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経営者の成長期を見逃さない


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記事:伊藤慎悟(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
人にはその人にあった成長期みたいなものがあるように思います。
私は経営コンサルタントをしていますが、経営者も同じように、伸びるのにふさわしいタイミングがあると感じています。
 
今、日本の企業数は、約380万社あります。
そのうち99.7%が中小企業で、就業者の70%を占めています。
ここ数年、日本の企業数は、毎年20万社出来て、30万社減っている状態です。
このペースが続くと、20年後の2040年には、半分の190万社になると言われています。
人口も減っている時代なので、企業もそれほどたくさん要らなくなると思えば、それも自然の流れのように感じます。
 
私が地元の商工会議所に就職したのは、28年前の1992年でしたが、当時、日本の企業は520万社ありました。
28年で140万社減。これから20年で190万社減。
あくまで予測ですが、そんなにあり得ない未来ではないのかなと思います。
 
そんな事業者数ですが、減少する理由は人口減少だけではありません。
今、問題視されているのが、「事業承継」が進まないことと言われています。
事業自体はうまく行っていて、業績も悪くないのに、後継者がおらず、事業を廃業せざるを得ない会社も多いのです。
 
多くの中小企業の場合、一般的には息子、娘などの家族に事業承継する場合が最も普通ですが、最近は、第三者に引き継いだり、会社を譲渡するなどいろんな方法も見られるようになりましたが、それでも追いつかない状況です。
 
そんな中で私が一番に注目しているのが、経営者が高齢化していることです。
今の経営者で一番多い年齢層が66歳でした。約20年前の経営者で一番多い年齢層は47歳でした。これは簡単に言えば、20年前、経営者だった人が今も経営者を務めているということでしょう。
 
商店の事業主のようなイメージで、後継ぎもいないので、元気なうちは営業を続けるというならそれでもいいでしょうが、お子さんや従業員と一緒に事業をしているような場合でもこういう場合が多いのです。
 
確かに今の高齢者と呼ばれる人たちは若くて元気で、頭や体もしっかりしている方も多いでしょう。しかし、せっかく若い後継者がいるにも関わらず、いつまでも経営者として居座っているのは、私は「老害」だと思っています。
 
何が一番の罪かと言うと、後継者の成長のタイミングを失ってしまうことです。
 
私が25年以上、経営を支援する仕事に関わっていて思う事は、経営者にも成長期のように一番伸びやすいタイミングがあるということです。
私が経営者の方が一番伸びると思っている時期は、35歳〜45歳くらいです。
 
30歳半ばになると、社会人としての経験も増して、仕事も一通り出来るようになり、会社の全体像を見ることができるようになっています。
また、このくらいの年齢になると、結婚して子どもがいる場合も多く、自分以外の人を大切に守ろうとする人間力みたいなものも培われてきています。
そんな人が経営者になると、自分ならではというものを生み出そうと、新しいことにチャレンジしようとします。
借金を抱えてもいい、失敗してもいい、自分のしたいことを実現するために寝る間を惜しんで働ける気力も体力もあり、伸びしろがいっぱいです。
 
これが50歳を過ぎて経営者になった場合は、なかなか新しいことを始めようという気持ちになりません。やる気がないわけではないのですが、今あるものを守ろう、維持しようというような姿勢になってしまう人が多いように思います。
 
私がいろいろな会社を見ていると、よい会社の経営者ほど、少し早いかなと思うくらいの時期に社長の座を後継者に譲って、自分は会長などの立場になる方が多いです。会長として10年くらい若い経営者を見守り、一人前になるまで見届けているイメージです。
またそういった方は自分が前経営者にそうしてもらった場合も多いように思います。
 
室町時代から続く、羊羹で有名な「虎屋」の家訓のようなものの中に、「変えていけないものなどない」という言葉があると聞いたことがあります。
長く続く会社というのは、こうして次の進化や発展を次代に託すことを仕組みのように繰り返してきたのだと思います。
 
私が以前に関わったことのある会社で、高齢の経営者が死亡により退任した後、60歳半ばの息子が経営者に着いた会社がありました。しかし、この時点でこの経営者はもう経営の現場から離れており、実際には40歳手前の新経営者の息子にあたる方が会社を切り盛りしていました。
私が「年齢的に見て、お父さんは経営者としてそんなに長く続けられないだろうに、なぜ息子のあなたが経営者にならなかったのか?」と聞いたところ、
理由は、お父さんが「俺も一度は社長になってみたい!」と言ったからだそうです。
この先の会社の未来ではなく、お父さんの今の気持ちを大事にされたのでしょうが、「経営」ということを考えると、残念な選択だったように思いました。
 
よい会社というのは人を育てるのが上手です。そして長く続く会社というのは、経営者を育てていくのが上手なんだと思います。
先代と同じことをやっていたのでは、進化や進歩もない。次代の経営者が起こす個人と会社の成長に期待し、それを実現してきた会社が残っていくだと思います。
 
これは経営者に限ったことではなく、いろいろな組織やサラリーマンも当てはまることです。
若いうちはガムシャラに働く時期があり、中年期になるとこれまで経験したことを活かしながら、新しいものを生み出す時期があり、そして晩年期になると、今度は若い人のそうしたチャレンジや成長を促し、支え、見守る役目になっていくのではないでしょうか。
 
経営者であっても、サラリーマンであっても、その人の成長のタイミングを失わないでサポートすることが、上に立つ人の役目であるように思います。
 
事業承継の準備は早過ぎて困ることは一つもないと言われています。
あなたの会社が長く続く会社にしたいなら、経営者の先発完投ではなく、よいタイミングで続投することで終わりのない戦いを続けていけるのではないかと思います。
 
 
 
 
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2020-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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