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私がスーパーマーケット行くことを勧める理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:佐々木 慶(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あなたの趣味はなんですか」
皆さんが、きっとよく耳にするであろう、このフレーズ。
私の中では、いつも答えは決まっている。それは「旅」である。
 
知らない場所に行くことが昔から好きだった。
電車に乗って隣の県に行って当てもなくぶらぶらしたこともあったし、東京で暮らしていた大学生の時は、ママチャリを夜通し漕いで鎌倉に行ったりした。
急に思い立って、池袋駅から京都駅の夜行バスに飛び乗ったこともあった。
 
他の人から見たら、「なんて気ままに旅をしているのだろう」と思うかもしれない。
「楽しそうでいいよねえ」そう思う人も多いだろう。
 
しかし、実際は違っていた。
私の頭の中では日々こんな疑問が湧いていた。
「あれ、なんでだろう? 知らない場所に来て楽しいはずなのに、到着したら、なんかつまらないなあ」
そんな自問自答を繰り返していたら、ある一つの答えが出てきた。
それは「知らない土地への移動を楽しんでいただけだった」ということだ。
どうりで、到着したら、楽しくないわけだ。到着した時点で旅の目的を達成していたのだから。
 
「このままつまらないのも、嫌だな」
そう思った私は、旅を楽しむ方法を考えて実践してみた。
観光ガイドブックやインターネットで有名な食べ物を探して食べてみたり、有名な観光地に行ってみたり・・・・・・。いろいろなことを試してみたら、以前よりも格段に旅が楽しくなった。しかし、同時にだんだん「もっと、旅を楽しみたい」という思いが強くなっている自分に気付いた。
別の旅の楽しみ方を実践してみることにしたのだが、そんな僕が最近はまっているのは「旅先のスーパーマーケットに行くこと」だ。
 
「わざわざ旅に行ったのに、なぜスーパーマーケットに行くのか」と疑問に感じる方も多いだろう。
実際に、スーパーマーケットに行ってみると、何の変哲もなく、地元の食べ物が並んでいる。このように聞くと、一見、旅に関係がなさそうと感じるだろう。
しかし、それは誤解だ。
確かに、スーパーマーケットは、地元の食べ物が売られているが、それはあくまでも“その
土地の人たちにとって”である。旅人にとっては、スーパーマーケットは旅の醍醐味とも言える“異文化交流の場”と化す。
 
ある日、私は、故郷である宮城県に友人と一緒に旅に行った。地元の温泉を紹介し、観光地を紹介し、そして時間も空いていたので、地元のスーパーマーケットを案内した。
スーパーマーケットの中のお弁当コーナーに差し掛かった時に、友人の口から発せられた言葉が忘れられない。
「なぜ、うどん弁当が売っていないの?」
意味が分からなかった。むしろ、「うどん弁当」とは何のことを指しているのかが、よく分からなかった。
「うどん弁当は、ざるうどんと天丼やカツ丼などの丼ものが一緒に入ったお弁当のことだよ」その友人が教えてくれた。
ただ、そんなお弁当を今まで見たことがない。というか、うどんと丼じゃ炭水化物だらけじゃないか。そう心の中でツッコミを入れている私を見て、友人がまた言った。
「群馬県内のスーパーマーケットではよく見るんだけどなあ」
そうだ。友人は群馬県在住だった。
うどん弁当は群馬県民には当たり前の食べ方ではあっても、他県ではそうではなかったということだ。
ちなみに、友人によると、群馬県内の家庭では米を炊くのと同じ感覚でうどんを作って食べるのが普通らしい。小麦の生産が盛んだからでは、とも言っていた。
 
スーパーマーケットでのこの体験は、私にスーパーマーケットの魅力を感じさせるのに、十分すぎるほどだった。
 
旅に、行ったら、必ずスーパーマーケットに行くことようになった。
 
いろいろな商品を買ってきた。
宮城県の「仙台麩」、石川県の「ビタミンちくわ」、徳島県の「すだち酎」。挙げればきりがないが、買ってみて、気づいたことがある。デザインもとても愛らしいのだ。とても洗練はされていないけど、その分どこか温かみがあって、ほっとするのだ。
 
たしかに、知らない場所に行った時に、観光地に行くのはオーソドックスな旅の楽しみ方だ。
いろいろなところからやってくる旅人をおもてなしすることに、人も空間も慣れているし、ガイドブックやインターネットで情報を入手しやすいので、外れはまずない。
しかし、それはあくまでも観光客に向けた「よそいき」の姿だ。
例えるならば、その土地がドレスアップした姿だ。
 
対して、スーパーマーケットはその土地の「普段着」の姿と言える。
観光地と比べて、扱っている商品のデザインが洗練とされていない場合も多いし、行っても観光客として扱われるわけでもない。ただ、そのおかげで、自然と商品に愛着が湧く。地元の人たちに愛された品々を気軽に手に入れることができること、一般の客として扱ってくれるのが、何よりもほっとする。
 
旅先の知らない場所という”非日常”にたたずんでいる、ほっとできる“日常”の空間。
それが、私にとってのスーパーマーケットである。
 
「もっと旅を別の観点から楽しみたい」、「旅先でほっとしたい」というそんなあなたには、スーパーマーケットに行くことを勧める。
きっと、あなたにとって有意義な時間を過ごせるだろう。
 
 
 
 
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2019-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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