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“ローランド”とは何者か。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:土田祐子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」
 
BGM的につけっぱなしになっていたテレビから聞こえてきたのは、なんとも強気で衝撃的な言葉だった。ふと画面に目をやると、金髪をぐるりんと1ミリの誤差も許さないぐらいのきれいな巻き髪に、白く蝋人形のような肌、極めつけは、元プロ野球選手の新庄剛志さんやGACKTなど、芸能人は歯が命と言わんばかりの白くて規則正しい歯でキラッと微笑んでいる男の人が映っていた。
 
「なんだ、この違和感がものすごい人は。また変わったチャラ男みたいな人が出てきたんだなー。テレビも不景気で大変だし、色んな人探すのに苦労するよね。こういうキャラにしているのかな」ぐらいに思ったのが第一印象だった。
 
テレビの中のその男の人をひゅ~っとはやし立てる人たちが取り囲んでいた。どうもこの人は、現代のホスト界の王、その名も“ローランド様”というらしい。そう言えば以前友人と話をしていた時にそんな人の名前を聞いたような気がする……。「え? 知らないの?今、すごいんだよー“ローランド様”。流行ってるんだから」と言われたのが蘇ってきた。その時はまったくもって興味がなく、へぇ~ぐらいに流していたのだろう。
その“ローランド様”が発する決め台詞に、「きゃーっ! ステキ!!」という女の人からの黄色い声、はたまた「おぉ~」と憧れや羨ましさの中にも妬みが入り交じった男の人たちの声が次々に上がっている。
「こういうホスト、いわゆる水商売の世界も色々あるんだろうな~。女の子を盛り上げるのが上手いんだろうな。全然わからない世界だけど、なんか使っている言葉は面白いかも」そんな程度に思っていたら、テレビやネットで結構話題になっている人らしいということを後日知ることとなった。
 
それからしばらくして、また“ローランド様”に出くわした。
同世代がキーテーマで、名だたる女性アイドルやM1王座にも輝いたお笑い芸人と共に司会を堂々たる姿勢でやっていた。久しぶりに見たな、と何気なく見ていたら、いつの間にか引き込まれていた。いわゆる“ローランド様語録”というやつに。
その番組は、同世代の悩みを聞いて答えるというものだったのだが、その別世界から舞い降りたような人が、ロケで一般の人に取材をするというものだった。一緒にいることがまず違和感でもあったが、それよりもしっかりと答えようという姿勢に逆の意味で衝撃を受けた。“ホスト界の王”とも言われる男ならば、適当に流すこともできそうなのに、真摯に受け答えをしているのだ。
 
それはまるで、瀬戸内寂聴さんのよう。
似ても似つかない世界だが、基本的なことは同じなのだと思った。
 
ある女子大生サッカーチームが「一度も勝てない相手に勝ちたい。プレッシャーもある。どうしたらいいですか?」というような質問を投げかけていた。彼は「100人中100人が負けると言われたのなら、諦めるのではなく、その全員が間違っていると証明すればいい」と答えた。私はそれにハッとした。40年近く生きていると、仕方ないよね、と自分に言い聞かせ、妥協や諦めというものを自然に受け入れるようになっていた。そんな今の自分にも刺さる一言だった。
その時、“ローランド様”の印象が変わり、本当はピュアで、自分への追求に貪欲な人。だからこそ、他の人への気遣いとも愛情とも呼べる言葉につながっているのだと思った。彼は、大学に入ったその日に大学を辞めたのだそう。それは先が見えたから。「隣に座っている人たちと一緒に勉強して、就職して、このくらいのお金もらって、ということが見えたら一気につまらなくなった」のだそう。今、安定やワークライフバランスを求める現代には沿わないかもしれないが、こんな生き方もあっていいじゃないか。自分が歩んで、経験してきたからこそ、その人が繰り出す言葉は面白いのだと思う。
 
ファンの方やその道の方には怒られるかもしれないが、まさに説法を説いて、人々を魅了する瀬戸内寂聴さんとも似ている気がすると思ったのだ。魅了するとは、変に飾らずに、自分の体験を自分の言葉で、他の方への悩みに還元しているからなのではないだろうか。瀬戸内寂聴さんの説法は長くおしゃべりをしながら楽しくだんだんと解いている、ローランド様は短く端的にズバッと解いている。世の流れで形は違うのだけれど、ベースは同じような気がすると思ったのだ。
 
かといって、“ローランド様”のファンになったわけではないので、全部は知らないが、これからも「ローランド語録」はたくさんでてくるだろう。これからもちょっと耳を傾けてみたいと思う。
 
 
 
 
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2019-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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