メディアグランプリ

サーフィンは生き方の教科書


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

サーフィンは生き方の教科書
記事:窪 耕太郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は、40代一児の父の普通のサラリーマン。
20年前、流行の遊びは、スノーボード、スケートボード、そしてサーフボードと「板の乗り系」が、ちょっとしたブーム、雑誌、音楽、テレビで話題になっていた。
そして、夏になると、サーフボードやボディボードを片手に砂浜を歩くのがちょっとしたステータス。
車は四駆に乗り、窓を開けて、ビデオに流れているような、騒がしい音楽をかけて。千葉の海へ行くというのが、アクティブな若者が憧れるスタイルだった。
今では、インターネット、SNSの普及で、同じ境遇の人と世界中で繋がることができて、何が好きか自分で見つける事ができる世の中。人が何をやろうがあんまり気にしない。個人の時代ですが。20年前の私たちは、きっと「流行を追う」事が、みんなと繋がる方法の一つになっていたのかもしれない。そんな流行に憧れて、青臭い20代の私はサーフィンに挑戦してみた。
高校時代の先輩と海に波乗りに行こうぜ!と誘われて行ったのがはじまり。これも、だいたい皆同じきっかけ。
先輩から借りたサーフボードで、おぼつかない、漕ぎ方で、波に揉まれ、海水も鼻に入り、ぐちゃぐちゃな初日。こんな難しいスポーツなのかと、絶望感を味わう。
何回か、海に行くうちに、借りるサーフボードでなく、自分のボードが欲しくなる。
そして、ボードやウェットスーツなどアイテムを購入していく。
でも、なかなかサーフィンは上達しない。できるようになるまで、相当難易度の高いスポーツ。
宇宙飛行士のような選ばれし者しか、習得できないんじゃないかと思うほど。
波に乗るまでの一連の流れは、スタート地点の沖まで、パドルというクロールのような漕ぎ方で砂浜から約200m先まで泳いでいかなければ始まらない。
しかも、沖にでるまで、向かってくる波の下を板と一緒に潜らなければならない。
これを繰り返すうちに、体力はほぼゼロになる。そして、波に乗った憧れの上級者サーファーが体力ゼロの自分に向かってくる、これも避けなければいけない。
やっとスタート地点の沖に出る。波を待つ、波を待つのも、板の上で跨いで、馬乗りのような状態でバランスをとりながら待つ。バランスを崩すと、板から落馬してしまう。
きっと、この状態になるのに、6ヶ月は最低でもかかる。
6ヶ月かかるという事は、8月からはじめた場合、真冬になっている。
冬の冷水にも寒くない分厚いウェットスーツを着る、最近のウェットスーツは柔らかくて、着心地の良いものが多いが、当時はガチガチのゴム素材。まるで、大リーグ養成ギブスのような状態で、海に入る。
だいたいこのあたりで、あまりの辛さに、本当に好きでないと脱落して行ってしまう。
私は、辛いけど、自然の中に溶け込む自分が好きだったようで、全く上達しなかったが、続けていた。
そして、ようやく、波に乗る経験ができると思いきや。
サーフィンの神様は甘くない。波に乗るには、いい波を選ばないと、板が滑り出さない。
スノーボードのように、リフトで雪山に上がれば、重力に従って滑れるようなものではない。波ができあがるまでの、小さな動きによく観察して、その波がどの場所で捕まえられるか、予想して、そのポイントに入り。
波の上を滑り出すスピードになるまで漕ぐ。
板がフワッと軽くなる、その時に、バランスを崩さず瞬時に立ち上がる。
そして、重心を低く、自分の進むべき所に目線を送る。スピードが落ちないよう板のバランスをコントロールする……
この先も書き切れない程、挫折を乗り越え、ようやく、サーフボードの上に立ち、波に乗る。
ところが、波に乗った時に見える景色は、別世界だった。
風を感じながら波の上を滑りながら、目に入るのは空と海だけの世界、地球上とは思えない美しさ、感覚的にはスローモーションになっている。
あまりの美しさに、今までの、真冬の海に入った事や溺れそうになった苦労が吹き飛ぶ。その時の快感を味わう為、また次の波へこぎだす。
オーバーに言うと、オリンピックで金メダル取った時の感動。
続ける事で、数々の苦難を乗り越え、少しずつ体力もつき、技を習得して自分の目指すゴールに近づいていく。
しかし、サーフィンは自然とのスポーツ。更に、予期できない試練があったり、最高の波、最高の天気と巡り合ったりする事もある。
サーフィンを振り返ると
挫折、感動、継続、先を読む、憧れ、自然……
という言葉が浮かぶ。それは人生に必要なことばかり、まるで人生の教科書。
今では、生活スタイルも変わり、サーフィンはお休み中ですが、あの経験が少しは自分の人生に影響していると思う。
なんとか、健康で家族と日々生活できているのも、サーフィンのおかげかもしれない。
そんな、自分だけの、生き方の教科書を、自分の子供にも見つけてもらいたい。
≪終わり≫
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-08-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事