうなと、思うくらいのお店の格。
Webサイトを見てみるとランチが3,800円~となっている。夜のメニューは最低でも1万円以上で、かなり高いコースもあるようだ。
確かにおいしそうだ、それは間違いない。だが、
「今回は忘年会だし、いつもの飲み会よりもワンランク上がるのは当然だ。わかる、その通りだ。でもちょっとさすがに高すぎないか?どうなんだ、このお店は? 」
もちろん会費が高いからといって参加しないということは全く考えてはいないが、何しろいろいろとお金のかかるこの年末、できれば出費は抑えたいところ。万札が数枚出てしまうとなるとなかなかつらいものがある。
「もし、2万円だとすると、この前いいなあと思ったけどあきらめたあの服も買えるよね」
「ギリギリまで悩んで申し込まなかったあのセミナー、確か1万5千円だったよな。あのセミナー代より高くなるってことか」
頭の中ではいろいろと計算がはじまる。
「忘年会って言ってもさ、話がメインだし、別にそんなに高い料理じゃなくても良くない? そこそこで良くない?」
とような感情もぐるぐると出てくる。
 
しかし私は見栄っ張りだ。
「そんないいお店じゃなくても……」
などということは口が裂けてもいえない。
財布に予想される金額と念のための万札を数枚入れて、少しドキドキしながら会場へ向かう。
 
その日の参加メンバーは6人。
「久しぶり! 元気? 」
メンバーが揃い、テンションも上がる。
 
料理は海鮮鍋のコースメニューだった。高級店らしく、おしゃれに飾られた創作料理の小鉢からはじまる。
「こちらのお料理は、○○を○○で……」
と、当然料理の説明がつく。メイン料理である海鮮鍋は季節の魚介類がいろいろ入っていて、見るだけでも間違いなくおいしいだろうと想像ができるほどだ。自宅では絶対に真似はできないだろう。さすが高級店といった感じだ。
 
しかし、そのようなすばらしい料理が出てくれば出てくるほど、「この料理のコースはいったいいくらになるのだろう」という不安も増長してくる。
同時に、メンバーがどんどんと高そうなお酒を注文していく。私はあまりお酒を飲めない方なので、1杯のビールを飲みながらそれを見ている。
「いや、いいんだ。忘年会なんだ。みんなどんどん飲もう。どんどん飲んで、年を忘れよう」
と自分に言い聞かせる。
 
その後はさらにお酒も進み、話もどんどんと盛り上がっていく。最近の業界の動向、今何に力を入れているのか、来年はどうするか……などなど話は尽きない。苦しい時代もいい時代も同じように進んできた仲間たちだ。誰の話も興味深くどんどん盛り上がる。
そして私も、
「やっぱり仲間っていいなあ。こういう時間はお金じゃないんだよ。会費がいくらかとか気にしてた自分ってほんとにいやらしいわ。ああ楽しい、充実している。最高じゃないか! 」
とようやく会費がいくらなのかということがどうでもよくなってきていた。コースの既定の時間2時間はあっという間に過ぎていく。本当に楽しい時間だった。
 
「お会計お願いします」
お会計伝票が席に届いた。
「いくらでもいい、充実した時間を過ごしたんだ、私は満足だ」
少し前にはそう思っていた、そうだ、私はもう会費がいくらかなどをいうことは気にしない人間になったのだ……、いくらでもいいんだ……、それがいくらでも受け入れよう……。
 
「えっと、一人2万1千円ね」
 
料理もとてもおいしかった、楽しい時間も過ごせた、だいたい2万くらいかなという予想も立てていた。だから問題はない、全く問題はない……。
が、しかし、実際にお金を払い、酔いもさめてくると、現実的な2万円オーバーという金額がなかなか心にずしんとくる。
 
わかっている。楽しい時間、価値のある時間はお金には代えられない。それはわかってるのだが、そのお金と同じ金額で購入することができた何かを考えてしまうと、その金額が急に現実になってしまう。手元の残るものならいいが、飲み食いはその場で完結してしまう。また無形のものでも、スキルを高めたりするための自分への投資はいくらでもするべきだが、消費はできるだけ抑えたい。
忘年会の会費は投資なのだろうか? それとも消費なのだろうか? それは価値のある情報交換であるのだが、それが2万1千円分の価値があったのかどうかというと、YESとはいいがたい気もする。
ただ、これを金額に見合うだけのものに変えるかどうかは来年の自分次第なのかもしれない。
「忘年会の会費、痛かったな。来年は、このくらいなんでもないと思えるくらいに頑張ろう。来年の忘年会はさらに4万円くらいにランクアップしちゃっても全然問題ないくらいにするもんね」
これで、私の忘年会の会費は消費ではなく投資に代わるのだ。
 
ただ、しばらくはいろいろもっと節約しよう……という決意は変わらないのだが……。
 
 
 
 
***
 
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2019-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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