仕事を私事と捉えたら人生がガラリと変わった話
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記事:中根 瑶子(ライティング・ゼミ平日コース)
「仕事が楽しくて楽しくて、仕方ないんだよね」
そういう彼が信じられなかった。なぜなら、当時の私にとって、仕事とは、自分の時間を切り売りする対価としてお金を得るための手段だったからだ。だから、そんなふうに天職とも言えるような仕事に出会えた彼が、正直羨ましいな、とも思った。
彼は、自分で立ち上げた事業を軌道に乗せて、会社を辞めた。
着る服は、スーツからTシャツとジーンズに変わり、会社員時代よりもずっと生き生きとした表情で、会うたびに自分の事業のことを楽しげに話してくれた。
最初の頃は、「自分で事業を始めるなんてリスクじゃない?」と思い、誰もが名前を知っている一流企業を辞めて起業した彼を見るにつけ、「人生、博打に出たなぁ」なんて思っていた。就職活動という戦線をくぐり抜けて手に入れた、保証されたお給料や福利厚生や肩書きを切り捨てるなんて、勿体ないなとすら思った。
その一方で、「たった一度きりの人生なのにさ、給料とか肩書きとか、そういう目先の条件に縛られて、本当にやりたいことができないなんて、バカバカしいって気づいたんだよ」
目をキラキラさせてそう話す彼の姿は、とてもカッコよくて、私もそんなふうに生きられたら楽しいだろうな、と思ったのも事実である。
人生は何が起こるかわからないから面白い。
10年前、そんな彼に対し、「頭ではわかるけど、そうは言っても現実は難しいよね」と思っていた会社員だった私は今、脱サラして、会社経営をしている。
そして、仕事が楽しくて楽しくて、仕方ない。寝る間も惜しんで、仕事をしてしまうこともしばしば。寝不足なんて吹き飛ばす勢いで楽しいのだ。
大学を卒業してから10年務めた会社には、本当にお世話になった。退職して2年超経った今でも、つい「うちの会社」なんて言ってしまうくらいに、今も感謝の気持ちでいっぱいだ。
私は、会社員時代、富裕層のお客様向けに、資産運用のコンサルティングをしていた。売り上げ目標がある営業職だったから、売り上げを追う中で、心がポッキリ折れたこともあったし、プレッシャーに押し潰されそうになったこともあった。外資系だったから、人の出入りはそれなりにあって、色々なバックグランドを持つ同僚や上司、それぞれの価値観に触れるのは楽しかったし、同期には本当に恵まれていた。
何より、20代の若者から90代の人生の大先輩まで、出会うお客様お一人お一人の人生に寄り添いながら、その方の人生の目的にあった形でご提案をし、大切なご資産をお預かりさせていただけることは、とてもありがたく、やりがいのある仕事だった。
おかげさまで、間接的に様々な人生体験をさせていただくことができたし、ちょっとやそっとじゃへこたれない精神的な強さも手に入れることができたと思っている。
だけど、やっぱり、どこか満たされない思いを抱えていたのは、自分の時間を切り売りすることで、お給料という対価を得ている気持ちが拭えなかったからだ。
その気持ちは一体どこから来ていたのだろう?
仕事が楽しくて仕方がない今ならわかる。
今、私の目の前にある仕事はすべて、紛れもなく自分自身で選択したものだ。誰かに強制されることは何一つないから、心がザワつくこともない。
どんな場所で、どんな服を着て、誰と、どのくらいの時間を費やして、どんな仕事をするか。会社員時代は、会社が決定権を握っていたこれら全て、今は自分自身が決定権を握っているのだから。
「働き方改革」が叫ばれる今、長時間労働を強いられる職場環境は、ブラック企業と揶揄され、社会の悪だとされている。
私も、会社員時代は、長時間労働なんて可能な限りしたくなかった。
だけど、社長も社員も私1人っきりの会社に「転職」した今、週休2日なんてまるで取れないまま、私は毎日長時間労働を強いられている。自慢じゃないけれど、誰がどう見ても間違いなく、超ブラック企業だ。
そんな環境を嬉々として受け入れている今の私と、会社員時代の私との決定的な違い。それは、「仕事」を「私事」と捉えているか否かだと感じている。
思うに、「仕事」を自分事、つまり「私事」と捉えることができると、働くことがどこまでも楽しくなる。でも、仕事が自分事ではなく、「死事」と捉えた瞬間に、働くことはつまらなく辛いものになってしまう。なぜなら、そこには自分が不在だからだ。
仕事が「私事」となった今の私にとって、仕事とは、趣味でもあり遊びでもある。仕事とプライベートとが相反するものではなく、「私事」として自分の生活そのものとなったとき、人生はものすごく充実する気がしている。
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