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現役占い師が語る、占いに頼ってはいけない理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ペコ(ライティング・ゼミ特講)
 
 
電話が鳴る。
「はい、占い師の○○です。」
「○○先生、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。今日はどのようなご相談でしょう?」
「あのぉ、仕事で毎週会う取引先の人なんですけど、かっこよくて優しくて、ちょっと好きになっちゃったんですけど、彼、誰にでも優しいんですよね。彼は私の事どう思ってるんでしょうか?」
「はい、ではタロットカードに聞いてみますね……。う~ん、とても明るくて素敵な子だなって思っていますね。でも彼、ちょっと気が多い人みたい」
「え~~~~っ!! やっぱりそうなんですか!! じゃあ、私も大勢の中の一人なんですね?! 浮気とかする人なんですか? 私は何番目なんですか~~~??!!!」
矢継ぎ早な質問。
こうなると大変だ。相手の勢いにたじろぎながらも必死でカードをめくっていく。
 
占いを生業にしようと、本格的に業界に足を突っ込んで数か月が経つ。電話やチャットで、匿名の顔が見えない相手からひどくプライベートな相談を受ける。恋愛相談が多いが、軽い事柄から深刻なものまで様々だ。
昭和の時代、占いと言えば都会の路地裏にひっそりと卓を構えているとか、どこそこの母、と言われる有名な占い師に行列して高額な鑑定料を払ってみてもらうとか、何か特別な怪しいイメージがあったかもしれない。
が、今はもっとポップだ。自宅にいながら24時間、電話やLINEでリーズナブルに相談できる。
しかし手軽になった反面、不安があるとすべて占い師に相談せずにはいられない依存体質の人、そして一人の占い師の鑑定結果に満足できないと次々違う占い師に相談する「占いジプシー」と呼ばれる人種も増えたようだ。
 
占い師の私が言うのも変だが、占いに頼ってはいけない。
もっと違う関わり方がある。
今日は冒頭に出てきたような占い大好き女子も、反対に全く信用しない派も、この記事をお読みいただいて占いの正しい楽しみ方、役立て方を知っていただきたいと思う。この100%不確実で一見必要のないサービスがなぜ廃れることなく業種として残っているのか、なんとなく納得していただけたならとても嬉しい。
 
占いと言っても色々な方法があるが、タロットカードを例にとってみよう。誰でも一度は見たことがあると思うが、カード1枚1枚に違う図柄が描かれていて、それぞれ独特の意味を持つ。
依頼者から相談を受けてカードをシャッフルし、何枚かめくり、その図柄から人の気持ちや未来の予測を読み解いていく。
んなもん、当たるわけねーだろっ!! と思ったそこのあなた。
どうか今だけ、カードの言葉に耳を傾けてみることをご自身に許していただきたい。
それが的中しているかどうかはひとまず脇に置いておく。大切なのは、今まで自分の頭の中だけにあった悩みや迷いがカードの連なりとなってテーブルの上に乗っていることだ。あなたはひととき、迷いの中から抜け出して、客観的にそれを見ている。そこに現れている「お告げ」は、全く利害関係のない第三者……多分、人間ではない何者かが発信したものだ(という前提なのである)。
仮にそれが見当違いだったとしても、人間を超えた存在からのメッセージだとすれば、自分も周囲の人間も気が付かない意外な側面を指摘している、と考えられないだろうか。
無論それに従う義務はない。ちょっと参考にする程度でいい。しかしそれだけで、頭の中で絡んでいた糸が少しほどける。話すことで楽にもなる。
そしてここからが占い師の腕の見せどころ。どんな悪い結果を表すカードも、その裏にはポジティブな側面を持っている。終わりを示唆する「死神」は新しい何かの始まりと捉えることもできるし、破壊を表す「塔」も、覚醒という意味を併せ持つ。どんな最悪な結果からも、その裏の更なる飛躍を読み解き、相談者を力づけていくのが占い師の仕事なのだ。
占い師の元を去る時、あなたは前よりスッキリしている。時として違った角度から物事を捉えられるようにもなっている。そして、新しい1歩を踏み出すのだ。
 
占いに特別な神秘を感じる必要は全くない。
占いは道具だ。孫の手みたいなモノだ。気になっているけど、どうしても自分では手の届かない場所を探るためにちょっとしたサポートをしてくれる。
そして大切なのは、この孫の手を使うのは自分自身だということ。占いの結果を採用するのもしないのも自分の裁量だ。占いは頼るものではない。使うものなのだ。
 
一方、占い大好き女子たちよ!
これだけは覚えておいてほしいのだが、占い師があなたを幸せにすることはできない。ちょっと背中を押すだけのことだ。あなたを幸せにするのはあなた自身。あなたは占いの結果を参考に、自分自身で行動するしかない。同じ事柄を何度も占うのは時間とお金の無駄だよ。行動を怖がっていては始まらない、傷ついてこそ女は美しく成長するのだ。山あり谷あり、それが人生さ!
 
長い、長い、会話。気丈な声にかえって傷の深さを感じる。
「誰にも言えませんでした。毎日、死ぬことばかり考えていました。話せてよかったです。ありがとうございました」女性はそう言って電話を切った。
占いは時として、命を助けることもある。胸に暖かい余韻を感じながら、また次の電話を待つ。
 
 
 
 
***

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2020-08-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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