メディアグランプリ

カニと鶏刺しと焼酎、愛するあなたのため、毎年選んでいたいから


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:洲巻 由香(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
寒くなってきて、そろそろコートを出しておこうかなと思う時期が来たら、ふるさと納税の返礼品のチョイスを始めることにした。去年は、早めに調査を始めたほうがいいのかも……と思い、春からはりきって選ぼうとしたのだが、どうも気分が乗らなかった。私にとって、これは冬の行事らしい。
 
ふるさと納税は、その人のポートフォリオだと思っている。何を大事にしているのか、何を素敵だと思っているのか、金銭感覚はどうなのか、など、自分の価値観が如実に現れてしまう気がする。
 
妻14年目、母12年目、ふるさと納税3年目の私のチョイスは、日々の食生活に絶対必要/おいしいと幸せになるもの/調理が簡単、がコンセプト。
 
まず、絶対に外せないのは「米」だ。
 
「森のくまさん」とか「青天の霹靂」とか、変わったネーミングの米もあって、いつか食べてみたいと思っているが、今は食材配達サービスで頼んでいる「つや姫」と「はえぬき」という山形の米がたまらなく好み。
 
検索してみると、ラインナップに無洗米の大容量のものが多く、配達月が細かく指定できるものもあった。一気に収納場所をたくさん確保しなくてもよいのは、我が家にとってありがたい。定期的に届くお米があれば、災害対策にも役立つはず。我ながらなかなかのチョイス!
 
次に「酒」だ。
 
私は根っからの飲兵衛なのだが、子育て中でなかなか外で飲み行けない自分自身を労うために選びたい。
 
去年まで選んでいたのは、北海道にしか出回らないという「サッポロクラシック」というビール。でも、最近は普通にネットで買えるようになってきたのと、なんと去年は夫も別のビールをチョイスしていたのでかぶった結果として箱の置き場に苦戦したことから、今年は違ったものを選ぶことに。
 
日本酒も大好きなので、小さな酒蔵で作っている貴重なものや、初しぼりなど時期が限定されたレアものなどに思いを馳せていたが、日本酒はどうしても保管状態に気を遣う。
 
食べ盛りの小学生のことを考えると、酒のための冷蔵庫のスペース確保はちょっと難しそうだ。ここは質実剛健、保管も飲み方も自由自在な焼酎をチョイス。
 
「魚」と「肉」は家族のために。
 
長女の大好物は鮮魚や寿司なのだが、冷凍で届いてうまく解凍できる自信がないし、釣りたての魚を漁師がさばいて冷蔵で送ります!なんていう自治体もあったが、鮮魚を目の前にして自分がうまく立ち回れる自信もない。
 
そういえば、ママ友が「カニは絶対に外せない!甲羅に身が詰まったやつがかさばるけどオススメ」と言っていたのを思い出した。去年の冬の家族旅行、福井で食べたカニはとろけるようにおいしくて、子どもたちも目を丸くして食べていた。いや、でも待てよ、「かさばる」は我が家にとってNGワードだ…。ただでさえ日々の食材で冷蔵庫も冷凍庫もギューギューなのだ。
 
カニ、カニ、カニ……と検索を繰り返していると、毎度画面に出てくるのが、殻がキレイにむかれて、すぐにでも口に入れられそうな状態で冷凍された棒状のズワイガニ。これなら調理も簡単ですぐに食べられて、必要以上にかさばることもない。我が家にぴったりの品だ!
 
「肉」は非常に難しい。
 
お得感を全面に出すためなのか、3キロとか5キロとかの大容量で、豚肉や鶏肉をてんこもりで送ってくれる自治体が目立つ。それはそれで魅力的なのだが、収納スペースの問題は避けられない。
 
最近よく行く近所の郷土料理の店で、一家でハマっているのが、馬刺しと鶏刺し。その線で行くことにした。
 
検索してみたところ、馬刺しは塊の物が多いが、鶏刺しはスライスされている物が多いようだ。スライスは薄くパッケージされているので、収納スペース的に嬉しい。私が見つけた返礼品は、1食ずつパックになっていて、自家製のタレもついていて、解凍すればすぐに食べられるという。先に選んだ焼酎のつまみとしても最高じゃないか。無事に決定。
 
「米」「酒」「魚」「肉」と目星をつけたところで、今年は、台風被害の大きかった千葉のために、復興支援につながる寄付も追加することにした。
 
と、夜な夜な思いをめぐらせながら、返礼品の検索を繰り返し、お気に入りに登録して、そろそろファイナルアンサーだ!と、申し込もうとしたその矢先、郵便受けに見覚えのある自治体からの封書が……。
 
北海道紋別市。夫宛の郵便物だった。
 
もしや? と思って、仕事から帰った夫に聞いてみると、私がお気に入りに入れたのと全く同じズワイガニを数週間前に頼んだという。驚いた。
 
それだけではない。
 
よくよく話を聞いてみると、私が「これはめっけもんだ」と思っていた鶏刺しセットも、丸かぶりだった。なんてこった。驚きを通り越して、家族で大爆笑となった。
 
犬が飼い主に似てきた(もしくは、飼い主が犬に似てきた)とか、夫婦の風貌が似てきたとか、そういった話を聞いたことがあるが、日本にある47都道府県の1718の市町村から、同じ場所を選び出して夫婦揃って寄付するなんて、なんだかちょっと運命的で嬉しいものだ。
 
家族のために選ぼうと思っていた「魚」と「肉」が丸かぶりとは、夫婦それぞれが家族を見ている視線が合っていたということ。家族に抱いている思いや喜ばせたい気持ちを、こういった形で表に出すことは、時に大切なのかもしれない。
 
来年の我が家のふるさと納税ポートフォリオがどうなるか、今から楽しみだ。
 
 
 
 
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2019-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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