メディアグランプリ

「5万円分の『カワイイ』」


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:神田つぐみ(ライティングゼミ夏期集中コース)
 
 
「え、整形? 別にせんでもいいやん」
友人は言う。「骨切ったりせーへんから大丈夫」と私は返す。
 
私は今日、初めてのヒアルロン酸整形、いわゆるプチ整形をする。
別に見た目にコンプレックスがこれといってあるわけでもなかった。
でも常に、より可愛くなりたい願望はもちろんあった。もう「カワイイ」を使う年齢でも無いかもしれないが。「もっと涙袋がぷっくりしたらいいな」「もっと高い鼻になりたい」
などと願望は尽きない。それが女性だろう。
 
今までありとあらゆる美容に手を出してきた。
ネイル、まつげエクステはもちろん、痩身エステ、筋トレ、ヨガ、トランポリンエクササイズから育乳サロンまで……。そのどれもが割と良かったので、今度はこれしかないとヒアルロン酸整形を決意したのだ。
 
嬉しさ半分、不安半分といったところだろうか。
クリニックに着くと、見るからに美人なお姉様が、受付で笑顔で出迎えてくれた。
待合室も、wi-fi完備、ドリンク飲み放題、雑誌のセンスもいい。
「ここはカフェなのか?」と思うくらいの居心地の良さだった。
 
またしても綺麗なお姉様に呼ばれ、個室でカウンセリングを受けた。
 
ヒアルロン酸は、主に役割が2つある。
1つ目は、肌に注入して、若返りを促進させること。
2つ目は、鼻や唇などに注入して、形を変化させたり大きくしたりすること。
今回の私は、2に当てはまる。
医師と相談して、唇と涙袋に注入してもらうことにした。
 
この時の私は、もう不安ゼロ、嬉しさ全開になっていた。
また、カフェのような待合室で、今か今かと施術を待った。
 
そしてついに私の番がやってきた。
急に、不安がマックスになった。
なぜなら普段の病院でも見ないような、謎の機械が大量にひしめき合っていたからだ。
施術室は、医療ドラマで見る、手術シーンで出てきそうな部屋だった。
医師から、施術についての説明を受けた。
 
・ヒアルロン酸整形は、ダウンタイム(施術後から元の生活に戻るまでの期間)がないので、すぐに日常生活ができること。
・直後はかなり腫れが見られるが、日が経つにつれ、腫れはおさまること。
・薬によるが、効果は4ヶ月から半年くらいであること。
 
腫れが気になる患者のために、マスクまで用意されていた。
そのあと麻酔をどうするかと言う話になった。
 
選択肢としては、
・笑気麻酔(酔っ払った時のような症状になる)
・部分麻酔
・何もしない
 
があった。私はお酒に弱く、すぐ酔いやすいので、効きやすいと判断し笑気麻酔にした。
案の定、すぐに体が軽くなった。
きっとこれで知らない間に終わっている・・・!!はずもなかった。
 
麻酔はしているとは言え、痛かった。普通に痛かった。いっそ眠らせてほしかった。
この痛さを言葉で表現するのは難しいが、強いて言うなら、
「肌にハリで穴を開けて、その中を何かが無理やり侵入してくる感覚」とでも言えばいいだろうか。本当に今まで体感したことのない、不気味な痛さだった。
 
医師は、少し経つごとに、鏡を使い私に様子を見せてくれた。
 
「え、唇、分厚くなってる!!!」
施術した瞬間に、こんなにすぐ効果が目に見えるものがあったのか。私は感動した。
その後の施術は、嬉しくて痛さに耐えることなど容易かった。
 
そして数分後、無事終了した。
 
鏡を嬉しさ半分、不安半分で覗き込んだ。
「すっごーーーーーーーーーーい!!」
心底そう思った。
すぐに効果が出て、ちゃんと可愛くなっている。
この世で最も、魔法に近い美容だと感じた。確かに少し痛かったけど。
思えば年に1度、職場で健康診断を受ける。その時に採血をしていたじゃないか。
採血をしたって可愛くなれないのに、同じ痛みを我慢して可愛くなれるならいいじゃないか。と、無理に正当化してみたりもした。
 
嬉しくて軽くスキップをしながら、受付に戻ろうとしたが、うまく歩けない。
私はまだ酔っていた。看護師さんがクスッと笑いながら、痛みに耐えた私と、前より少し可愛くなった私を褒めてくれた。
 
それから私は月に1度必ず……通うことはしていない。
美容は、距離感がとても大切だ。女性の綺麗になりたい欲には終わりがない。
はまると一生抜け出せない沼だ。
 
だからこそ、お金もお酒も美容も。距離感が大事。
 
そんなことを考えながら、私はふと、冬のある日、初めてクリニックに行ったことを思い出していた。もう夏だ。この夏はあまり旅行にもいかず、ライティングの勉強を頑張っていた。
よし、そろそろまた「五万円分のカワイイ」を作りに行こうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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